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競馬で家を建てよう🏠

今回は、競馬における資金管理について少し深掘りしてみようと思います。

以前、こちらの記事で資金管理について取り上げました。

「資金管理=メンタル管理」この考えは今でも変わっていません。

前回の記事では説明不足だった点や、他の投資法についても説明していきたいと思います。


競馬における投資法とは

 恐らく、競馬ファンの大半は「今日は手持ちが結構あるからこのレースには○円!」「今日は調子がいいから多めに…」「給料日前だから豆で遊ぼう」といったレートの決め方をしているのでは無いでしょうか。

 競馬は1レースあたりの賭け金はもちろん、買い目あたりの賭け金も自由です。そのため、賭け金の決定が収支に大きく影響してきます。

 その点、パチンコなどは1玉あたりの金額が決まっているため、どんなに負けようが1日で負けられる金額には上限があります。しかし、競馬は1レースで給料を全て失うことも可能です。逆に、賭け金次第では1レースで数百万のプラスを出すことも可能です。

 なんとなくのレート決定をやめて、自分にあった投資法を身に着けることで「このレース厚めに行ってれば…」「配分せずにベタ買いにしておけば…」と言った後悔を最小限にすることができます。

 今回の記事では、有名な投資法を掘り下げて、それぞれのメリット、デメリットを紹介して行きます。

 それぞれ詳しく説明していきますので、興味のない投資法は目次からスキップして貰ってOKです。


1.追い上げ

 マーチンゲール法、ココモ法、モンテカルロ法…ギャンブル好きな方なら一度は聞いたことがあるかもしれません。

 簡単に説明すると「負けなければ勝つ」の理論で、馬券が外れたら賭け金を増やして、さらに外れたらさらに増額して、当たった時にこれまでの負け分を一気に取り戻す投資法(?)です。

 マーチンとまでは行かないものの、無意識のうちに追い上げをしている場合があります。「午前中で負けたからメインレースにぶち込んで一発逆転!」「メインレースで負けたから最終で全捲り!」これも立派な追い上げです。


 追い上げは理論上では必勝法

 例えば、的中率50%、平均オッズ2倍の予想方法があったとします。50%の確率で2倍のオッズなので、回収率の期待値は100%となりますが、マーチンゲール法を使えば必ず100%超の回収が可能です。

 マーチンゲール法では、以下の画像のように、オッズが2倍の場合、ハズレを重ねるごとに前回の賭け金を2倍にしていき、的中したら初期のレートに戻します。

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 どこかで当たれば必ず100円儲かります。

 実際に的中率50%、平均オッズ2倍、初期BET額を1,000円として1,000レース購入したシミュレーション結果がこちらです。

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 回収期待値が1.0なのでベタ買いでは儲けも0、損失も0ですが、当たれば当たった回数だけ利益になるマーチンゲール法ではプラス50万円、回収率は106.1%となりました。無敵です。

 ルーレットなどのカジノでよく用いられるマーチンゲール法ですが、競馬のオッズは2.0固定ではないため、賭け額を臨機応変に変動させていく必要があります。

 賭け金=前回の投資額 × ( オッズ ÷ ( オッズ - 1 )) で求めることができます。買い目のオッズが3倍なら3÷(3-1)で1.5倍の賭け金、5倍なら1.25倍と、オッズが高ければ高いほど前回の賭け金からの倍率は少なくなっていきます。


 マーチンゲールの弱点

 もうお気づきの方も多いと思いますが、必勝法であるマーチンゲールにも大きな欠陥があります。競馬に使える資金が有限であることです。

 仮に投資100円からスタートしたとして、オッズ2倍で10連敗後の賭け金は102,400円です。賭け金含めたこれまでの総投資が204,700円。100円のプラスのために20万円を使うの、さすがにどうなんですか?

 先ほど紹介した回収率期待値100%で50万儲けの画像にも続きがあります。

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 エクセルで関数を使って、レース結果が設定した的中率に応じてランダムで変動するようにシミュレーションを行いました。

 最も負けている時は競馬資金がマイナス146万円です。借金です。いつかは必ず勝てるとは言え、さすがに無理があります。

 また、仮に資金が無限にあったとしても、自分の投票でオッズが破壊されてしまうので、追い上げ必勝法は破綻してしまいます。


 追い上げを活用するには?

 競馬における追い上げ、ここまで読んで活用しよう!という方は少ないかも知れませんが、活用することは可能です。

 例えば、連敗が重なったらどこかで損切をしてレートを元にもどすことで、莫大な賭け金になることを防ぐことが可能です。

 連敗続きで普段やらないようなレートでぶち込む追い上げ、最後の直線で感じるヒリヒリ感は、意外とクセになります。私は数年前に地方競馬で試したことがありますが、無事撃沈しました。


2.ベタ買い

 いまさら説明するまでもないベタ買い、期待値通りの回収率になります。

 ベタ買いは簡単なようで意外とできないです。前回の記事ではベタ買いを推奨しています。

 前回推奨した理由は、何より自分の競馬の実力が分かりやすいからです。まぐれ当たり、不運ハズレもベタ買いしていればいずれは自分の期待値に収束していきます。

 このnoteの推奨馬も単勝ベタ買いで今後も集計していきます。

 ベタ買いについては前回の記事を参考にしていただけると幸いです。


3.追い下げ

 馬券裁判で有名になった卍氏が採用していたことでも有名な追い下げ。追い下げという言葉は氏の造語らしいですが、投資の手法としては昔からあるもので「ケリー基準」「ケリーの公式」で検索すると詳しい情報が入手できます。(この記事では競馬界隈で追い下げと呼ばれることが多いため、追い下げとします)

 今回の記事タイトル、競馬で家を建てよう🏠というのはこの追い下げで家を建てようというお話です。

 追い下げとは、常に競馬資金の○%をレース資金とする。いわゆるコロガシの一種です。

 みんな大好き複勝転がしは、常に競馬資金の100%をレース資金として次のレースに臨んでいます。追い下げでは競馬資金の数%をレース資金として、次のレースに臨みます。

 つまり、前のレースで勝てば賭け金が上がり、負ければ賭け金が下がる投資法で、マーチンゲール法などの追い上げとは名前のとおり逆の買い方になります。


 追い下げの強み

 複勝転がしをしたことがある方ならピンとくるかもしれませんが、複利での運用ができることが追い下げの強みです。初期の手持ちが10,000円で1レースあたり1,000円と決めていた場合、勝ちを重ねて手持ちが20,000円になったら1レース2,000円賭けることができるため、どんどん資金が増えていきます。

 また、負けが続いた場合は1レースあたりに賭けることのできる金額が減っていくため、理論上では競馬資金が尽きることがありません。競馬を少しでも長く楽しむことができる投資法でもあります。

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 上記の画像は的中率10.34%、平均オッズ11倍のレースを10万円を元手に5,000レース繰り返した場合の各投資法の比較です。ベタ買いは期待値通りの収支、マーチンは当てた分だけ儲かるので500万勝ち、追い下げは340万勝ちとなりました。

 ベタ買い、マーチン(追い上げ)共に、最も負けている時の原資がマイナスになっていますが、追い下げでは1度もマイナスになっていません。

 同じ条件で1万レース繰り返すとこのようになります。

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 4億勝ち。

 家を建てましょう。

 おわり。








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 手持ち資金の何%賭けるのがいい?

 ここからは割とややこしい話になります…。

 さすがに4億勝ちは出来すぎですが、手持ち資金の○%BETのため競馬資金が0になることなく、大きな利益を期待できるのがこの「追い下げ」という投資法です。

 ここで気になるのが、一体手持ち資金の何%を賭けるのがいいのかという点ですが、投資の世界では有名な手法であり、公式があります。

 競馬に置き換えると以下のようになります。

( 的中率 × オッズ - 1 )÷( オッズ - 1 )

 ここでの的中率はレース的中率ではなく買い目あたりの的中率として考えます。

 例えば、私がnote推奨馬の成績目標としている的中率10%、回収率110%(平均オッズ11倍)を例に計算してみます。

(0.1×11-1) ÷(11-1)=0.01となり、資金の1%を賭けるのがベストと出ました。

 ただ、競馬の場合はレースによってオッズが4倍だったり、20倍だったりと様々であるため、払い戻しを軸に基準を決めると便利です。

 先ほどの公式に当てはめて、資金の1%を賭けて11倍の払戻しを得ることがベストと出たため、買い目ごとの賭け金は以下のようになります。

 総資金 × 11% ÷ オッズ

 つまり、11倍の買い目に対しては総資金の1%を、4倍の買い目に対しては2.75%を賭けることになります。

 この場合は、買い目が当たった場合、総資産が11%増えることを想定した賭け金になります。

 馬券裁判で有名になった卍氏はこの%を8%として運用していたとのことです。

 次項ではこのパーセンテージについてもう少し掘り下げていきます。


 下振れのリスク

 ケリー基準を競馬で適用するにあたり、どうしても考慮しなければならないのが、オッズや的中率の下振れのリスクです。

 投票時は10倍あった買い目が確定オッズで9倍になることは多々ありますし、的中率については本当の的中率なんて誰にもわかりません。

 先ほど紹介したケリー基準、公式どおりの的中率と平均オッズの場合は最大の利益を生み出すことができますが、下振れ、上振れはどうしてもついて回ります。

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 公式どおりの的中率とオッズで1万レース繰り返した場合の結果です。

 0.5倍と1.5倍では最終収支に大差ないにも関わらず、最も負けている時の原資が5分の1程になっています。

 公式どおりの払戻率に設定できれば最大の利益を生み出しますが、そこから上にブレても下にブレても期待できる利益は下がってしまいます。

 上にブレると破産するリスクが増えるだけなので、どうせブレるなら下にブレるほうがいいのです。

 前項の計算式で、総資産の11%を払戻として計算しましたが、公式で求めた払戻の0.8倍くらいにしておくのがいいかと思います。

 追い下げのデメリット

 競馬資金が尽きることなく一攫千金を狙える追い下げ、メリットしかないと思いきやそうでもないのです。

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 回収率100%の予想で5,000レース繰り返したシミュレーションです。

 追い下げだけ回収率が100%を割っています。

 的中率がある程度推測できて、なおかつ回収率がある程度期待できる場合は効果を発揮しますが、トントンになるような予想ではベタ買い以下の収支になってしまうのです。

 先ほどの公式で的中率50%、平均オッズ2倍として計算してみると、1レース毎の投資金額が0円になります。やらない方がいい。そういうことです。


結局どの投資法がいいの?


 追い上げ、ベタ買い、追い下げと三種類の投資法をご紹介しましたが、結局どれも一長一短で、正しい投資法はわかりません。

 的中重視で損切の判断ができるのであれば追い上げ。

 実力がそのまま収支となるベタ買い。

 死なずに一攫千金の夢がある追い下げ。

 個人的にはベタ買い、もしくは追い下げをオススメします。私自身は追い下げを活用して自身の馬券を買うことが多いです。

 後半割とややこしい話になりましたが、競馬における投資法について、何か参考になればうれしいです。

 noteではベタ買いでも追い下げでもしっかりプラスになるような軸馬の配信をしていこうと思っていますので、よろしくお願いいたします。

ファクター研究のモチベーションになります。 いつもありがとうございます。