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【日本ダービー】能力のジャスティンミラノvs条件好転のレガレイラ&アーバンシック 有力馬の調査レポート

日本ダービー(東京優駿)

ジャスティンミラノ

能力評価:★★★★★

苦手条件:2400mに一抹の不安?

臨戦過程:共同通信杯、皐月賞と歩んで王道の中5週。特にマイナスなし

《寸評》
新馬戦はスローを先行抜け出しの形とはいえ、のちに一方的な内容で2連勝するヘデントールを封じたもの。共同通信杯は出遅れたが、少頭数と外枠とスローのおかげでリカバーが効き2番手を確保。そこから押し切った。展開利があったのは事実だが、ラスト10.9-10.8も上がり32.6秒も「スローだから出た」という次元ではない。強い馬でなければ出せない数字。2着ジャンタルマンタルはその後NHKマイルCを勝っており、レースレベルも高かった。

皐月賞は一転、1000m通過57.5秒のハイペース。自身の経験してきた流れより5.2秒も速かった。これの好位をすんなり確保し、それで脚も削がれなかった対応力には舌を巻く。当時「この臨戦過程で勝ったらエフフォーリア級」みたいなことを書いたが、本当に勝ってしまった。素晴らしい馬。

ただし、大前提として母マーゴットディドは芝5FのGⅠを勝ったスプリンター。ハイペースを先行したあとの400m延長が大歓迎という馬ではないはず。あとダービーの過去10年でも「前走上がり6位以下」【0-1-3-72】複勝率5.3%、複回30%とよくない。このあたりがど~~~~~~も引っかかる。非常に強いが、断然人気でも全幅の信頼といえるかは微妙。

レガレイラ

能力評価:★★★★

苦手条件:ゲート悪く、小回り多頭数でアダになりがち

臨戦過程:皐月賞は年末からの直行。2戦目で上積み見込める

《寸評》
唯一東京を使ったアイビーSは負けているが、これはペースが遅すぎて自身の上がり32.7秒で届かず。参考外。ホープフルSは4角ショウナンラプンタを起点とするゴチャつきがあり、外目を回されながら、直線は急加速してラスト12.0-11.5のラップで差し切った。強い勝ち方だった。ただ、後述するシンエンペラー含め、この組は皐月賞でいずれも見せ場なく敗戦。メンバーレベルは皐月賞>>ホープフルSと見るのが妥当ではある。

その皐月賞は後方待機から上がり33.9秒を使うも届かず。先に「1000m通過57.5秒のハイペースで」と書いたが、それは中団より前の話。逃げたメイショウタバルから推定2.5秒ほど後ろを走っていたレガレイラは60.0-57.6のペース配分だから、さすがに後ろすぎた。

ゲートのあまり速くない馬なので、小回り多頭数の皐月賞は合う条件といいがたい。直線が長い東京に替わるのは明確なプラス材料で、距離延長を見据える意味では前走後ろから運んだのも好印象。鞍上が主戦かつ東京芝2400mの王・ルメールに戻る今回は好材料てんこ盛り。あとは能力さえ足りれば。

アーバンシック

能力評価:★★★★★

得意条件:広いコース
苦手条件:中山

臨戦過程:京成杯から中12週で皐月賞出走。そこから中5週はキャリア最短の間隔

《寸評》
百日草特別は出遅れから隣の馬に寄られて最後方。逃げた馬がラスト11.7-11.5-11.3と快調に加速していくところ、上がり33.2秒の鬼脚を使って無理やり差し切った。勝ち時計1:59.4も2歳戦としては優秀で、負かした相手もアドマイヤベル(フローラS)、ホーエリート(フラワーC2着)など一定のレベルにあった。

京成杯もスタート後ダッシュがつかず。自身を除いて道中1~5番手の馬がごっそり6着まで占める決着に、唯一4角10番手から上がり最速で追い込み2着。4角は内にモタれて加速がつかず、短い直線だけでいい脚を使った。中山が全く合っていない中で重賞を好走した。皐月賞もこの馬がいた集団はスローペース寄り、やはりコーナーで内にモタれる面を見せつつ、直線盛り返して4着。不器用だが世代トップ格の能力がある。

東京での高いパフォーマンスと、右回りだと内にモタれて操縦性を欠くところは父スワーヴリチャードと瓜二つ。そのスワーヴリチャードは高速決着の皐月賞で差し損ね6着→ダービー2着と前進した。こちらも条件替わりは絶好と言っていい。逆に懸念材料を挙げるなら、これまで間隔を取りながら使われてきた馬が初めて中5週と詰まること。こればかりはやってみないとわからない。

ダノンエアズロック

能力評価:★★★★

得意条件:左回り?
苦手条件:右回り?

臨戦過程:弥生賞大敗後に軽微な骨折……と言っていたはずが2か月でプリンシパルSに出てきてあっさり勝利。中2週はややキツいローテ

《寸評》
新馬戦は稍重馬場ながら、6月東京芝1800m新馬史上最速となる1:48.1を記録して勝利。アイビーSも展開利があったとはいえレガレイラを破り、後半1000m57.7秒をマークした。東京マイル以上の2歳戦で後半5F58秒を切った馬はたいていGⅠ級まで出世しており、こちらもポテンシャルは間違いなく高い。

その走りに比べると弥生賞の惨敗が不可解。レース後に「軽微な骨折」ということで一時的に納得していたが、その後2か月でプリンシパルSに出てきて快勝しているので、骨折の影響は限定的だったはず。じゃあ敗因は何か。いろいろコメントを読み漁ると右回りの手前変換に難があるようで、そこに求めるのが正解っぽい。あとデビュー時より馬体重が38キロも増えていたので、それもあったかも。

プリンシパルSは手応え抜群の好位追走から楽に抜け出し、ラストは流す余裕も見せての勝利。後半1000mは58.0秒とまたも優秀な数字だった。

ただし今回は急激な相手強化と距離延長、そして中2週の厳しいローテと課題は多い。ドスロー参考外のアイビーSでレガレイラを破った以外、裏付けとなるような強敵と戦っていない。あまり強気にはなれない。

シックスペンス

能力評価:★★★

得意条件:小回りの極限切れ味勝負

臨戦過程:スプリングSを快勝したが「レース後の歩様がよくない」との理由で皐月賞を回避。ダービーへ中9週

《寸評》
新馬戦は中山マイルで、超のつくスローペースからラスト2F11.9-10.7の衝撃的な加速ラップを踏んで勝った。が、着差がアタマで2-3着には後ろから迫られたこと、ほか出走馬12頭が芝勝ち上がり0頭と苦戦していることから、あまり評価したくない一戦。「9月中山加速ラップ詐欺」問題も参照されたい。

ひいらぎ賞もレースぶり、時計、相手関係ともに平凡な1勝クラスという評価。取り立てて書くことなし。スプリングSは1000m通過63.1秒のあとも12.6-12.0とピッチがなかなか上がらず、さらに直線追い風も重なったことでラスト2F10.9-10.8という痛烈なラップが出た。奇しくもこの2Fは共同通信杯と全く同じ。もちろん「スローだから出た」で済まされる数字ではないし、後続を3馬身半離したパフォーマンスも立派なのだが……。2着アレグロブリランテは皐月賞15着、3着ルカランフィーストが同8着となると、皐月賞組との比較で優位に立てるかは微妙と言わざるを得ない。

現状分かっているのは「中山の1600~1800mでスローの極限切れ味勝負ならよく切れる」ということだけ。左回りは初、2400mはもちろん初。東京で地力が問われる流れになったときにどうかも未知。もっとも、キズナ産駒で「ドスローの瞬発力勝負専」があまりいないのもまた事実。オッズ次第で買い目に組み込んでもいい。

シンエンペラー

能力評価:★★★

得意条件:スタミナ競馬?
苦手条件:ソラ癖あり

臨戦過程:弥生賞を叩いて皐月賞を使ったが、当時は陣営のトーンが上がり切らず。中5週の今回は「前走と違っていい」のコメントも。

《寸評》
凱旋門賞の全弟で母父ガリレオ(その父サドラーズウェルズ)という重厚な血統背景を持ちながら、東京の新馬戦はラスト11.1-11.0の加速ラップを踏んで快勝。軽い芝にもある程度は対応してくる。

京都2歳Sは例年になくハイレベル。ホープフルSは一度抜け出すもソラを使って2着。当時の勢力図では間違いなくトップ集団に位置していた。休み明けで弥生賞2着ののち、皐月賞に出走するも、どうも陣営のコメントがいまひとつ。レースは中団追走から伸びずバテず。すぐ目の前にいたジャスティンミラノには突き放され、後ろからはコスモキュランダとアーバンシックに飲まれる寂しい内容だった。完敗。

タイプ的に東京替わりは特にプラスにならず、距離延長も問題なし~ややプラス材料、という程度。皐月賞での序列をひっくり返せるかどうか。状態面では前回時より上がっているようだが、上積みらしい上積みはそこだけ。食指が伸びない。

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