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「いっけなーい!遅刻遅刻選手権」にエントリーしました☆第4話

◯ コラージュ・京香のトレーニング風景(朝)
(トレーニングする京香の姿と次々と捲られる日めくりカレンダーがO.L)
ランニングする京香と希子。
× × ×
反復横跳びする京香。
× × ×
希子が京香の腹筋にボールをぶつける。
× × ×
ボクシングジムでミット打ちする京香。
受ける希子。
希子「何でボクシング??」
× × ×
希子が至近距離からピンポン球をどんどん投げてくるのを上半身の動きだけで避ける京香。
× × ×
希子が長い棒の先に付けたボクシンググローブで突いて来るのをダッキングで避ける京香。
× × ×
プールで全速力で泳ぐ京香。
プールサイドで見ている希子。
× × ×
公園で疲れ果てて芝生に倒れ込む京香と希子。
(B.O)

◯T・二ヶ月経過 202×年7月中旬(木)

◯京香の家・二階・京香の部屋(夜)
7月の壁掛けカレンダー。
7月2週目の水曜日まで日付に×が付けられている。
その2日後の金曜日に終業式と書かれていて、その翌日の土曜日に大きな丸がつけられて「ICCC」と大きく書かれている。
始業式前の木曜日の日付にバツをつける京香。
京香「…(ため息)」
ベッドに腰掛ける京香。
京香、机の上の京香とみのりの写真を見て、
京香「いよいよあと2日か」
ベッドに倒れ込む京香。
(B.O)

◯合陣高校・校門前(朝)
「合陣高等学校」の銘板。
蝉の鳴き声。
登校する学生たちが次々と校門に吸い込まれていく。
T・202×年7月中旬(金) 一学期終業式当日
登校する京香。

◯同・校門・内側(朝)
汗を拭いながら入ってくる京香。
京香「あっつー」
校門の近くに樹齢50年ぐらいの大きな欅の木。
京香、何気なく欅の木を見上げる。
京香「あ、カブトムシ」
京香、カブトムシに向かって手を伸ばすが届かない。
京香「届かない…ハシゴとかないかな」
京香、辺りをキョロキョロ見回す。
少し離れた場所に綺麗な新築のプレハブ製の建物。
入り口には「用務員室」の文字。
用務員室に折りたたみ式の梯子が立て掛けてある。
京香「梯子見〜つけ。あっ…」
木の上から飛び去っていくカブトムシ。
京香「マジかよ。クッソー」
瑞稀が京香の肩を後ろからポンと叩き、
瑞稀「京香、おはよう」
京香「あっ、おはよう瑞稀」
瑞稀「何してんの?」
京香「あ、いや、別に…」
瑞稀「ふーん…用務員室がどうかした?」
京香「あ、いや…用務員室、急に建て替えて綺麗になったよね」
瑞稀「確かにそうだね…あ、もうすぐ終業式始まっちゃう。行こ」
京香「うん」
瑞稀、京香、校舎に向かって歩き出す。
瑞稀「いよいよ明日だね。遅刻遅刻選手権」
京香「(しみじみと)そうだね」

◯同・体育館内(朝)
「合陣高等学校 一学期終業式」の垂れ幕。
集まった生徒たちの前で校長が挨拶をしてる。
声(池田内蔵)「はい、ということで、一学期の終業式が行われてますが、一旦スタジオに戻ります」

◯スタジオのような場所
池田が白いスクリーンの前に立っている。
池田「はい、再び『いっけな〜い遅刻遅刻』研究家の池田内蔵です。さて、皆さん、何か気付きました?今行われてるのは一学期の終業式ですが、おかしいですよね?さっき瑞稀が明日、ICCC、いけない遅刻遅刻選手権だって言ってました。ICCCってシュウチンの転入日に行われる筈ですが、終業式の翌日だと普通、夏休みですよね?どういうことでしょうか?その秘密は…それでは終業式会場にカメラを戻します。池田内蔵でした」

◯同・体育館・外(朝)
大勢の生徒たちが体育館から出て来る。
渚、香織、京香、瑞稀も体育館の外へ。
渚「結局、殆ど女子全員出ることになったね。ICCC」
香織「まあ、そうですな」
渚「いよいよ明日か。全然一学期が終わった気がしない…」
声(和樹)「まあ、そりゃそうだわ」
突然現れる和樹。
驚く四人。
香織「出た!邪悪な元カレ野郎」
京香「だから急に出て来るなって」
瑞稀「…(和樹を見て、一人顔を赤らめている)」
和樹「本来は一学期中とか、二学期が始まってから転校生のシュウチンを迎えるべきだが、転入日当日にICCCを実施してしまうと本来の学校運営に大きく支障が出る可能性があると。なので…」
京香「シュウチン自身の転入は始業式当日に慎まやかに行われる代わりに、ICCCは学校行事と関係ない、一学期終業式の翌日、夏休み初日に行われることになった…」
和樹「ちょ、途中で話を取らないでよ」
渚「解説ご苦労さま。さ、今から私たち明日の傾向と対策を練らないといけないから。さっさとどっか行っちゃって」
香織「じゃあね。また二学期に」
和樹「そんなこと言うなよ…京香、あのさ」
京香「何?」
和樹「あ、あの…今からでも出場キャンセルしてもいいんだぜ」
京香「…カズちゃん」
和樹「シュウチンは女ったらしだ。絶対に不幸になる」
瑞稀「…(必死な和樹を見て複雑な表情)」
和樹「だから…」
なおも京香に食ってかかる勢いの和樹。
その両腕がガシッと両脇から抱え込まれる。
和樹「!?」
左右から和樹の両脇を抱え込んでる琴李と麻希。
和樹「君たち何?えっ?ちょ…」
和樹、ジタバタともがくが琴李と麻希の両腕のロックはびくともしない。
和樹「二人とも意外と力が強い…わー!ちょっと!」
琴李と麻希にズルズル引き摺られじりじり遠ざかっていく和樹。
声(菜緒)「全く、何アイツ。見苦し過ぎるっつーの」
現れる菜緒。
京香「菜緒」
琴李と麻希に引っ張られた和樹は遥か遠くへ。
瑞稀が心配そうに和樹の方を見ている。
菜緒「いよいよ明日。みんな頑張ろうね」
京香「えっと…とりあえずなんか…ありがとう」
菜緒「前にも言った通り、明日はなんやかんやで私がシュウチンとゴッチンコしてフィニッシュとなる出来レース…それはそれとしてあなたたち前座にも頑張って貰わないと盛り上がらないからね」
香織「何その言い方。ヒドくね?」
渚「なんなのその感じ。腹立つ〜」
菜緒「ゴメンね〜、生意気系やってるもんで。てへっ」
京香「てへっ!じゃないでしょ。もう、さっきの『ありがとう』返してくれる?」
琴李と麻希が戻ってきた。
菜緒、琴李と麻希を両隣に従え、
菜緒「では皆さんまた明日。シ〜ユ〜」
菜緒、琴李、麻希が去っていく。
渚「何だアイツ」
香織「ホントムカつく〜」
京香、瑞樹「…」

◯京香の家・全景(朝)
T・翌日 202×年7月中旬(土)ICCC当日
まだ辺りが暗い早朝である。

◯京香の家・京香の部屋(朝)
段ボール箱に入っているヘルメット、エルボーパッド、ニーパッド。
それらを取り出し、学校の制服の上に装着している京香。
京香「封筒の後にICCC事務局からこんなのが送られて来るとは…」
装着を手伝う希子。
希子「(欠伸をしながら)ねえ、起きるの早くね?」
× × ×
ヘルメット、エルボーパッド、ニーパッドを装着した京香。
希子「ヘルメットよし。エルボーパッドよし。ニーパッドよし」
京香「転んだ時用とか…色気もクソもないよな」
希子「あと…ゼッケンね」
希子、段ボール箱から「0005」番のゼッケンを取り出す。
京香の背中にゼッケンを取り付ける希子。
希子「(背中を叩いて)ハイ!頑張ってねお姉ちゃん。私が大富豪の嫁の妹になれるかどうかはお姉ちゃん次第だから」
京香「ハイハイ」
最後に京香、リュックを背負う。
希子「そのリュック、何入ってるの?」
京香「へへ、秘密…」

◯京香の家の前(朝)
リュックを背負い、食パン型参加証を持ってスタンバイしている京香。
隣で見守っている希子。
希子「お姉ちゃん頑張って!」
京香「(頷き)行ってきます」
京香、食パン型参加証を口に咥える。

〇町内・通学路(朝)
食パン型参加証を咥えたまま通学路に出た京香。
特定の方向に向くと参加証から電子音が鳴り出す。
京香(心の声)「ん?学校方面ではないのか…ハッ!?」
食パン型参加証を咥え目をぎらつかせた合陣高の女子高生たちがあたりを歩き回っている。
京香、食パン型参加証を口から外して、
京香「何だよ、皆も結構早起きじゃん…さーて、面白くなってきましたね」
(第5話に続く)

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