有馬記念 出走馬診断

        はじめに

後10日もせずに2021年が終わりを告げますね。皆さんの競馬はどんな一年でしたでしょうか。

今年はコントレイルやグランアレグリアなど多くの名馬が引退し、この有馬記念でもクロノジェネシスやキセキが引退を迎えます。早く勇姿を見届けたいと思う反面、これで引退かと思うとまだまだ当日を迎えたくないという気持ちが交錯しています。ただ、しっかりとした予想をお届けしたいので、フラットに各馬を診断していけたらなと思います。それではよろしくお願いします。

有馬記念好走ポイント

中山芝2500mで行われる有馬記念は、距離も長くコーナーを6つ回り急坂もある事から、小回り適性、最後の急坂を越えられる持続力・スタミナが求められるコース。スタートしてすぐにコーナーが来るため、スピードのない外枠の馬は後方に位置することになる。最初の位置どり争いでほぼ決まると言っても過言ではない。かなりトリッキーなコースであることから、経験や実績は必要だ。
下記の4点を今回は好走ポイントとして考えていく

    ①非根幹距離での重賞実績
    ②先行力
    ③枠順
    ④タフな競馬場での実績やレースの実績

    (上から順に重要度は高いとする) 

✔︎非根幹距離での重賞実績

 有馬記念はいわゆる非根幹距離(400mで割り切れない距離)。主流の距離である2000や2400では事足りない馬達が好走できる舞台。競馬ファンであれば誰しもが「後200m長ければ…」などと思った事があるはずだ。そういう馬達のための舞台であり、主流の舞台を得意とする馬達にとっては苦しい舞台でもある。
 根幹距離を得意とする馬で、有馬記念を勝てなかった馬を例に出すと、アーモンドアイ・ブエナビスタなどがいる。敗因がそこではないにしろ実績がないのとあるのでは大きく違う。では、過去10年の勝馬で非根幹距離での重賞実績がある馬は何頭いるのだろうか。(有馬記念は除く)

・クロノジェネシス 2-0-0-1
・リスグラシュー 3-1-1-1
・ブラストワンピース 2-0-0-3
・キタサンブラック 3-0-1-1
・サトノダイヤモンド 3-0-0-1
・ゴールドアクター 3-1-1-3
・ジェンティルドンナ 2-1-1-2
・オルフェーブル 3-1-1-1 
・ゴールドシップ 7-1-0-2

見事全頭が非根幹距離での重賞実績があった。非根幹距離を走った事があるという経験値は必須条件と言える。

・今年クリアできていない馬
パンサラッサ、ペルシアンナイト、メロディーレーン、モズベッロ

✔︎先行力

 昨年のクロノジェネシスや2013年のオルフェーブル、2010年のヴィクトワールピサの様に、後方からでも道中動いて行って先頭集団に取付けるような機動力があれば勝ち負けできるが、基本的には先行・差し有利で追い込みは勝ち負けまでは厳しい。過去10年で見た時に勝馬が直線向いた時の位置は、ほとんどが5番手以内であった。コーナーを6つ回るため、ロスなく立ち回れる先行馬には人気関係なく注意が必要だ。

・今年5番手以内で競馬できなさそう馬
アサマノイタズラ、ステラヴェローチェ、ペルシアンナイト、メロディーレーン、モズベッロ、ユーキャンスマイル

✔︎枠順

 今年は12月23日(木曜)17時00分から枠順抽選会が行われる。毎年多くの競馬関係者、ファンがワクワク、ハラハラしながら楽しみにしている。皆が思う事は「8枠だけはやめてくれ…」これだ。それくらい中山2500mにおいて8枠は死枠。2度の坂越えなどそれだけでもタフなのに8枠なら外を回さないといけないため、ロスがかなりでかくなる。過去10年で8枠から馬券に絡んだのはシュヴァルグランのみ。この馬は8枠だったが、道中は外を回さずじっと我慢し、直線ではインを選択したことが功を奏し3着に。逆を言えば8枠に入ったら後ろで我慢し、直線に賭ける競馬をすれば馬券内に来ることができるかもしれないということである。しかし、どんなに強い馬でも8枠に入れば大幅なマイナスになり勝ち負けまでは厳しくなる。特に先行したい馬が8枠なら消しまで考える必要が出てくる。

✔︎タフな競馬場での実績やタフなレースでの実績

 これまで散々今回のコースがいかにトリッキーかをお伝えしてきたので、中山での経験やタフなレースでの実績が必要だと分かってもらえたと思う。特に3歳馬は日経賞と有馬記念でしか使われない重賞舞台の中山2500mを経験する事が不可能なため、古馬と対等の立場に立つためにもタフなレースや競馬場での実績でカバーするしかない。牝馬であれば阪神2200mで行われるエリザベス女王杯での実績。3歳であれば菊花賞での実績が生きると考える。

・今年タフな競馬場やレースを経験していない馬
シャドウディーヴァ

以上4点を今回は好走ポイントとし、各馬の診断に入っていく。

アサマノイタズラ

 父は2010年有馬記念の勝馬ヴィクトワールピサ。母型のオペラハウスは2000年の有馬記念勝馬テイエムオペラオーの父であり、この馬は有馬記念に縁のある血統だと言える。Halo4×4×5で、芝で必要なパワーや機動力を伝え、Lyphardの血はしぶとさをこの馬にはしっかり伝えている。
 前走は最後方からの競馬で、マイペースで行った分最後展開向かず、9着に敗退。しかし上がり最速を出しており、最後はしっかり伸びてきている。
 セントライト記念が驚愕で、菊花賞2着馬オーソクレース、チャレンジカップを圧勝したソーヴァリアントを鮮やかに差し切る強い馬の勝ち方。推定ラストは加速ラップを踏んでおり、まだまだ余裕があった様に感じた。
 非根幹距離での重賞実績も2-0-0-2と連対率50%で良績。中山との相性も申し分ない。しかし、先行力がないため、直線後方からだと厳しい。スプリングSの様に中枠で好位から仕掛けていく様な競馬が出来れば、間違いなく能力はあるので結果は残せる。

キセキ

 あのアーモンドアイとの激戦から3年…今でも鮮明にあの日のことを覚えている。しかし流石に今年に入ってから衰えを感じる。京都大賞典の様にラスト 1F全馬が止まる様なラップになれば見せ場はあるかもしれないが、そんな事はメンバー構成からも考えられない。
 非根幹距離の重賞実績は1-2-2-7と連対率25%であまり良いとは言えない。有馬記念は2年連続負けており、中山競馬場での実績もない。道中捲っていき、先頭集団に取り付けるかもしれないが、今のキセキであれば最後は垂れる。昔から何度も本命にしてきたので思い入れはあるが、今回は力及ばずだ。引退レースなので最後の走りをしっかり見届けたい。

ディープボンド

 フォア賞ではあのブルームを破り、世界にこの馬の強さを見せつけた。凱旋門賞は、14着と大敗したものの直線はほぼ追っていないためクロノジェネシスよりダメージは最小限である。帰国後はしっかり動ける体勢で、6ハロン82秒9―11秒7の時計も出せている。
 こちらもHaloの4×4で、Lyphardをも内包しているため、アサマノイタズラと近い血統構成。ただ、こちらの方が先行しての粘着力という部分に秀でており、バテないスタミナを持ち合わせている。
 距離を伸ばした阪神大賞典から強さを発揮しており、天皇賞・春ではワールドプレミアと僅差、カレンブーケドールには圧勝という覚醒ぶり。4歳の中でも上位に位置する強さだ。
 非根幹距離の重賞実績も2-0-0-2で連対率50%と良績だ。中山での成績は振るわないものの、先ほども述べた様にバテない先行力があるため、今回の舞台はマッチしている。極端に外枠に入らなければ重い印を打つ予定。

ステラヴェローチェ

 1600〜3000まで幅広くパフォーマンスができる馬で、言うまでもなく強い馬。父はバゴで母父はディープインパクト。バゴのタフな馬場での対応力やディープインパクトのスピード力をバランス良く受け継いでおり、距離の融通が効くのも納得だ。
 ハイレベルな今年のダービーは3着。(今年のダービーがなぜハイレベルなのかはruisさんのTwitterから引用させて頂く)

 菊花賞は4着に敗れたものの、正直距離が少し長かった。1800〜2500あたりがベストな距離。非根幹距離の重賞実績は1-0-0-2で連対率は30%と平凡だが、急坂を2度越える舞台を3回も経験しており1-0-1-1の成績だ。タフな舞台への適性は申し分ない。今回M・デムーロ騎手に乗り替わりでいかにも合いそうなタッグ。追える騎手なので積極的な競馬ができれば、勝ち負けまである。

タイトルホルダー

 菊花賞は皆が距離への不安から、正直楽な競馬をさせてもらった。しかし、後続を5馬身突き放すとは圧巻の一言で、エピファネイア以来の勝ち方だ。
 セントライト記念は直線で進路がなくなり悔しい結果となったが、やはり菊花賞のパフォーマンスをみても絶対的な能力の高さはメンバー随一。弥生賞の様な3F戦にも対応でき、皐月賞の様な持続力戦にも対応できる。ダービーも6着と敗れているが折り合いを欠いた点、しかし勝ちに行く競馬でしぶとく最後まで残っている点、色々考えても負けて強しの内容。
 非根幹距離の重賞実績は1-1-0-1で連対率は60%とかなり良い。先行して粘れるスタミナや持続力も兼ね揃えており、舞台設定も○。中山での実績も申し分ない。枠次第では本命級の印を打つ可能性もある。とにかく楽しな馬だ。

エフフォーリア

 下記は年代別天皇賞・秋の上がりラスト5Fである。(簡易版で申し訳ない…)隣にはその後の有馬記念での成績を記載している。エフフォーリアの上がり5Fはアーモンドアイが一位で歴代2位タイの速さ。アーモンドアイは適性外の舞台であったため、残念な結果になっているが、レイデオロが2着に好走している点を考えればエフフォーリアも好走する確率は高い。

どのレースも歴代よりハイレベルな競馬をしており、現日本の競馬会でNo. 1なのは疑う余地がない。
 非根幹距離重賞実績は1-0-0-0と連対率100%であるが、参考が少ないため当てにはできない。先行力があり、ラストまでいい脚を持続させられる点は今回の舞台にはピッタリ。ほとんどが左回りの東京であるが、レースセンスが高いのでコーナー6つもさほど気にすることはない。適性という部分では少し劣るにしろ、能力が1枚も2枚も抜けているため能力で押しきれる。不安はない。

クロノジェネシス

 有馬記念でラストランを迎えるクロノジェネシスは、グランプリ4連覇がかかっている。舞台設定がどうとかはこの馬には不問で、考える必要があるのは状態面だ。凱旋門賞では、かなり全力で走っていたので消耗が激しく、帰国後の追い切りでもなかなか状態が上がってこない。今年は海外を2回使っているので、昨年ほど簡単ではない。最終追い切りは要注目だ。
 もう一点心配なのは、ルメール騎手ということ。馬の絶対的能力を信じている場合、早めに動いて勝ちに行く競馬をする。もちろんそれが悪いことではないが、昨年の有馬記念を見れば分かる通り、2500は適性距離ではない。今年は最強の3歳世代がいるため、最後甘くなり差される可能性もある。馬のペースでしっかり乗ってほしい。

  

最終的な印はまた別のnoteで書こうと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました!!
有馬記念ウィークを一緒に楽しみましょう✨




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