見出し画像

2頭の良血 in函館競馬場(赤塚俊彦)/週刊トレセン通信

 東京、阪神開催が終わり、舞台は福島、中京へ。気分はすっかり夏競馬。早いもので函館開催は折り返しを過ぎて終盤戦へ。美浦の坂路が閉鎖されている影響もあるのか、開幕当初は馬が溢れんばかりだった函館だったが、徐々に例年並みに落ち着きを取り戻してきたか。そんな函館に今2頭の良血馬が入厩しているので、ここで紹介したい。

 まずは今週デビュー予定、ご存知ソダシを姉に持つ白毛のカルパ(栗東・須貝厩舎)だ。ソダシ、ママコチャがクロフネ産駒なのに対し、カルパの父はモーリスなので2頭の半弟になる。牡馬ながらサイズとしてはソダシをひと回り小さくした感じ。6月21日の追い切りに乗った荻野琢真騎手に話を聞くと「走りのバランスはまだまだこれから良くなりそうですが、凄く前進気勢があるので、乗っていて緩さみたいなものは感じません」と教えてくれた。28日の1週前追い切りでは武豊騎手と初コンタクト。「ソダシに乗ったことがないから比較はできないけど、似ているよ、毛色が(笑)」とジョークを交えながら「口向きなんかはお母さん(ブチコ)に似ているところがある。まずまずといった感じかな」と評価していた。

ソダシの半弟カルパ 真っ白な馬体が青空の下に映える(7月4日撮影)

 武騎手は今日5日の最終追い切りにも騎乗。「時計的には十分だし、態勢は整ったよ。テンションが上がりそうだから、当日も冷静に走ってくれるといいね」とのこと。余談だが、2回開催4日目5Rの芝1800mの新馬戦というのは3年前のソダシと同じレースだ。

武豊騎手を背に2週続けて追い切られたカルパ(7月5日撮影)


 続いて取り上げるのは新種牡馬ブリックスアンドモルタルの産駒、6月23日に函館に入厩したスターチョウサン(美浦・小島茂厩舎)。馬名からピンときた人も多いはず。そう、母はシャドウシルエットということで、障害の絶対王者オジュウチョウサンの10歳下の半妹にあたる。美浦からこの馬の調整のために駆け付けた小島茂之調教師は「この血統特有の我の強いところがありますが、牧場が丁寧に上手に調整してくれて我慢できています。今後もそこに気をつけて調整していきたいですね。凄く背中が良くて、いいモノを持っていますよ」と教えてくれた。調整の進み具合と仕上がり次第だが、札幌でのデビューを目指しているとのことで、楽しみに待ちたい。

オジュウチョウサンの半妹スターチョウサン(6月29日撮影)
兄オジュウチョウサンのゼッケンには9つの星が(2022年12月1日撮影)

 いずれも姉、兄が偉大過ぎるがゆえにかかる期待も大きくなってしまうが、まずは無事に、そしてそれぞれのペースで頑張っていってほしい。ソダシ、オジュウチョウサンのファンだった多くの方々も、弟、妹の走りを温かく見守ってもらいたい。

キリッとした目でこちらを見つめるスターチョウサン(6月29日に馬房で撮影)


――――――――――――――――――――――

赤塚俊彦(厩舎取材担当)
1984年7月2日生まれ。千葉県出身。2008年入社。美浦編集部。
Twitterやってます→@akachamp5972

 オジュウチョウサンが現役時代に積み重ねたGⅠ勝利数は9。GⅠを勝つと、その勝利数と同じだけの星マークが入った特殊な調教ゼッケンに変わります。つまり、オジュウチョウサンが現役時代最後につけていた調教ゼッケンには9つの星が入っていました。勿論、他では見られない偉大過ぎる記録とゼッケンですが、残念ながら大台にはあとひとつ届かず。もしかしたら、スターチョウサンはそのひとつを埋めるべくつけられた馬名なのかもしれませんね。


本稿は2023年7月5日に「競馬ブックweb」「競馬ブックsmart」に掲載されたコラムです。下記URLからもご覧いただくことができます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?