見出し画像

私のテディベア

OTOMEYA企画グループ展「Noëlの前に」へ出品する新作のテディベアを作りました。
 
私がテディベアを作り始めたのは約6年ほど前です。
“アンティーク特有の少しくたびれたテディベア”に惹かれていました。
そんな佇まいを追求する気持ちで沢山のベアを制作しました。
その過程で「私が惹かれているものを追求するにあたって、ベアという形状にこだわる理由はないのかもしれない」という転機がある時期に訪れました。
そして私の代表的な人形の作風となった、動物的象徴である耳の無い丸い頭の子たちが誕生しました。
 
それからしばらくベア制作はお休みしていましたが、昨年、「今の私だから作れるテディベアを作りたい!」という衝動にかられました。
そんな気持ちを昇華するため関節が球体のベアを制作。
昨年の私を代表する作品の、ベア版といったところです。
(定期的に制作しているぺたんこベアという作品もあるのですが、その子はBOROUSAやno name dollたちと同じように私のライフワーク的作品ですので、今回の記事では省いています。)
そこからまた、再度テディベアへ向き合いたいと思うようになりました。
 
だってさ、やっぱりテディベア好きやねんもん。
決定的にそう思わせてくれた大きなきっかけは古いテディベアの修繕依頼でした。
現在、お世話になっているアンティーク店から傷んだぬいぐるみの修繕をお受けしています。
最初は簡単なほつれや破れのお直し程度だったのですが、今や私のことを「お医者さん」と呼んで下さり、どんどん重傷な子たち(例えば目や耳が無いとか首が取れているとか)が患者さんとしてやってくるようになりました。
 
数えきれないくらいのぬいぐるみを修繕し、触れ合いながら感じること。
この子たちが放つ力、愛おしさ、思慮深さ。
テディベアは私の真髄にいると強く感じ、それは独自のテディベアを極めたいという気持ちとして湧き出てくるようになりました。
風合いを真似るだけでは決して現れないその奥に秘めたもの。
 
 
 
今回出品する三体のテディベアは、そうした思いを形にすべく試行錯誤を重ねて誕生しました。
全てがネットで完結できてしまう便利な世の中で、実際に手にしないとわかり得ない質感や重みやまなざし。
そういったものを改めて教えてくれた沢山のテディベアたちに感謝を込めて。
 
素敵なクリスマスを!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?