2024年 第85回オークス(GI)【出走馬全頭診断[2]】

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出走馬4枠8番ホーエリートまでは【出走馬診断[1]】で公開しています。


5枠9番 ラヴァンダ
【馬主】森永聡
【生産】森永聡
【厩舎】中村直也(栗東)
【騎手】岩田望来
[父]シルバーステート
[母]ゴッドパイレーツ
[母父]ベーカバド

最終追い切り【調教評価A】
栗東 坂路 良    51.1-37.0-24.2-11.9(田中健騎手)

馬産地では評価が高い“シルバーステート産駒”の1頭。小規模の生産牧場がオークスの舞台に送り込めることに“夢”がある。シルバーステートの特徴は脚の速さだが、本馬はまだ成長段階にあって、勝負どころでスッと反応ができずにスピードに乗るのに時間がかかる。そのため2400mという長い距離になることは、むしろプラスになる可能性を秘めるが、さすがにGIとなると相手が強いことは否めない。それでも重賞フローラステークスで2着を確保してオークスの権利を獲ったのは立派。狭いところに入ってもひるまない勝負根性は評価に値する。母父ベーカバドと父シルバーステートの配合。意外性もあるが、オークスでは厳しいレースが強いられたとしても、重賞で穴をあける日が訪れる可能性は諦める必要はない。

5枠10番 アドマイヤベル
【馬主】近藤旬子
【生産】ノーザンファーム
【厩舎】加藤征弘(美浦)
【騎手】横山武史
[父]スワーヴリチャード
[母]ベルアリュール2
[母父]Numerous

最終追い切り【調教評価B】
美浦 W 良   69.9-54.7-40.0-25.9-12.8(調教助手)

半姉アドマイヤリード(父ステイゴールド)はヴィクトリアマイル優勝馬。3歳時には桜花賞、オークスにも出走しており、もう1頭の半姉ベルクレスタ(父ドゥラメンテ)も桜花賞とオークスに出走。2頭の姉に続いて、本馬アドマイヤベルもフローラステークスを勝ってオークスの切符を獲得し、大舞台に間に合った。初年度産駒から活躍馬を多数輩出している“スワーヴリチャード産駒”の1頭で、この産駒がオークスという舞台に出走することそのものが“スワーヴリチャードの種牡馬価値”を高めることに繋がる。つまり、まずミッションはフローラステークスを勝つことにあっただけに、この春の目的は果たしたといえるだろう。中3週でのGI挑戦となるだけに、さすがに条件は簡単ではない。デビュー当時からオークスの距離(2400m)を意識してレースに使っており、距離への対応を意識した調整過程は良い。エンジンの掛かりは遅く反応も鈍かった馬が、フローラステークスの走りでは“一変”していた。フローラステークスだけの比較ならば、例年よりもレベルは高めといえるが、今年は牝馬全体のレベルが高いだけに、他の路線との比較となると、フローラステークス勝ちの内容は勢力逆転とまでは言い難い。

6枠11番 ヴィントシュティレ
【馬主】キャロットファーム
【生産】ノーザンファーム
【厩舎】古賀慎明(美浦)
【騎手】北村宏司
[父]モーリス
[母]ピュアブリーゼ
[母父]Monsun

最終追い切り【調教評価B】
美浦 坂路 稍重    52.1-37.9-24.9-12.4(北村宏司騎手)

2011年のオークス。大外枠から逃げの策に出て2着に粘った母ピュアブリーゼ。フローラステークス3着からの本番激走は、【戦略がうまくはまった】こともあるが、人気薄の逃げ馬という立場であっただけに、“奇襲”のような好走であったといえる。その後は苦戦を強いられた現役時代を思えば、調子の良い時に効果的なレース戦略を決めることができていた。つまりは“展開利”というのが冷静な分析。そのピュアブリーゼの仔であるヴィントシュティレがオークスに出走することは感慨深いこと。しかも権利をとっての出走というよりは未勝利を勝ち上がって、中3週でオークスに出走というローテーションだけに、“幸運”そのもの。母も1勝馬の身で好走を果たしただけに、母娘揃っての好走も可能性はゼロとは言えないが、現時点での力量でいえば、好勝負に持ち込むのは現実的にはまだ厳しいといわざるをえない。これからの成長が楽しみな馬だ。

6枠12番 チェルヴィニア
【馬主】サンデーレーシング
【生産】ノーザンファーム
【厩舎】木村哲也(美浦)
【騎手】C.ルメール
[父]ハービンジャー
[母]チェッキーノ
[母父]キングカメハメハ

最終追い切り【調教評価S】
美浦 W 良  84.4-67.8-52.6-38.2-24.3-11.6(調教助手)

母チェッキーノは2016年オークスで、シンハライトにクビ差の2着惜敗。フローラステークスを勝ってからの好走で、「さらなる高み」を意識させる馬であったが、その後に屈腱炎となったことが残念であった。母の全兄コディーノは2013年の皐月賞で3着。ダービーではキズナとエピファネイアが熾烈な決着を繰り広げていた中で9着敗戦。それでもクラシックの主役候補の1頭として注目を集めていただけに、この血筋は“クラシックでは隅におけない”良血そのものといえる。祖母のハッピーパスは桜花賞4着、オークス7着。苦戦を強いられていたものの、祖母、母、娘の3世代にわたってオークスの舞台に出走できることが、“日本競馬の歴史を作っている1つの一族”であることに揺るぎない。2歳女王への王道路線ともいえるアルテミスステークスでは他の素質馬を置き去りにして、加速ラップを押し切って快勝。その時点で世代トップの評価をほしいままにしていたが、阪神JFを迎える前に、左後肢の違和感(跛行)のため、休養を余儀なくされた。休み明けの桜花賞は負荷をかけた調教はできていたものの、急仕上げとなり、追い切りの動きもふらふらしていた。馬体はさすがの見映えではあったが中身ができていなかった。13着敗戦は、力で屈したものではなく、状態面の差であったといえる。そこから中5週。順調ではなかったとはいえ、休み明けを叩いて状態面はグンと良化。追い切りの動きの質が全く変わり、“逆襲の態勢”が整ったといえるのではないだろうか。最終追い切りで繰り出したのは伝家の宝刀、“キムテツ流3頭併せの真ん中”だった。イクイノックスのパターンと同じで、3頭併せの形をとって真ん中から抜け出すというもの。楽に抜け出すような格好をみせただけに、状態は間違いなく向上している。

7枠13番 スウィープフィート
【馬主】YGGホースクラブ
【生産】聖心台牧場
【厩舎】庄野靖志(栗東)
【騎手】武豊
[父]スワーヴリチャード
[母]ビジュートウショウ
[母父]ディープスカイ

最終追い切り【調教評価S】
栗東 坂路 良   51.9-37.6-24.3-12.1(調教助手)

この馬も、「追い切りは武豊騎手には任せない」というスタンスを貫いてきたが、最近はベテランの武豊騎手の場合、負荷が掛かりきらないということで、最終追い切りにしても調教を任せないケースは少なくない。本人も「調教は自信がない」と認めているだけに、遺恨はまったくないが、スウィープフィート陣営も中間は任せていない。騎手よりも体重の重い調教助手が跨って、坂路で強めに負荷をかけていたのがオークスに向けての調整内容。1週前は強めに追って、当週は馬なりながらも好時計を記録した。ハーツクライ系のスワーヴリチャード産駒。そして母父ディープスカイはダービー馬という配合からも、2400mというクラシックディスタンスがダメということもないだろう。チューリップ賞での勝利をきっかけにして武豊騎手のお手馬のようになったが、若手女性騎手の永島まなみ騎手が競馬を教え込んできた経緯も忘れてはならない事実だ。折り合いを意識することもあって、後方から末脚を伸ばす形が、この馬の競馬。桜花賞は後方から上がり33秒0の末脚を使って迫ったが、位置取りの差で勝負はついていたといわざるをえない。0.2秒差の4着ならば、オークスでの逆転という意味では、計算内におさまる。あとは2400mに距離が延びた際には、さらに[地力の差]が顕著になる。この部分をどう評価するかが、この馬のジャッジのポイント。

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