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有里 馨
2014年4月24日 22:30
桜が舞う。 舞い落ちるのは花びら。 そして、植えたものの想い。 想いの込められた薄紅の花。 それは丘の上にぽつん、と根を張る桜の木だ。 その樹はある女性を思って植えられたもの。 植えたのは名もなき男だ。 誰とも知れぬ白い衣の美しい女に、彼は恋をしたのだという。 彼女が現れたのはある春の夜で、白い着物を華奢なその身に纏っていた。 長い黒髪に、艶めく桜色の唇が色っぽ