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全国通訳案内士試験合格体験記(アラフィフでもできたよ編)

このたび、2020年度の全国通訳案内士試験に一発合格することができました。アラフィフでも、働きながらでも、家のことやりながらでも合格できたよ!ということで、自分の記録と、これから受験される方のために、合格体験記を残しておきたいと思います。

【プロフィール】
金融機関勤務、ワークライフバランスと文武両道を目指しながら、2児の子供を育てるアラフィフシングルファーザー。
生まれ育ったのは大阪(太陽の塔のふもと)、現在は東京西部の長閑な郊外に住んでいる。海外経験なし。仕事やプライベートでも英語を使うことはほとんどない。
好奇心旺盛で多趣味、仕事柄、資格試験も種々受験・取得している。
手芸や料理・キャラ弁作りなどインドア系と、ランニング・テニスなどアウトドア系を両方やりたい欲張り気質。
国内のちょい旅であちこちを回っていて、いままで47都道府県中45を制覇している。温泉とB級グルメが好き。
最近はまっているのはトレイルランニングと御朱印巡り。

・全国通訳案内士試験とは
Wikipediaより
全国通訳案内士(ぜんこくつうやくあんないし、英語: National Government Licensed Guide Interpreter)とは、観光庁長官が実施する国家試験「全国通訳案内士試験」に合格して、報酬を得て通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内を行うこと)を行うことを業とする職業。訪日外国人旅行者を相手にしたプロの観光ガイドのこと。
語学系では唯一の国家資格で、合格率は毎年だいたい10%前後。2020年度の合格率は9.6%。

・受験のきっかけ
もともとは会社の人事査定でTOEICのスコアが必要になり3年ほど前に英語の学習を始めました。何十年ぶりに受けたTOEICスコアは715点で撃沈。
勉強を進める中で自分はリスニングとスピーキングが苦手だということに気づき、スピーキングを鍛えるために英会話カフェに通うようになりました。そこで出会った日本人男性の方が通訳案内士の資格を持っていると聞き、お話もとても面白かったので、この資格に興味を持ちました。
もともと日本史や地理は好きで、語学力だけではなく日本の観光に関する知識が身につく資格と知り、いつか自分も、と漠然としたあこがれを持ちました。
その後、たまたまSNSで知り合ったプエルトリコの友達が日本に来るというので、東京を案内する機会があり、渋谷、原宿や新宿をガイドしました。
彼女はとても喜んでくれたのですが、自分としては、実際に案内するには語学力、知識、ホスピタリティが全部足りないと、力不足を痛感しました。それから、より強くこの資格を取得したいと思うようになりました。

・合格に至るまでの経緯
この試験は、一次試験の筆記で、外国語・日本地理・日本歴史・一般常識・観光案内の実務、の5科目、二次試験の口述で外国人案内のプレゼン・質疑の実技試験があります。そのうちいくつかの科目は他の試験で一定の要件を満たせば試験免除となり、筆記試験を受ける必要がなくなります。
私の場合、2019年秋にTOEICで905点を取得し外国語一次試験が免除となり、2020年1月のセンター試験の日本史・現代社会でそれぞれ89点、81点を取ることができ、日本歴史と一般常識の免除要件を満たしました。いろいろな事前情報を調べて、大人の戦略としてなるべく効率よく資格を取得したいと思っていたので、本流ではありませんが、免除を得ることで試験を分散させて本試験に臨むというプロセスは自分にはよかったと思います。
その後2020年8月の一次筆記(地理・実務)、同12月の二次口述試験を受験し、準備から含めて都合1年少々の受験プロセスで合格することができました。

・使った教材
日本歴史(センター試験):「金谷俊一郎の決定版日本史」(学研)をメインに学習しました。「家庭教師のトライ」のYouTube授業を一通り2倍速で見て、文化史については資料集(新詳日本史(浜島書店))で補強しました。
センター試験対策のため教材が豊富で、ほとんどの教材はメルカリで安く買えたので便利でした。読み物として「ストーリーで学びなおす大人の日本史講義」(野島博之)「天上の虹」(まんが)(里中満智子)を読んだりしました。
一般常識(センター試験現代社会):「センター試験現代社会集中講義」(旺文社)の一冊のみでした。あわせて過去問3年分。
余談ですが人生初のセンター試験です。私の世代は共通一次試験という名前でした(古)。雪のそぼ降る中、高校生たちに混じって試験を受けるというのは貴重な体験で、まわりの受験生たちの緊張感が伝わってきて、面白かったです。
日本地理:難関かつ一癖ある試験と聞いていたので、かなりいろんな本をあさり読みました。メインは「全国通訳案内士試験合格!対策地理」(TrueJapanSchool)を一巡し、その後「完全制覇国内旅行地理検定試験」(一ツ橋書店)で練習問題をおさらいしました。副読本として「旅地図日本」(昭文社)と、「るるぶ情報版」であまりなじみのない地方(四国・九州)を眺めていました。温泉と美術館の知識と読み物として「CASA」(雑誌)の特集号を買いました。
子供がろくに使っていない小学校や中学校の社会の教科書や資料集も、頭の整理には役立ちましたし、「マンガでわかる10歳までに覚えたい47都道府県」(永岡書店)の各県地図も書き写しにはピッタリでした。
実務: 「全国通訳案内士試験合格!対策実務」(TrueJapanSchool)のみを使いましたが、通訳案内士法の条文と、観光庁研修テキストは全編一読して準備しました。
外国語(二次口述):JapanWonderGuideのオンライン実技練習(プレゼン、質疑)を受講しました。スクリプトは「全国通訳案内士試験英語二次口述パーフェクト対策」(DHC)「新・英語で語る日本事情」(TheJapanTimes)を主に音声メインでリピーティング学習に使いました。そのほか、 インターネットで見つけた各観光地の説明文を書き写し音読、LonelyPlanetの「Japan」を見て観光地の表現を参考にしたりしました。
その他、いくつかのスクールのオンラインセミナーを受け、傾向と対策を入手しました。コロナ禍の副産物として、オンラインで受講できる機会が増えて、便利になったと思います。

・役に立った勉強法
センター試験の科目では無料の動画授業が豊富にあり、電車通勤の時間も有益に使うことができました。
観光地理は各県ごとに自分のノートを作り、ノートが一冊できた時はかなり自己満足感がありました。
また、実際に観光地を訪ねるイメージをビジュアルに持つため、各県のオフィシャル案内などの動画を拾い集めてプレイリストを作り、時間があるときに眺めていました。Youtubeで「都道府県観光地理」を検索していただけると私のプレイリストが出てきます(笑)これは勉強という苦行ではなく、実際ここに旅行に行きたい、という意欲をかきたててくれるのに十分なものでした。
二次試験の質疑対策は、JapanWonderGuideのプレゼン練習と質疑応答練習に参加し、日本人の先生とオランダ人の先生にみっちり鍛えていただきました。やはり人前で実際話すことがとても有用で、練習でたくさん冷や汗油汗をかかせていただいたおかげで、本番ではあまり緊張することなく口述試験に臨むことができました。またこの日本人の先生は昨年通訳案内士試験に合格された経験から、Twitterでも日本にまつわるお題の和文英訳(「今夜のお題」道場)を開かれていて、こちらも日本の文化や話題を英訳する練習としてとても役に立ちました。直前でヤマを張っていたコロナ関係のトピックは二次試験でもばっちり出題されて、思わず心の中でガッツポーズが出てしまいましたよ。
当日の試験官は厚切りジェイソンに似たイケメンの(たぶん)アメリカ人と、女性の私と同年代か少し下ぐらいの女性で、終始和やかな雰囲気で進められました。ジェイソン(笑)は、発音とやりとりがとてもかっこよく、質疑が楽しく感じられました。

・つらかったこと
試験勉強自体はずっと楽しくて、大人になってこれだけ試験勉強ができることは苦にならず、興味をわきたてられる体験でした。
ただ、その勉強時間を割くために、仕事や家事等と両立しながら時間を確保していくのが少し苦労した点です。
試験が近づくにつれ、どこまでやれば合格点に届くのかプレッシャーを感じました。一方、試験が終わった後はコロナの影響で試験問題を持ち帰ることができず、口述試験も面接で白黒がわからず、結果を待つ期間が長く、とてももやもやしたことを覚えています。
つらかったことではないですが、試験対策でいろんな教材や本を買ったので、本棚がずいぶん充実してしまいました(笑)。

・合格した時の心境
まずとにかくホッとしました。口述試験の手ごたえはよかったのですが、開けてみないとわからず、まさか落ちていたら、という不安はありましたので。そして、さまざまな講座やこの試験プロセスの中でSNSなどで知り合った人たちとのつながりに感謝の思いを持つことができました。
自分自身としても、作戦どおり完遂!という満足感はとてもあり、挑むに値する試験であり、よい成功体験になったと思います。

・どんなガイドになりたいか
自分の趣味や自分なりの強みを生かしながら、ゲストといっしょに体験を楽しめるようなガイドになっていきたいと思います。山歩きやサブカルも好きなので、30年来沿線に住んでいて、愛してやまないJR中央線沿線の魅力も案内していきたいと思っています。
最初は、将来のセカンドキャリアとして先々にガイドもやってみたいという漠然としたイメージを持っていましたが、合格してからはもっと早めに、ショートツアーやオンライン体験などの提供をしてみたいという意欲も高まっています。

・今後受ける人へのメッセージ
仕事や家庭などと両立しながら試験に臨まれる方も多いと思いますが、大人になってこの試験に取り組まれるだけでも大きなチャレンジです。まずはその舞台に立たれるだけでも自分を褒めていいと思います(笑)。
観光という目線で地理や歴史を学び、外国人観光客をお迎えするための外国語コミュニケーションを学び、知れば知るほど楽しく、奥が深い試験でした。いくつかの試験科目は難問奇問の悪名高いものもありますが(「嶽きみ」青森のとうもろこし:など)全問正解する必要はないし、何といっても自分の人間としての在庫をたくさん蓄えることができる試験だと思います。みなさんのペース・好きな方法で、勉強を進めれば、きっと結果に結びつくと信じていますし、多くの人がチャンスをつかまれることを願ってやみません。

※この記事は、私がJapanWonderGuideさんの合格体験記依頼に投稿した内容を一部編集追加したものです。

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