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競馬ナイト+(プラス) 2024年9月号発行・文:鈴木ユウヤ

1.編集前記

甘い食べ物が好きな人間のことを「甘党」と呼ぶ。対義語に「辛党(からとう)」という言葉も存在しているが、こちらの意味は「酒を好む人」であって、辛い食べ物とは関係ないそうだ。
 
わたしには街の甘味を「鈴木スイーツセレクション・夏」のマップにまとめるような熱意こそないが、昼食の代わりにコーヒーと甘いものを嗜み、脳の活力を補給するのが日課だから、いわば「中道甘派」に分類されるのではなかろうか。もっとも「酒を好む人」でもあるのだが……。
 
さて。馬券において、人気がない馬を好んで買う人間のことを「穴党」と呼ぶ。対義語に「本命党」という言葉も存在して、こちらはキレイに対称関係だ。正確には本命党も「人気がある馬」を好むのではなく「的中を求めた結果、人気馬をよく買う」と評した方が適切だろう。誰しも当たった馬券の配当は高いほど嬉しい。
 
わたしはかつて「穴党」だった。特に大レースではそれが加速し、人気がない順に各馬の勝算を探っていくのが当たり前。「人気馬に◎を打っても面白くない!」と本気で思っていた。GⅠは2桁人気から買ってナンボだ、と。
 
それは何か爆発的な成功体験があって大金獲得の味が忘れられず……というドラマチックな理由ではなく、初心者の時に見かけた「競馬は穴を当てないと長期スパンでは勝てない」なる言説を信じてしまったことに起因する。ずいぶん遠回りをさせられたものである。
 
じゃあ今は「本命党」なのかと言われると、実はそうでもない。詳しい内容は7月号で書いたものに譲るが、見るのは「好走確率と評価の乖離」に尽きる。実態よりアンダーエスティメートされていると判断した馬がたまたま人気だったり、たまたま穴だったりする。それだけの話である。
 
そんな「どっちつかず党」のわたしだが、今回の2章は「データで当てよう! 単勝万馬券」と銘打った。「穴狙い」という行動が持つ性質を整理した上で、大穴馬を買うべき場面、買うべきでない場面をデータとともに考察していく。
 
ほか、恒例の重賞データ分析、秋GⅠの口火を切るスプリンターズSの展望、佐々木大輔騎手の研究など……秋競馬のスタートダッシュに役立つ情報をたくさん詰め込みました。
 
スターホースも徐々に戦線復帰してくる9月競馬。そのおともとして、今月号もぜひ楽しんでいってください!
 
2024年9月2日
鈴木ユウヤ

目次

1.編集前記
2.馬券の買い方研究
 「データで当てよう! 単勝万馬券」
3.GⅠ大予言! スプリンターズS
4.重賞レース「眼の付けどころ」
 紫苑S~シリウスS
5.地方もアツいぞ!
 不来方賞、日本テレビ盃
6.「この騎手この条件」
 重賞2勝でブレイクの予感 佐々木大輔騎手を徹底分析
7.金脈発掘! 「コースのバイブル」
中山芝2200mの攻略法
8.競馬クイズ「走る大捜査線」
9.お礼とあとがき
 
複製・再頒布は禁止しますが、なるべく多くの方に紹介してもらいたい気持ちもあります。良識の範囲内でお願いします。
※出走想定などの情報は9月1日時点のものです。報道された情報に基づいていますが、変更される可能性もあります。ご了承ください。

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