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【安田記念】ロマンチックウォリアーに死角はあるか? 有力馬の調査レポート

安田記念

ソウルラッシュ

能力評価:★★★★

得意条件:上がりかかるレース
苦手条件:東京の良馬場は?

臨戦過程:年末の香港遠征から休養を挟み、マイラーズCを叩いて2戦目。順調

《寸評》
マイル転向以降はレース上がりと着順が見事に連動する戦績で、レース上がり34.6秒以上なら6戦全勝、同34.0秒以下なら3戦して馬券絡みがない(※海外は省略)。そして3-8走前は自身の上がりが全て33.5~33.7の範囲に収まっている。つまり、切れ味比べだと相対的に伸び負け、バテ合いになれば浮上してくるということ。

マイルCSは向正面向かい風、直線追い風を考慮すれば実質的にはハイペース。展開的にも自身の適性的にも向いたなかでの2着好走だった。逆に香港マイルはスローを後方待機で負け、マイラーズCは稍重の消耗戦を差し切った。実にシンプルな過程を踏んでいる。

今回はどうか。安田記念の過去10年で、レース上がり34.6秒以上要したのはたった2回。片方はジャスタウェイが勝った不良馬場の年。上がりは速くなるのが通例。したがってソウルラッシュという馬は基本的に安田記念で下げ、京都開催のマイルCSで上げるタイプだと考えている(ペルシアンナイトみたいな扱い)。ただし、今週末はどうも雨の可能性もあるらしい。馬場が渋るようならチャンスは拡大する。

ロマンチックウォリアー

能力評価:★★★★★

得意条件:1周競馬の2000mでは無類の強さ
苦手条件:ワンターンの東京は一抹の不安

臨戦過程:QE2世Cからは中4週。輸送と検疫もあるのでややタイトではある

《寸評》
QE2世C3連覇、香港C2連覇中の香港中距離最強馬。日本馬との比較という意味でもプログノーシスを二度破っており、シャティンの2000mでこれを負かせる日本馬は現役でいないかもしれない。強い。

ただし、あくまでも主戦場は2000m。前走は1000m通過推定60.1秒のペースを中団に構え、3~4コーナーでややモタつく場面もあった。マイルへの短縮はプラスではない。実際、直近のマイル戦だった昨年1月のスチュワーズCではゴールデンシックスティに負けている。まあゴールデンシックスティもめちゃくちゃ強いんだけど。

日本競馬側から見たデータ的な話を2点。まず高松宮記念のときに「1200m重賞に遠征してきた香港馬はベタ買いでOK」というデータを紹介したが、1600m重賞ではさほど通用していない。

もうひとつ、シャティン芝2000mで活躍した日本馬を思い出すと、ウインブライト、エイシンヒカリ、トウケイヘイロー、ヒシイグアスなど、個人的には「秋天(≒東京)大敗馬」や「中山巧者」がフィットするイメージを持っている。逆説的に「ロマンチックウォリアーがシャティン芝2000mで見せてきた圧倒的な強さを東京芝1600mで信じていいのか」に疑問が残る。宝塚記念なら自信をもって重い印を打つのだが……。

セリフォス

能力評価:★★★★

得意条件:スローペースの切れ味勝負
苦手条件:ハイペースでやや甘さ

臨戦過程:マイラーズCは休み明けの「本調子手前」で2着。上積み感じる叩き2走目

《寸評》
3歳でのマイルCS(阪神)制覇が前後半35.1-34.0というレースラップだったように、スローの切れ味勝負なら強烈な末脚を使う。反面、速い流れをまともに先行して追いかけていくと若干詰めが甘い。昨年の安田記念がまさにそんな負け方だった。

3走前のマイルCSは実質ハイペースを引っかかりながら先行し、初の京都でコーナーも外に張るなど噛み合わず0.4秒差。香港マイルはスローペースの後方インに閉じ込められ、やや不完全燃焼の7着。マイラーズCは2着に敗れたが、休み明けで状態もうひとつ、不得手なハイペース、別定での斤量1キロ増を加味すれば、ソウルラッシュとの着順はレース条件次第で逆転しうるものだろう。雨が降りすぎなければ、東京に替わる今回はこちらを上にとりたい。

ナミュール

能力評価:★★★★

得意条件:京都がベターか
苦手条件:以前ほどではないが、連戦にウィークポイント

臨戦過程:ドバイ遠征での激走から帰国。ヴィクトリアマイルを戦って中2週。反動気になる

《寸評》
3歳のころは連戦すると馬体が減ってパフォーマンスも落ちていたが、4歳秋を迎えて克服したか、富士Sから中3週のマイルCSを±0キロで出てきて快勝。さらに中2週で香港遠征し、3着に入る成長を見せた。ただし、マイルCSの勝利は展開と風でハマった面もある。

ドバイターフは勝ちに等しい着差の2着と結果を出したが、断然人気のドウデュースが内で詰まり、勝ったのはGⅠ未勝利馬のファクトゥールシュヴァル。レースレベルは特段高くない。ヴィクトリアマイルは出遅れて、ハイペースでポジションを上げるスキもなく撃沈。ただし、同様に出遅れたルージュリナージュにも先着された点は見逃せない。

やはりハービンジャー産駒の例に漏れず、本質的には東京より京都が合うのでは。今回は中2週のタフなローテで、維持はあっても上積みは期待できない。苦戦を強いられそう。

ガイアフォース

能力評価:★★★

得意条件:緩急ないワンペース戦

臨戦過程:フェブラリーSから中14週。特に休み明けを苦にする馬でもない

《寸評》
昨年4月に初の1600mとなったマイラーズCでいきなり対シュネルマイスターのクビ差2着と好走。安田記念でも中団からジワジワ伸びて0.2秒差の4着。セリフォスとはタイム差がなかった。当時の1,3着馬が既に引退したことを思えば、今年はさらに上の着順……という考え方もできる。

秋は再び中距離路線に戻して振るわず、前走はダートでの2着。近走はどれも今回と条件が遠く、敗戦も参考外でいいだろう。競走生活全体を通してみると、道中一度緩むラップ構成よりも、序盤から流れて淡々と11秒台中盤を刻み続けるようなレースでパフォーマンスが高い。安田記念はそういう展開になりやすく、自身の適性には合った選択といえる。相手候補。

パラレルヴィジョン

能力評価:★★

得意条件:マイルでは3戦3勝

臨戦過程:だいたい2か月間隔で使うローテを続けており、今回も中8週。前走時がマイナス16キロだけに、さらに減ると?

《寸評》
デビュー前から高い評価を受けていたが、骨折で1年近く棒に振って3歳4月に登場。いきなり勝利すると、2戦目は東京芝2000mで1:58.0という1勝クラスとしては破格のタイムで勝った。

その後やや停滞したが、4走前に初ダで1600mを使うと一発解答。ダート馬かと思いきや、霜月S12着ののち芝1600mに転じて2連勝した。本格化ともいえるし、マイルが合っていたともいえる。

ただし2走前ニューイヤーSで破ったメンバーはあくまでOP特別級。レースぶりも高速馬場の中山マイルで好位のインに潜り、内から抜け出したもの。取り立てて強調点はない。

ダービー卿CTも2着以下は重賞大敗が続くエエヤン、東京新聞杯4着のアスクコンナモンダ、昇級初戦だったニシノスーベニアなど、ハンデGⅢらしくやや低調なメンバー構成だった。しかもエエヤンの大逃げで、2番手以下実質ややスローという展開を2~3番手からの勝利。これもあまり強調できない。今回は相手が格段に強くなる。厳しい。

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