血ガスが読みたい!<呼吸編>

対象は『血ガスが読めるようになりたい医学生』です。僕も勉強中なので、読んで頂けた方と一緒に詳しくなれたら嬉しいです!!

まず、呼吸が悪いのは「血液に酸素が無い」時ですよね??これはさすがに大丈夫だと思います。呼吸の目的は血液によって酸素を全身に届けることなので、血液に酸素が無ければ呼吸の目的は達成できていません。この時に見るのはPaO2(動脈血酸素分圧)です。これが低ければ呼吸が悪いと評価できます。しかし、これじゃさすがに物足りないですよね?(笑)今回はさらに先に進みましょう。

どの値を見ればいいのか??

実はこれが意外とシンプルです。呼吸の状態が知りたい時、血ガスの項目のうち見るのはPaO2PaCO2の2つだけです。この2つからA-aDO2を計算し、評価に用いるのはA-aDO2PaCO2です。

まずは、「呼吸が悪い」という状況を2つに分類します。

1つ目は「肺胞の酸素が血液に届かない」状況です。2つ目は「肺胞の空気の出入りが悪い」状況です。これをイメージしましょう。

どの値で評価すればいいのか?

上記で呼吸が悪い状況を2つに分類しました。このそれぞれの呼吸不全を評価するのに1つずつ指標があります。まずはその指標を知ると全体像が整理できると思います。

「肺胞の酸素が血液に届かない」ではA-aDO2を評価してください。

「肺胞の空気の出入りが悪い」ではPaCO2を評価してください。

呼吸のどこが悪いのか??

「肺胞の酸素が血液に届かない」人と「肺胞の空気の出入りが悪い」人はそれぞれどこが悪いのでしょうか??「肺胞の酸素が血液に届かない」人は肺そのものが悪いです。肺胞の空気の出入りが悪い」人は肺以外が悪いです。「呼吸なのに肺以外が悪いってどういうこと?」って思った方はいますか?僕も最初そう思いました笑呼吸は呼吸を調節する中枢神経、肺を膨らます駆動系、肺胞の酸素を血液に届ける肺の3つが働くことで成立します。肺胞の空気の出入りが悪い」人はこの中枢系と駆動系が悪いです。駆動系の具体例は呼吸筋、胸壁、気道などです。

そもそもA-aDO2とPaCO2とはなんなのか?

順番に行きます。1つ目のA-aDO2とは肺胞気動脈血酸素分圧較差と読みます。簡単に言うと肺胞内にある酸素と動脈血内にある酸素の量の差分です。肺胞内に酸素がたくさんあったら、動脈血にも酸素をたくさん届けて欲しいところですよね?正常な方ではこの差分は小さいです。10mmHg以下になります。(細かい単位は全体像を把握してからでも遅くないと思います、10以下と思っときましょう。)ただし、「肺胞の酸素が血液に届かない」方ではこの値が大きくなります。次にPaCO2は動脈血二酸化炭素分圧と読みます。動脈血に溶けてる二酸化炭素の量です。二酸化炭素は拡散能が非常に高くあっという間に動脈血内と肺胞気内に広がるので二酸化炭素の量は動脈血内と肺胞気内で等しくなります。肺胞にある二酸化炭素をどんどん捨てて肺胞気内の二酸化炭素を下げないと動脈血内の二酸化炭素が高くなりPaCO2が高くなります。つまり正常な人はPaCO2が低く、「肺胞の空気の出入りが悪い」人はPaCO2が高くなります。

鑑別の挙げ方

最後に鑑別の挙げ方をまとめます。まずPaCO2が上昇していたら肺以外の疾患を考えましょう。ただし次にA-aDO2を計算しここが基準値を超えていたら肺の問題も併存しているので見落とさないようにしましょう。PaCO2が上昇していなかったら肺そのものの疾患だけを考えましょう。


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