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【安田記念】ロマンチックウォリアーとヴォイッジバブルの戦前の分析

今年の安田記念(GI・東京芝1600m)は雨中の決戦になりました。香港の雄ロマンチックウォリアーが直線で力強く抜け出し、日本のナミュールらを抑えて戴冠しました。圧巻の勝利で、GI6連勝となりました。一方で、同じく香港から挑んだヴォイッジバブルは17着に終わっています。

最終的に予想コメントに載せないことになりましたが、以下は用意していた香港勢2騎の分析です。決定前だった評価の結論は、[結論部分]と表記しています。

“強い馬”に関して、馬体に関して、追い切りに関してなど、参考になるところがあればと思います。

【ロマンチックウォリアー】

ロマンチックウォリアーは香港のシャム厩舎から挑む6歳のセン馬。通算成績は19戦14勝で、香港で芝2000mのGIを6勝(クイーンエリザベス2世カップは22年~24年まで3連覇、香港カップは22年、23年と2連覇)、さらにオーストラリア(ムーニーバレー)で芝2040mのコックスプレート(GI)を勝っている。

離して勝ったこともあるが、1着だった前4走の着差はクビ以下。伸び脚に持久力があり、勝とうという根性が目立ち、とにかく勝負強い。経験が多い香港のシャティン競馬場は直線距離が430mあるが、コックスプレートが行われるムーニーバレー競馬場(左回り)は特殊なコース形態で直線が173mしかなく、そんな中をソツなく回って勝ち切った。

なお、ムーニーバレーは2024年のコックスプレート終了後に改修工事に入り、直線距離が現在よりも長い新しい競馬場に生まれ変わる予定である。

そして、日本勢との戦い…。22年に香港カップを勝った時は2着がダノンザキッドで4馬身半差、23年にクイーンエリザベス2世カップを勝った時は2着がプログノーシスで2馬身差、23年に香港カップを勝った時は3着がヒシイグアスでハナ+クビ差、24年にクイーンエリザベス2世カップを勝った時は2着がプログノーシス(クビ差)、3着がノースブリッジだった。

今回は5月21日に来日。成田空港から東京競馬場に入り、現地で調整されてきた。以前は千葉県の白井市にある競馬学校で調整する必要があったが、今は東京競馬場に国際厩舎に入れる。この点は非常に大きい。

来日して馬体は減ったようで、シャム師はもう少し増やしたいと話している。木曜に発表された調教後の馬体重は521キロで、これは前走(4月28日)の534キロより小さい数字だ。

ただ、28日の火曜に芝コースで速い追い切りをかけていて、この時の動きは目立っていた。時計は6ハロンが75秒台で、5ハロンが60秒台、ラスト1ハロンは11秒台の中ほど。帯同馬を追いかけ、直線で外から楽に並んで軽く交わして引き離した。まだまだ伸びていく感じだった。

首を使ってリズムの良い走り。500キロを超える馬体でも緩さはまったく感じさせない。トモの蹴りがもっと強いと良かったが、気にすることはないか。後躯、お尻はボリュームがあって前にしっかりとついていき、だから走りにバネがある。日本の大型馬とは走りが違う印象。陣営が話すような細い感じはなかったし、東京競馬場に滞在しているので、輸送はなく、当日は現状よりも少し増やしてくるかもしれない。

2000mを中心に使われているが、23年1月の香港スチュワーズカップ(GI)でマイルを走り、1馬身差の2着に駆けている。出脚良く2番手につけ、直線で粘り強く脚を使うという内容。勝ち馬は香港でマイルを中心にGIを10勝したゴールデンシックスティだった。

血統面を見てもマイルに適性がないはずがなく、大箱の府中ならなおさらだろう。1分31秒前後の競馬になってとまどう可能性はあるが、これまでの走りや攻め馬、そして、この馬の勝負根性から、しっかりと対応してきそうだ。

渋った馬場というのは、少し時計がかかるという点ではいいかもしれないが、稍重だった前走のクイーンエリザベス2世カップでは少し弾け方が違った、それでも外から伸びてプログノーシスと叩き合って抜かせておらず、極端な道悪でなければこなせそうだ。シャム師も「雨でも心配ないと思っている」と話している。

ヤネのジェームズ・マクドナルドは、世界を股にかけて活躍し、22年にはロンジンワールドベストジョッキーを受賞した。G1の通算勝利数は90勝になる。ロマンチックウォリアーとのコンビでは7つの勝ち鞍がある。ちなみにデビュー後の4連勝で手綱を取っていたのがモレイラ。ヴォイッジバブルに騎乗するパートンも乗ったことがある(23年のチャンピオンズ&チャターカップで2着)。

とにかく、“強い!”という印象がある同馬。脅威になるというより、そもそも格的には上で、コースも距離ないはずで、デキも良さそうだ。フェアリーキングプローンがそうだったように、力強い伸びを見せて[結論部分]。

なお、シャム師は00年にフェアリーキングプローン(香港)が安田記念を制した時、来日して攻めをつけていた。

【ヴォイッジバブル】

ヴォイッジバブルは香港のイウ厩舎から挑む6歳のセン馬。今年の1月に香港ゴールドカップを勝っていて、これが唯一のGIタイトルである。昨年の香港マイルはゴールデンシックスティの2着で、この時の2馬身3/4離れた3着馬がナミュール、さらに4着がソウルラッシュだった。

今年の香港ゴールドカップでは、2000mの距離で内に並んだロマンチックウォリアーと叩き合ってクビ差の2着に応戦している。GI勝ちは1つでも、ロマンチックウォリアーに大きの差のない力を持っていると考えていい。

550キロ級と馬体重は大きい数字。しかし、ロマンチックウォリアーと同じく、緩さは感じさせず、走りに重たさはない。だから出脚が抜群に速く、ポンと出て好位で運ぶ競馬が多くなっている。

ロマンチックウォリアーと同じく、香港→成田国際空港→東京競馬場という行程で21日(火)に国際厩舎に入った。乗り込みは順調で、26日(日)にはダートコースで72秒-12秒台で追われ、木曜は芝コースに出して71秒-12秒台を乗った。

木曜は、首を少し下げ、上下動が少なくて、前脚も後ろ脚も出がスムーズでバランスのいい走りを見せていた。跨っていた調教助手は、「(シャティンにいた時と比べて)特に変わることもなく、どちらかというと健康面もコンディションもすべて良くなっていると思います」とコメントした。

香港以外で競馬をするのは2回目。1回目は今年3月のドバイターフで、結果は13着だった。1番枠からスムーズに流れに乗り、道中はインでなだめつつの手応え。直線は少し窮屈なところに入り、追われてグンと来る感じはなかった。残り200mからは外と馬体が接近し、相手が落馬して、あとはヤネが流した。左回りに関しても海外遠征に関しても、この一戦でダメと決めつけるわけにはいかない。

出脚の良さからして、テンションが無事ならスッと出て自然と前で運ぶ形になるだろう。持久力があって、府中の長い直線でも脚を使えるはず。そして、何よりヤネがザカリー・パートンというが魅力である。スペシャル級に強く的確に追ってくるジョッキーで、ただ、腕力が強くて強引というわけではない。

馬場に関して、前走が稍重で少しぐらいなら渋っても対応してきそう。香港馬は日本でいう強さと違う強さがあり、[結論部分]。

なお、イウ師は10年にスプリンターズSにウルトラファンタジーを送り込み、勝利を収めている。

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