始まりは、いつも、静かな部屋からだ。 電気は消えていてほの暗い。 窓を閉じ損ねたのか 淡い色のカーテンがかすかに揺れている。 次に視界に入ってきたのは シンプルな木製のダイニングテーブルと座り心地を優先させた椅子 料理をするには十分な広さを確保したカウンターキッチン 少し廃れかけた大きめのソファーだ。 家具の種類や配置、部屋の構造や間取り、どれもこれも見覚えがあった。 見覚えがありすぎて気持ち悪い。 鎖骨下あたりをさすりながら深呼吸して落ちつかせようとするが、なかなか落