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【桜花賞】強者揃いの頂上決戦! 有力馬の調査レポート

桜花賞

クイーンズウォーク

能力評価:★★★★★

得意条件:不明だが、距離はもう少しあってよさそう

臨戦過程:長い休養はとっていないが、中6週で出走したクイーンCから中7週。特に不安なし

《寸評》
新馬戦は1000m通過63.9秒のラク逃げを打ったオスカーブレーヴがラスト11.0-11.1と急加速したところで置かれてしまい、G前で再度迫ったところがゴール。負けはしたが、おそらく自身もラスト10秒台の脚を使っていた。

2戦目は阪神外回りとしては非常にレアな加速ラップを余裕ありげに叩き出して順当勝ち、クイーンCは後半1000m57.7秒という高次元のスピード持続戦を後方から一刀両断した。ここまでの3戦はいずれも内容が素晴らしい。

グレナディアガーズの半妹でありながら、デビューから2戦1800mの緩い流れに問題なく対応できていたことから、本質的にはもう少し長めの距離がベストだとは思う。今回はその中でのマイル。同じクイーンC勝ち馬でたとえるとクロノジェネシス(桜花賞3着)に似たイメージか。桜花賞は多少適性外でも能力でなんとかなってしまう例が多いので、あまり気にしなくていいのでは。

アスコリピチェーノ

能力評価:★★★★

苦手条件:極度の瞬発力勝負はイマイチ?

臨戦過程:新潟2歳Sで早々に賞金を確保し、直行で阪神JF制覇。今回も直行。放牧先で熱発があったそうだが、3月中旬には入厩済み。栗東滞在

《寸評》
新馬戦はスローペースを後方から上がり最速で差し切り。新潟2歳Sも3番手集団以下は1000m通過が60秒を超す事実上のスローだったが、危なげなく前を捕らえて勝利した。ただ、上がり3Fはジューンテイクとシリウスコルトよりわずかに遅かった。

初の右回り、関西圏となった阪神JFは中団馬群のなかで進め、4角でミライテーラーが膨れた間隙を利用してスムーズに進路確保。しっかり伸びて前をかわし、2着馬との追い比べも制した。勝ち時計1:32.6はレースレコードだった。

ここまでの3戦は弱点のない優等生という感じ。強いて言えば、ダイワメジャー×アスコルティ(その母リッスン)という背景からして、あまり極端な瞬発力勝負になったら見劣る危惧はある。ドスローだけは避けたい。それでも、経験値とレースセンスを考慮すると最も安定感のある1頭だと思う。

ステレンボッシュ

能力評価:★★★★

得意条件:叩き良化?

臨戦過程:秋に阪神JF含む3戦を消化し、今回は直行。中間は栗東滞在

《寸評》
デビューから3戦は正直そこまで目立たず。赤松賞は1:33.8の好タイムではあったが、ラップ構成や破った相手の面でアルテミスSよりワンランク落ちるイメージでいた。

阪神JFは内枠からアスコリピチェーノの背後を徹底マーク。相手が抜け出す進路をそっくりそのまま踏襲してタイム差なしの2着まで来た。上手くいった面はある。枠と展開次第で勝負圏内にいるのは確かだが、強調点に欠く。また、昨秋3戦のパフォーマンスは休み明け+16キロでイマイチだったサフラン賞から徐々に上がって行った。叩き良化型の可能性もあり、ぶっつけでどうか。

スウィープフィート

能力評価:★★★

得意条件:不明

臨戦過程:中1週で出走した阪神JFののち、賞金加算に2戦要した。上位人気陣では唯一の強行軍。上積みに疑問

《寸評》
白菊賞は超スローペースに上がり33.1秒で追い込んで差し損ね、阪神JFは大出遅れから内有利馬場の大外を上がって行くロス特大の競馬で7着、エルフィンSは伸びない内を走らせてまんまと外から差された。厳しいようだが全部よろしくない騎乗だった。

そこから乗り替わりの前走で一発解答。前が飛ばして展開が向いた面はあるが、大外一気のいい勝ち方だった。とはいえチューリップ賞には他の阪神JF組が1頭もおらず、別に年末時点での序列が入れ替わったわけではないことに注意。過去10年の桜花賞で前年阪神JF6着以下馬【0-0-0-26】。使い込んできて上積みを見込みにくいローテーションも気になる。今回は見送りが妥当。

チェルヴィニア

能力評価:★★★★★

苦手条件:右回りは未経験。3戦全てスローで、前半35.9秒までしか経験がない

臨戦過程:阪神JFでも有力視されていたが、左トモの違和感で回避。アルテミスS以来およそ半年ぶりの実戦

《寸評》
華のボンドガール組2着馬。2戦目は2歳レコードと0.5秒差の好タイムで6馬身差の圧勝を収め、しかも自身の上がりは33.0秒を叩き出した。間違いなくGⅠ級の器。アルテミスSはゲートでやや安目を打ったが、そのぶん馬群での競馬を経験できた。ラスト11.4-11.2-11.0の加速ラップを抜け出して勝利。いや強い。

ポテンシャルの高さは(もちろん抽選対象のボンドガールと並んで)メンバー中でもトップクラス。ただ、今回は頓挫明けで初の右回り、かつアルテミスSの前半600m35.9秒より速いペースをやったことがない点で、他馬に比べて経験値不足の面が否めない。それだけが懸念材料。

コラソンビート

能力評価:★★★★

得意条件:不明。1400mベター説もあるが……?

臨戦過程:阪神JF好走から、休み明けのフィリーズRをひと叩きして中3週で本番。これも栗東滞在

《寸評》
京王杯2歳Sは2歳レコードをマークして牡馬相手に完勝。負かしたロジリオン、オーキッドロマンスもクロッカスSでワンツーを決めるなど、このレースにしては珍しくメンバーレベルがそれなりに高かった。

阪神JFは3着。ただし4角ミライテーラーが外に膨れた事象で、勝ち馬と2着馬の進路がぱっかり空いたのと対照的に、こちらは外へ進路を替える不利を受けた。あれがあっての0.2秒差なら実質的な差はないと思っているし、それでいてオッズに差が現れるなら筋としてコチラを重視したい。

フィリーズレビューはあの相手関係で阪神芝1400mの最内枠をゲットした以上、正直勝ってほしい競馬ではあった。とはいえあくまで前哨戦。レース後コメントの横山武史曰く「調教から具合がもうひとつ」とのことで、あの敗戦ひとつで能力云々という話にはならない。

あと何故か「1400mがベストで1600mは長い」みたいな見解をちらほら目にするが、個人的にはこれがよく分からない。新馬戦は3着に敗れたとはいえ相手がボンドガールとチェルヴィニア、未勝利戦は2歳6月としては優秀な1:34.6のタイムで勝ち、阪神JFは先述の通り不利があっても3着。スワーヴリチャードの産駒はここまで「距離は長いほどいい」という傾向だし、母父はオルフェーヴル、母系にはウインマリリンなどがいる。別に「1400mまでの馬」と考えるエッセンスはない。

レーヌミノルやナムラクレアもそうだけど、フィリーズレビューを使うと「距離が持たない」というイメージが過度に付くのかもしれませんね。

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