秋競馬を待ちわびた我々と、セントウルSを待ちわびた3歳馬

日本競馬は、3歳春までに1200mのGⅠが用意されていない。

よって短距離タイプの馬は、牝馬なら阪神JFと桜花賞、牡馬なら朝日杯FSとNHKマイルCをまず目指すことになる。葵Sが重賞昇格して多少は変わりつつあるけれど、「短縮はいつでもできる」「一度短縮してしまうと我慢が効かなくなる」という前提もあって、やはり3歳春はマイルで頑張ろうとする風潮がまだ根強い。

春に「距離長いなあ……」と薄々感じながら走っていた人馬にとって、スプリンターズSのステップにあたる1200m重賞は待望の条件であり、それと同時に、なんとか結果が欲しい正念場でもある。秋競馬の開幕を待っていたのは我々だけではなく、スピード自慢の3歳馬も同様なのだ。

いつも通り、数字をお見せしよう。

3歳の好走5頭はアクティブミノル、ラブカンプー、イベリス、ファンタジスト、ピクシーナイト。このうちラブカンプーを除く4頭は、直近2走以内でマイル戦を走っていた。

時系列に沿った言い方をするならば、マイル→スプリントの転向初戦か、2戦目なら狙い目だ。本当は「強いスプリンター」なのに、みんなから「弱いマイラー」だと思われているうちに、「俺だけは分かってたけどね」としたり顔で回収しよう。善は急げ、鉄はアツいうちに打て、だ。

特別登録馬をチェックすると、今年の3歳でスプリント転向2戦目以内はドルチェモア、ブトンドールの2頭。

マイルGⅠ馬のドルチェモアは微妙なラインだけど、ブトンドールの「待望感」は強烈だ。なんせ、函館2歳S勝ち馬で3歳春はマイルに行ったけどダメでした、という戦績は、10番人気1着したアクティブミノルと同じなのだから。

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【4歳だけど言いたいことは同じジャングロ。1番人気には黙ってアグリーでいいのだ。】

ところで、さっきの論法で行くともう1頭、このセントウルSを待望していた馬がいる。それが何を隠そうジャングロだ。

3歳春にとりあえずマイルGⅠを使った後、1年の休養を挟んだものの、これがスプリント転向2戦目。まだまだ打てそうなアツさだ。

休養明け、千直という特殊条件で58キロを背負ったアイビスSDは、個人的にはもっと負けてもおかしくないレースだと思う。6着同着に踏みとどまったのは相手が甘かったのか、この馬の地力か。オッズ次第では後者にベットするのもアリだろう。

そしておそらく1番人気になるのはアグリ。いまセントウルSは1番人気が11年連続連対中、7連勝中というカチコチレースなので、思考停止でとりあえずAgreeでもいい気はする。

一応補足しておくと、2勝クラスを勝った時はスローペースの逃げからラスト11.0-11.0を踏んで、阪急杯は一転、前半33.9秒のスプリント戦らしい流れにもきっちり対応できている。ここは崩れない前提で組めると、考えることが減ってだいぶんラクになるね。