専業主夫歴20年、子育て主夫 "しゅうちゃん(佐久間修一さん)"
専業主夫歴20年であり、第一子(男児)誕生後は子育て主夫として、また、秘密結社 主夫の友(ファザーリング・ジャパン”非”公認団体)のメンバーとしても活躍されている "しゅうちゃん(佐久間修一さん)"にお話を伺いました。
プロフィール
フットボール(サッカー)とライナス(スヌーピー・ピーナッツ)をこよなく愛するおっさん。
絵本講座を各地で開催(ママ向け・パパ向け双方)
足立区認定子育てサポーター(ファミサポ)
(公社)全国保育サービス協会認定シッター
2013年8月足立区パパサークル「あだっちパパ」結成(代表)
2015年10月「秘密結社主夫の友」構成員(総務部長)
2018年6月NPO法人アンドスプーン運営メンバー
2018年9月NPO法人ファザーリングジャパン関西会員
得意なこと:毎日のまかない、子どもに遊ばれること。
特異なこと:ママズケア ベビマメソッド日本”唯一”男性講師、金髪。
聞かれたくないこと:「本、出さないの?」
座右の銘:知行合一
「まじめにやるよりも、いっそ秘密結社にしちゃおう」
記者 秘密結社 主夫の友とは、どのような団体なのですか?
しゅうちゃん もともと主夫5人からはじまり、今は全国に70名のメンバーがいるんですが、やっていることは、主夫の認知拡大です。
ただ僕たちは、単に主夫を増やそうとか、"主婦"が"主夫"に変わるだけでは違うと思っているので、自分たちで、新しく主夫の定義をつくったんです。
記者 どんな定義なんですか?
しゅうちゃん 「主」体的に家事・育児をする「夫」です。専業主夫だけではなく、会社で働いていたとしても、家事や育児に主体性があればよいということです。収入や家事分担のパーセンテージも一切問わず「主体的」であればよい。
それともう一つ、僕たちは、イクメンとの差別化もはかりました。イクメンはアルバイト、主夫はマネージメントをする人間です。つまり責任感の問題ですね。
記者 なぜ秘密結社なんですか?
しゅうちゃん 主夫の認知拡大といっても、まじめなアプローチをしても、ぜんぜん世の中に浸透しないんです。だから、いっそのこと、ふざけちゃおうってことで、秘密結社にしたんです。全員サングラスして、黒のスーツ着て、黒のタイをする。そんなイメージで。男はアホだからね(笑)
でも発足したら、すぐに新聞、雑誌、テレビ、ラジオって、すごい反響だったんですよ。
「みんなちがって みんないい」
記者 そもそも主夫になったきっかけを聴かせてください。
しゅうちゃん 主夫になったのは20年前のことです。当時システムエンジニアだった私は、まだ結婚したばかりだったのですが、体調が悪くて、サルコイドーシスという難病にかかっていると診断されてしまったんです。
通勤するのも辛くて、勤めができなくなってしまい、仕事を辞めることになったんですが、当時の妻は23歳で、僕は30歳、おっさんを養わせるのは忍びないので、妻に「別れて下さい」 と頼んだんです。
そしたらグーで殴られて、目の前で泣かれて。。
「離婚した後どうする気なの? あんたがやろうとしてることはわかってるからね!」って言われたんです。
僕は、実はその後、自殺するつもりだったんです。
「死なせない。私が稼いでくるから、家で療養しろ!できるときに家事をやればいいから」と男気あふれることを妻に言われて、ほとんどなし崩し的に主夫の生活に入りました。
ただ、当時は僕も、男は仕事、女は家庭 という意識がまだ残っていたので、わかってはいても、その状況をなかなか受け入れられず、就職への未練を断ち切るために、髪の毛を金髪にしたんです。
記者 それから20年が経ち、今も主夫として活躍されているわけですが、どんな心のあり方や認識の変化が今の活躍につながっていると思いますか?
しゅうちゃん 妻と自分が違うんだっていうことに気づいたことだと思います。金子みすずさんの詩で「みんなちがって みんないい」ってあるんですが、それを夫婦でわかったからだと思います。
僕は、硬い人間なので、考え方も硬く、なおかつ、座右の銘が「知行合一」なんです。でも妻は、楽天家で、竹を割ったような性格をしていて、座右の銘が「けせらせら」。これが夫婦やってるんですよ(笑)普通だったら性格の不一致で離婚するなって思うんだけど、これが面白かったんですよ。つまり、家庭内にもう既にダイバーシティが完成してた。「知行合一」と「けせらせら」をお互いが認めた。認めざるを得なかったんです。
でも、それを認めた段階で視野が広がるんです。「しょうがないじゃん、だってうちの嫁さんなんだもん」って(笑)
「人は人、我は我、されど仲良し」
記者 これからのAIが活躍する時代に必要とされるニーズは何だと思いますか?
しゅうちゃん 臨機応変さですね。特に子育てをしているときは、そのときどきで瞬間的に考えて行動しないと、やり直しが効かないので、臨機応変さは必要になってきますね。その人の性格とか、相手が求めているものを察知して、臨機応変に応えてあげることかな。
例えば、子育てをしていると、ときどき息子が何を言ってるかわかんないときがあるんですよ。でも、こっちがそれを察知してあげて、「もしかして仮面ライダーのこと言ってるか?」って言うと「そうそう」とか言う(笑)
言葉にならないところを察知する能力が大事だと思います。
記者 どんな美しい時代をつくりたいですか?
しゅうちゃん 大人になれば、人生ってやり直しがきくようなことはありますが、子育てはやり直しがきかない。一発勝負みたいなところがあるんですね。だから実は、ママたちがすごく苦しんでいるんですよ。
改めて思うのは、さっきの金子みすずさんの詩「みんなちがって、みんないい」をみんなもうちょっと口に出して言ってもいいんじゃないのって思います。
西原理恵子さんの漫画のなかに、西原家家訓「人は人、我は我、されど仲良し」っていうのがあるんですが、これは「みんなちがって、みんないい」に近い気がしました。
記者 ”されど仲良し”が大事なんですね?
しゅうちゃん そうです。そうです。「人は人、我は我、されど仲良し」これが多分、社会としては、美しい形なのではないかと思います。されど仲良しの道をみんなで創っていく世の中です。
「人生の映画タイトル」
記者 しゅうちゃんの今までと、これからの人生がひとつの映画だったとして、その映画のタイトルを教えてください。
しゅうちゃん 決まってるじゃないですか。「しゅうちゃん」ですよ。それ以外ないです。実は、僕は自分の名前があまり好きじゃなくて、改名する寸前にまでいったことがあるんです。なので「佐久間修一」は使いづらいし、違うと思う。でも子供が生まれてからは「しゅうちゃん」なんです。子供たちや周りの人も、みんながそう呼んでくれる。「しゅうちゃん」となると全く意味合いが変わってくるんです。
だから、このインタビュー記事も「佐久間修一」ではなく、「しゅうちゃん(佐久間修一)」でお願いしたいです。
記者 されど仲良しの道がどんどん広がってほしいですね。本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
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【編集後記】
今回、インタビューの記者を担当した、見並、石塚、山本 です。
お互いを尊重し合い、違いや変化を楽しみながら、されど仲良しの道を歩んでいく、しゅうちゃんの生き方にはとても説得力があり、かつ、終始、楽しそうに話されている姿が印象的でした。ありがとうございました。
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