もう文字なんて誰も書かないんだろうか?
先日、この春から家を出た息子へゆうパックで荷物を送った。その時郵便局にて「息子さんへはよく荷物送られますか?」と尋ねられて、こんなサービスありますよとチラシを見せられた。
なんでもスマホへアプリを登録すると宛名書きをしなくてもプリントアウト出来て、年間10回くらいだと割安になる?だったかな。
もう文字で宛名書きなんて書かなくてもいいですよ。とのことなのだ。
文字を書くのそんなに大変?
みんな文字を書かなくなるのかなぁ。
実は、少し前に私がネットで購入した本を、宛先を誤って息子のアパートへ送ってしまった。そこで届いたら、レターパックで良いのでそのままこちらへ送って欲しいと頼んだ。
息子はこの春進学で家を出たのだが、これが想像以上に私にはこたえた。生まれた時からいずれは社会へ返すものみたいな覚悟は出来ていたものの、母親なんて一体何なのだろうと思うほどに、別れが辛かった。本人がやりたいことをやりに行くのだ、成長したのだ、喜んでいいのだが、いざ離れたらこんなに寂しい事はなかった。今でも思い出すと涙ぐむ自分がいる。
そんな思いをしていたので、程なく息子から届いたレターパックを見て、静かにニンマリ、嬉しかった。私の宛名が息子によって、手書きされた郵便物。宛名を間違えて良かったと思った。というのも、息子からの初めての郵便物ではないかと思う。
手紙は入ってなかったが、そのレターパックの息子の手書きの宛名がとても味わい深く、その筆跡で息子の様子を探った。
すっかり親離れして、今やそんなことでしか息子を思い知ることができぬのだが、手書きの宛名がとても温かかった。
何が分かるではないが、やっぱり手書きだなと思う。遠くにいてもグッと近くにいるような生きてると感じられるぬくもりがあった。
郵便局で進められたアプリも、便利かもしれないけど、失いたくないものは大事にしたいと思った。手紙は書かないかもしれないが、宛名は書かねばならないから。たぶん便利とかとは次元が違うものなのだろう。
私はそのレターパックをそっと取っていて時々その筆跡を眺めては息子を思っている。
ありがとう。
2023.6.19
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