「丹羽孝希選手、ありがとう」

 ちょっとおおっぴらに書くとアレなんで、このような形式で書きたいと思う。自分の思いを吐き出してみた。


 僕は今丹羽孝希選手のファンだ。8/6。僕は丹羽選手のファンになった。どうせ東京五輪からのミーハー層でしょ?と思われるだろう。実際そうだ。きっかけは。その日、僕はたまたまテレビを見ていて、チャンネルが男子団体の三位決定戦?だった。初戦ダブルスの水谷、丹羽ペアの試合。僕は大変失礼ながら、丹羽選手だけ存じ上げなかった。もっと言えば、張本選手以外は卓球をしている姿をほとんど見たことがなかったように思う。僕はスポーツの中では唯一卓球だけやったことがあると言えるのだが、それでも愛ちゃんや石川佳純選手、みうみま等は見たことがあったのに、丹羽選手だけは知らなかった。実にもったいない。その試合、僕はぼんやりと眺めていて、点が入ったらよっしゃと思い、外れたら頑張れと思った。僕は所用により少しその場を離れなければならず、戻ってきたらシーンは2試合目の張本選手になっていた。初戦のダブルスは勝ったんだな、良かったな、とぼんやり引き続きテレビを見ていた。それも途中までで終わったのだけれど。さて、この時点では、僕はほとんど丹羽選手のプレーを観ていない。見てはいるが、観てはいなかった。そんな中、水谷選手がどちらかと言うと正統派(と言うかオーソドックスタイプ?)で、丹羽選手は技術屋(パワーよりもテクニックを使うタイプ?)なのかなと思った。その後、何をきっかけにかは忘れてしまったが、丹羽孝希選手を検索したのだ。YouTubeで。そうすると、彼に関する様々な動画が出てきた。プレー集や試合もあるが、何はともあれファンタジスタ、トリックスターと謳われている動画だ。卓球なのに…?と思い、僕はその動画をタップした。衝撃だった。技術屋かと思っていたが(もちろん技術は超越しているのだが)攻め攻めプレーで、でも点を取っても淡白でサービスの時には口元だけ笑ってて大きな相手に打ち勝ってkoki niwa‼︎で…何だ?何だ何だ?何だこれは…⁈面白い。面白すぎる。興奮する。ニヤつく。彼はユニークだ。独特で唯一だった。いや、僕は卓球選手のことは全く詳しくないので、こんなプレイヤーはごまんといるのかもしれない。しかし僕の中の小さな世界にはこんなプレイヤーは丹羽選手しかいないし、彼は真の意味で世界を魅了するファンタジスタだった。僕はそれから食い入るように丹羽選手の動画を見た。ずーっと。彼のプレイを見ていたかった。彼に魅了されていたかったのだ。卓球をしている彼に。


 ひと通り見るべき動画は見尽くしてしまった。たぶん。それで今度はGoogleで検索することにした。丹羽孝希。名前の字面も最高だよなあ⁈オリンピックのニュースが多い。そりゃそうだ。そういえば僕は8/6、ダブルスの丹羽選手しか見ていなかった。残念だ。プレーが見たい。体重51kg⁈あの筋肉で⁈最新?情報は56kgみたいだ。グッズも買った。応援が力になるなら買うよ。僕は彼のことを応援したいから。乃木坂好きなんだ。結婚してる。お子さんいらっしゃるんだ。26歳なんや——毎日丹羽選手のことを検索していた。僕は彼のことを知ってまだ一週間くらいだが、彼を昔から知っている人が羨ましくなったし、僕もずっと昔から応援したかった。少しでもそんな誰かに追いつきたかったのかもしれない。認知の歪みがひどい僕は日々ネガティブに生きていて、それが結構しんどかったので、彼を知ることをタスクにできたのは良かった。知る間は死にたいと思わなくて済む。僕は彼に助けられていた。そんな中、とあるインタビューの記事にたどり着いた。2019年、彼はめちゃくちゃしんどかったらしかった。2020年になってもオリンピックは開催されず延期。選手を選手たらしめるものや目標としていた大会が延期になって、精神的にきつかったみたいだ。卓球をやめようと思ったこともあったそうだ。それでも大会に出続け、ポイントを重ねて、彼は東京オリンピック2020のシングルス枠を勝ち取った。彼のしんどい時期って、めっちゃしんどかったんやろうなと思った。映画を見たと言う旨のツイートがあった。2019年。同じ映画を何回も見たりしたそうだ。映画を見ている間は何も考えなくて済むから。もちろんツイッターにはそんなことは書いていない。過ぎたことだから言えたのだろう。代表に決まったから言えたのだろう。普段ほとんどSNSは更新していないようなので、これはよっぽどだったんだなと思った。別の映像で泣きそうな丹羽選手を見た。自分に何ができるのかわからないと言っていた。2019年〜2020年、丹羽選手は本当に辛かったと思う。辛い時があったのだと思う。それでもそれを乗り越えて?振り切って?どうしたのかはわからないが、東京オリンピック2020を迎えたわけだ。次のパリ五輪も目指すと。終わらなかったことが本当に嬉しい。もしかしたら、僕は8/6に丹羽選手と出会えなかったのかもしれない。そうならなかったのは丹羽選手自身の行動の賜物で、僕は丹羽選手カッケーと思っている。可愛い/カッコイイと言われることの多い彼だが、確かにそうだ。張本選手といる時の笑顔なんかは可愛いと思うし、生き様はカッコイイ。僕には丹羽孝希のことなんて全くわからないし、これからもそれはそうなのだと思う。他人の胸の内なんて絶対に解らない。それでも、彼はずっと今を生きていると思っている。僕はそんな丹羽選手が好きで、彼の生き様に痺れて、彼が彼であってくれと思うし、テレビに出てくれるのは正直嬉しい。まあ、そういうこと。彼に出会えて、パリ五輪まで、そこまでってわけじゃないけど、彼を応援する機会に恵まれたのが嬉しいなあと。あの時、選手を続ける選択をして、それがまだ続くってことが。「丹羽孝希選手、ありがとう」。


 ちなみに、これを書き終わるまで何回も泣いた。丹羽選手のことを考えると泣けてくるのは何でだろう。個人的に、僕はこれを親戚のおじおばムーブと命名している。

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