麻雀店でチヤホヤされるために先輩巨乳女を丸裸にして撃破した話③
麻雀店バイトを始めて、印象的だった局をひとつ。
南3局のトップ目でズルみたいな配牌をいただきました。
わたしのおっぱいも、これくらいズルかったら良かったのですけれど、まあ嘆いても仕方ありませんね。
こんな配牌を目にすると、よくお父さんが言っていた言葉を思い出します。
「麻雀の神様ってのは、ひねくれ者なんだ」
「麻雀を好き好きでしょうがなくて、たくさんの時間をかけたやつのことを、逆に嫌いになりおる」
「麻雀はじめたてのド素人が可愛くて仕方ないんだろうの。えげつない手ばっか渡しおるからな」
いまのわたしは、麻雀の神様なんて信じてはいませんが。
幼い頃は、そういうもんなんだなと、納得していました。
「じゃあ、麻雀の神様に嫌いになられないように。いっぱい麻雀するのはやめなきゃね」
なんて、お父さんに言ったのを覚えてます。
そのとき、お父さんは誇らしそうに、
「もう嫌われとる。だけどもそっからが麻雀は楽しいんだ。神様にケンカ売ってるみたいだからな」
と笑っていました。
お父さんの言葉が本当なら、冒頭の配牌をいただいたときのわたしは、まだまだ麻雀を好きになり切れてないド素人ということになります。
まあ、その通りなんですけどね。
男にモテはやされるためのツールに好きも嫌いもありませんし。
その手は結局、早々に切った中を鳴かれ、わたしのテンパイを待たずして2,000点くらいの手で流されました。
人生も麻雀も、なかなか思うようにはいきませんよね。
わたしが働いていた麻雀店は、都心に店を構えていたこともあり、とても繁盛していたように思えます。
麻雀初心者向けのルールを採用していたため敷居が低く、そのためか従業員のほとんどが20代前半くらいの男子学生でした。
それだけなら、わたしの理想とする環境でした。
意外だったのですが、麻雀店の若い従業員って大人しい性格の人が多いようです。
アウトローなイメージもある麻雀ですが、今は漫画やゲームからの導入が多く、時代はかわってきているのです。
うちの店もインドア系の男の子ばかりで、わたしから歩み寄らない限りは、決して話しかけてこないような人ばかりでした。
結局、歩み寄ることのできない陰キャがわたしなんですけどね。
逆にピンクちゃんは、フレンドリーな性格でした。良く言えばですけれども。(悪く言った場合の性格は、とてもここでは書けません!)
お喋り好きなのでしょう、よく従業員やお客さんにどうでもいいようなことで話しかけている現場を見かけました。
あと心なしかボディタッチが多かった記憶があります。
そしてその対象は、わたしも例外ではありませんでした。
むしろ唯一の同性だったためか、かなりの頻度で話しかけられていました。
タピオカが美味しいとか、どーとか。
わたしは流行りものに興味があるほうではないので、全然話が合いません。
それなのに、よくもまあ、毎回懲りずに話しかけてくるものだと、今になって思います。
「ピンクさんってモテますよね」
ある日わたしは、そんな言葉をピンクちゃんに投げかけました。
「え~?! そんなことないよ~」
「いやいや。他のメンバー(スタッフのこと)と、すごく仲良いじゃないですか。わたしはピンクさんほど、みんなと仲良くなれてません」
「それは、わたしのほうがちょっとだけ先に入ったからだよ~」
ピンクちゃんは、わたしの言葉を否定することなく、そんな感じの返事をしました。
「どうやったら、ピンクさんみたいに、みんなと仲良くなれるんでしょうか?」
「え~? ん~、別に、無理して仲良くなる必要もないと思うよ? 相性とかもあるし」
必要あるから、こうして聞いているというのに。
なんの収穫もありませんでした。
いえ。本当のことを言うと、そのときすでに分かっていました。
おっぱいもない、流行りに疎くてダサい、ちょっと麻雀のルールを知っている程度のコミュ障が、麻雀店に入ったくらいでチヤホヤされるなんて、甘い幻想だったのです。
ましてやピンクちゃんのようなフワフワで、倍満みたいな巨乳の女子が一緒なのです。わたしじゃ引き立て役にも、なっていなかったでしょう。
でも、認めたくありませんでした。
わたしには姫になる素質はないなんて。
そんなの上京したてのおぼこには、受け入れがたいものだったのです。
「わたしもピンクさんと同じくらいあったらなぁ」
バイトの帰り道。ひとりで小ぶりなそれを見つめ呟きます。
ちょうどそのタイミングだったと思います。
アイフォンからメッセージアプリの通知が鳴りました。
友達からの連絡などあるはずもない、この身に。
いったいどちら様でしょうか?
そう思いメッセージを見ると―――
『あなたの望み叶えます】
メッセージを送って、あなたの望みを教えてください。
このアカウントが叶えて差し上げます。
※代償は一切いただきません』
――――ただのフィッシングメッセのようでした。
予想どおりではありますが。
そのときのわたしは、よほど傷心していたのでしょうね。
あろうことか、そのメッセージに返信をしてしまったのです。
「大きいおっぱいがほしい」
「お洒落になりたい」
「コミュ力がほしい」
「男にチヤホヤされたい」
原文ママです。
本当バカみたいですよね。
その翌日でした。
アルバイトで本走中のわたしに、こんな手が入ります。
【東二局4巡目】
ごめんなさい。
正確にこの形だったかは自信がないのですが、
とにかく清一色のピンズ多面張で、何が出ても倍満でした。
焦ります。焦ります。
ただでさえ清一テンパイは待ち確認で必死だというのに、
あろうことかポケットのアイフォンがブーブー鳴り出すのです。
ホーム画面に現れたのは、通知のメッセージで『その手を捨てれば願いが叶う』の一文。
昨日のフィッシングのアカウントからでした。
なにこのメッセージ?
『その手』ってなに? このチンイツのこと?
わたしがいま麻雀してるってこと知ってるの??
気持ち悪い。
フィッシングじゃなくて、誰かのいたずら?
名状しがたい恐怖を感じつつも、しっかり待ち確認完了。
5p-6p-9p待ちです!!
だけど――――気の迷いとでもいうのでしょうか。
なんででしょうね?
一瞬だけ思ってしまったんです。
こんなわけのわからないメッセージでも。
信じてみたら、何かが変わるのかな? なんて。
打ち出された9pを、わたしはスルーしてしまいました。
その後すぐに他家からリーチが入り、無筋を掴んだわたしの放銃です。
なにやってるんでしょう、わたしは。
こんなときばっかり、男子スタッフが後ろ見をしていたようです。
「やっぱり待ち分かってなかったかー(笑)」と、煽るように言ってきたのを覚えています。
麻雀の悪手に関しては、人一倍敏感なのが彼らの特性です。
「あ、はは。む、難しくてわかりませんでしたぁ……」
目も合わせられないまま、そう返事するわたしは、さぞ醜かったでしょう。
そんな男に対してでも、話しかけられて嬉しいだなんて思っていたのですから。
それぐらいでしか、喜びを感じることのできない女なのですから。
倍満見逃しで、麻雀の神様がお怒りになられたのでしょう。
その日は、いっぱい負けました。
悲しかったので、普段は飲まない苦味のあるジュースをコンビニで買って帰ります。
一緒に飲む相手もいないのに、行動がおっさんのそれだなぁ、と思い余計悲しくなります。
わたしはとても苦ジュースの効果が現れやすい体質なのですが、その日はかなり許容料オーバーの2缶ちょっとを摂取。
気絶するかのように眠りました。
…………そしてなのですが。
ここからの話が、なんというか、ちょっとアレでして。
というか、さすがにアレすぎなのもあって、今日まで語るのを避けていたというか。
ごめんなさい、急に。
訳が分からないですよね?
えっと、とりあえず、まず結果から言います。
朝起きたら巨乳になっていました。
続きます。
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