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【函館SS2024】函館芝1200mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)

函館SSの好走傾向=内先行有利

函館SS(函館芝1200m) 過去5年好走馬直線進路

直線平均進路:3.6頭目÷大外平均:9.6頭目=馬群内直線位置:38%
4角平均位置:4.4番手÷出走平均数:14.2頭=馬群内道中位置:31%
好走馬上がり3F平均タイム=34.20秒

夏競馬限定の北海道開催の前半にあたる函館開催、その初週で例年開催されるのが函館スプリントステークス(以下函館SS)である。
このレースは近年は特殊な年がいくつかある。2021年は東京オリンピックのマラソン競技が8月に札幌で行われることによる混乱を避けるために函館開催と札幌開催の日程をそのまま入れ替えた。
また、2019年は週末に飼料への禁止薬物混入が疑われたため土日合わせて156頭(出走予定の15.9%)が競走除外となったことでこのレースも7頭立てとなってしまったり様々な事案があった。
レースの傾向は平均だと直線進路は内ラチから3.6頭目で38%、4角は4.4番手で前から31%ということで明確な「内先行有利」が顕著である。

急カーブ&短直線

函館芝コースレイアウト

JRA全競馬場 芝1200m直線距離

函館競馬場は1周1,626.6m(A)で中央競馬の中では3つ目に短くコンパクトなコースである。直線は262mで最も直線が短く、ラスト2Fのハロン棒は直線進入後すぐに訪れてしまうほど。
コーナーは角度がついているため窮屈な上に直線が極端に短いために、レース終盤のスパートでペースダウンしないようにスパイラルカーブを採用している。

JRA全競馬場 芝1200m逃げ馬成績

向正面や直線が短く、コーナーが窮屈、そして最後の直線が極端に短いために内先行馬が圧倒的に有利なコースである。逃げ馬の平均成績は勝率が最も高く、連対率と複勝率は2番目に高いため顕著である。
重賞に限らず、条件戦も含めて芝1200mを予想するためには黙って逃げ馬の複勝を買い続ければ、約1/2の確率で的中すると考えると圧倒的なデータである。

最高の馬場状態

1年ぶりの開催、しかもその開催週に行われる当レースはとにかく馬場状態が良好であることが特徴の一つ。上記にもあるように、過去5年の傾向では直線内5頭以内に連対馬といった具合で、内が綺麗な上にこのコース形態だと内有利にならないほうがおかしいと言っていいだろう。
前回開催後に芝の張替え作業を実施して、1年かけてじっくり芝づくりをしているため馬場状態が良好なわけだが、馬場の根が強すぎる事や生育環境の整備のために開催前にはエアレーション/シャタリング作業も行っている。

函館競馬場 馬場スケジュール

函館競馬場がエアレーション作業を実施するのには本州や小倉の競馬場で見られる「強く生えてしまった野芝の根を断ち切る」ということだけではない。降雪期間で降った雪が芝にのしかかるために路盤を圧迫してしまい土壌が踏み固められてしまうため、根に刃を入れることが必要になるのだ。
そのため、通常エアレーション作業は開催直前(1~1.5ヶ月前)に行うことが多いが、函館が使用する洋芝は刺激の弱いため直前作業だとかえって馬場が傷んでしまうことから、雪解けの3月末~4月中旬ですでに実施してしていた。
エアレーション作業の特徴として、作業から時間が経つと馬場が乾燥し、路盤の硬度が高まってしまうことがある。これによって、2016~2017年は馬場が高速化して函館SSは2年連続レコードタイムが出た。

高速馬場化(≒反発係数が強くて競争馬に危険を及ぼす)考慮して、2018年以降は3月末と5月中旬に合計2度作業を施して馬場の柔らかさを出すように努め、それ以降レコードタイムは出ていない。

当週の馬場傾向

<トラックバイアス>
2018年 土曜:4.0/日曜:2.9
2019年 土曜:3.4/日曜:3.4
2020年 土曜:3.4/日曜:4.0
(※2021年は札幌開催)
2022年 土曜:4.7/日曜:3.8
2023年 土曜:3.4/日曜:4.2

※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値

ここまでの先述通り、馬場状態が良いために内有利が顕著である。2020年だけは特殊な開催で、函館SSが2週目4日目での競走試行だった。しかしながら傾向はあまり変わらず内有利だったため同じ括りとしていいだろう。
今年も公開されている限りの情報では馬場は良好。天気も週末に崩れる予報がなため、例年通り内先行有利の傾向になるだろう。

注目馬

◎カルネアサーダ
キャリア23戦で4角平均通過位置は2.21番手と明確に前に行ける馬。一度だけ6番手/15頭立と中断になったことがあるが、これはダ1200m重賞でテンのスピードがかなり激しいレースだったし、その後のダート戦で1~2番手につけた競馬ができているため、心配は少ないだろう。
昨年の同舞台ではレース後の鞍上コメントで「内なら勝負になっていましたね。大外枠はきつかったです。」とハッキリと明言していて、重賞馬が複数存在していた昨年でこれだけ自信があったのならば、今回のメンバーでも十分勝負できるのではないか。


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