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【皐月賞S2024】中山芝2000mの特徴と馬場傾向(トラックバイアス)

皐月賞好走傾向=外(先行)有利

皐月賞(中山芝2000m) 過去5年好走馬直線進路

直線平均進路:9.7頭目÷大外平均:14.6頭目=馬群内直線位置:67%
4角平均位置:6.7番手÷出走平均数:17.6頭=馬群内道中位置:38%
好走馬上がり3F平均タイム=35.40秒

春の牡馬クラシック初戦。引き締まった2000m戦になるためレーススピードが求められるだけでなく、4月までに世代トップクラスに成長できるほど仕上げが早いことが「最もはやい馬が勝つ」と言われる所以だろう。
好走馬は直線進路が馬群の真ん中よりも外に傾向があるため「外有利」である。脚質は4角平均6.7番手で馬群の真ん中より前にいることが多い。ただ全てが先行馬なのではなく、中団んからポジションを押し上げている馬も多く、4角のコンパクトな周回コースらしい展開。
上がり平均は35.40秒で比較的かかり気味。馬場の重たさもあるが、前半から速いスピードを長く維持する展開が多いため、いくら末脚がキレキレでもスタミナがないと通用しない。

中山春の開催最終週

中山開催スケジュール

中山芝の状態が最も良いのが夏場の芝張替作業直後の9月、第4回開催で、その後2ヶ月間隔をあけて有馬記念・ホープフルSが行われる年末の開催と金杯から始まる年初め第1回開催、そして1ヶ月休養を挟んで3月から2~3回開催とスケジュールが流れいく。
よって芝張替作業直前、最も芝の整備から時間が経過しているのがこの時期であり、最終週にあたる皐月賞施行日が最後の日になるわけだ。

時期的なこともあるが、夏前の阪神開催は最も芝が傷んでいてタフネスな馬場状態だから宝塚記念はタフなレースになる、逃げ馬が逃げ切るのは難しい、とよく言われているように、皐月賞もシーズン的な側面とは別に蓄積した馬場の傷みが強い時期にレースがあると言える。

世代限定中山芝2000mでハイレベル

中山芝2000m重賞スケジュール

中山芝2000mは年間6度重賞あり、2,3歳の世代限定で牡馬が中心となるレースは年末のホープフルS、年明けの京成杯、3月のディープインパクト記念弥生賞、そして4月の皐月賞と4つである。

中山芝2000m世代限定戦ラップ比較

レース個々立ち位置が異なるため、レースの質が変わる。皐月賞が中山芝2000mで行われる2,3歳世代限定戦で最大の目標であり、故に最もレベルの高いレースとなる。各馬が結果を求めるために前半から速いラップを刻み、最後までそのスピードを落とさない展開となる。
その皐月賞に向けたステップレースになる京成杯と弥生賞ディープインパクト記念(以下弥生賞)はメンバーレベルやこの後に向けた前哨戦であるために皐月賞出走のための賞金が足りている馬にとっては結果を求めないレースになるため、ペースはゆったりで山なりのラップを刻むこととなる。

中距離戦において前半が流れてスタミナを使いつつ、向正面で息の入らないラップとなれば後半はバテた状態でのレースになるために脚質は前の馬に苦しくなって、最後に末脚を残せているタフな馬が浮上し、それらの上がりは34~35秒台でかかってしまう。


当週の馬場傾向

<トラックバイアス>
2019年 土曜:6.7/日曜:4.7(良/良)
2020年 土曜:8.0/日曜:9.1(不/稍)
2021年 土曜:7.2/日曜:7.6(良/稍)
2022年 土曜:6.2/日曜:8.2(重→稍/稍→良)
2023年 土曜:8.7/日曜:12.5(稍→重/重)

※数値はその日の3着内馬がL1Fで内ラチから何頭分離れた場所を走ったかの平均値

先述の通り3回開催最終週、最終日に行われるため馬場状態は内側の傷みが強く、それがレースに影響している様子。特にこの数年は皐月賞開催前後に雨が降って道悪になっていることが多い。近5年では土日ともに良馬場だったのが2019年のみで、3回開催4週目2日目(皐月賞施行日の日曜)に限っては2020年以降終日良馬場がない。天気が荒れやすく変わりやすい春の気候と前年末から使い続けている経過による馬場の傷み、大規模芝張替前の1年で最も芝が弱く傷んでいる時期なども相まって内外のバイアスの差は大きいと言える。
今年も先週には直線は「内外差無~外有利」の傾向が顕著。幸い今年はレース当日に天気の心配はないだろうが、それでも例年通り最後に馬場の真ん中より外を走る馬が突き抜けるシーンも容易に想像ができるだろう。

注目馬

◎メイショウタバル
毎日杯①着は、走破時計は1:46.0(過去17年で2位タイ)と好時計。過去に毎日杯(芝1800mに限る)を1:46.5以下で勝利したのはディープスカイ(08年/NHKマイルC①,日本ダービー①)、キズナ(13年/日本ダービー①)、アルアイン(17年/皐月賞①)、ブラストワンピース(18年/有馬記念①)、シャフリヤール(21年/日本ダービー①)と全てその年のGⅠを勝利している。
しかも内容は前半4F 47.3-後半46.4(後傾0.9秒)で、「前半47秒台前半以下→後半46秒台後半以下」にまとめたレースは2021年シャフリヤール(45.9-46.3)、2017年アルアイン(47.4-46.4)と2度しかない。
先行脚質はこのレースに適しているし、脚を余すことなくスピードでねじ伏せられるのが魅力。

○レガレイラ
ホープフルS①着のGⅠ勝利馬。2歳時にて2つしかないGⅠを勝った紛れもない実力上位馬。前走こそチャカついて後方からの競馬になったが、それまでは比較的前で競馬ができていたし、前走同じ舞台で3~4角にかけてポジションを押し上げて前を捕まえられるように仕掛けていった。
開催後半の函館でデビューし、年末の傷みの強い中山でGⅠ勝利は、今の開催が続く傷んだ中山芝にも通づるものがあり、馬場状態も克服できるだろう。

★最終予想はX(旧Twitter)で公開予定です。


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