子育て講話①「上手に褒める。上手に叱る。」@さわた幼稚園
まずはこれをご覧ください。
ホンマでっか?みたいな話なんですが,
将来の収入と幼児期の親との関係には
明らかな関連があるそうなんです。
これはアメリカでの調査研究でわかったことです。
いわゆるお金持ち・成功者,
自分のやりたいことを実現している人,
夢が叶った人,
その人たちの唯一の共通点が
母親との温かな人間関係を築けていたことなんです。
もともと家が金持ちとか,
親が医者や弁護士だとか,
そういう人ももちろん含まれていますが,
それでも例外はあるわけです。
でも,例外なくあたたかな人間関係を親と築いていた人が
成功しているという調査結果があるのです。
そのために何をしたらよいか?
それはいろいろあるのですが,
本日は,「まず自分のお子さんをほめていきましょう」
という話をしていきます。
「ほめる」と「おだてる」は似ているようで違います。
ほめることは,子どもをよく見て,子どもの話をよく聞いていなければできません。
「子どもをほめましょう」という話をすると,
「いや先生,うちの子なんてね,ほめる所なんか何にもないんですよ」
とおっしゃる親御さんもいらっしゃいます。
それはこんなところを見ようとしているからではないでしょうか?
ほめポイントのハードルが高すぎるのかもしれませんよね?
そこでハードルをぐっと下げて,
お子さんを見てみてください。
例えばこんなことです。
こんなことでいいです。
これならほめる所は,たくさん見つかりますよね。
100点を取ったら,一番になれたら,何か賞をもらったら…
私たちは子どもたちをほめますよね。
でも,そこじゃなくてもいいんです。
努力・成長・基本的なこと。
ここをがんばっていく大人に育てたい。
みなさんはどうですか?
ほめられてうれしくない子どもはいません。
結果ではなく,がんばっているプロセスをほめる。
そして,お子さんのよい行動が見られたら,
その場で素早くほめること。
後でまとめていっぺんにではなく,
こまめにこまめにほめていくこと。
そうすると,お子さんのよい行動が増え,
がんばろうという気持ちが育っていきます。
私を含め,「叱るな」と,「ほめろ」
「子どものよいところ見ましょう」と。
そういう話をする人や,
そういうことが書いてある本が巷にはたくさんあります。
そうなると,
子どもを叱ってはいけないのか?
どんなときでも叱ってもいけないのか?
と,親御さんも困惑されるでしょう。
叱ってもいいんでしょうか?
いいんです。
大事なのは,何を叱るか?いかに叱るか?です。
ただし,お子さんができないこと,苦手なことを叱ってはいけません。
いくら叱ってもできるようになりません。
苦手なことは,わかりやすく教える。
一緒にやる。
手伝ってあげる。
ということが必要です。
でも,明らかな悪事,人を傷つけることは,
叱ってもよいと思います。
友だちをいじめる行為を叱らないって,
そんな訳あるか!って思いますよね。
叱るときには,その子のよくない行動だけを叱ります。
でも,その子の人格そのものは決して否定してはいけません。
うーん…,ここが難しいところなんですが,
その子の人格と行動を分けて叱るというのはこういうことです。
人格は認めながらも行動だけを叱る。
せめてNGワードは言わないように気をつけたいものです。
大人がついカッとなってしまうと,
子どもの人格を否定するようなNGワードが
ポロッと口から出てしまいがちなのです。
叱るのは,あくまで子どものために「叱ってみせる」
という私たちの演技なのです。
怒るとは,本当に頭に来て,
子どもにその怒りをぶつけていることで,
やっていることは同じですが,大きな違いがあるんです。
私は,この子のために心を鬼にして,厳しく叱っています。
本当でしょうか?
心の奥ではイライラした感情をお子さんにぶつけているだけ
ということもあるのではないでしょうか?
叱るってすぐに効果が出ます。
大人が大きな声で,ガツンと言えば,
大抵の子は,今やっていることを改めます。
ですが,抗生剤のように,叱れば叱るほど,
だんだんと慣れてきて,麻痺してきて,堪えなくなる。
だから,もっともっと強く叱るようになっていくのです。
ほめることは,漢方薬のように,
すぐには効かないかもしれません。
ですが,毎日毎日少しずつほめていく,
漢方を飲んで体質改善するように,
子どもたちの行動がよくなっていく,
子どもたちの心が成長していくのです。
これも「ホンマほんまでっか?」という研究結果なのですが,
ダメ出しをしなくても人をよい方に変えていくことができるのです。
実験では,お母さんと子どもの関わり方を動画で撮り,
それをお母さんと見ながら,よい点だけを指摘し,
再びお子さんと関わってもらったところ,
前よりもお母さんが優しく適切な関わり方をするようになった
という結果が出たのです。
オリンピックで金メダルを目指す。
東大合格を目指す。
すでに能力が高く,少しで一番になれる。
一番になりたいという人にとっては,
自分のできないところ・苦手なところ,
不足しているところを指摘してくれて,
そこを埋めるような指導をしてくれる,
自分を完璧な状態にしてくれるコーチが必要なのかもしれません。
つまりダメ出しが必要なんです。
一方,まだ未熟な子どもたち,
苦手なことが多い人,
自信がない人にとっては,
今できているところや得意なところを伸ばしてくれるコーチの方がよいでしょう。
改めて言います。
ほめられて嬉しくない子はいません。
ほめ言葉に加えて,親御さんの笑顔,
そして頭をなでる,肩をポンと叩く,ハグをするなどの
スキンシップの3点セットでほめると,
より子どもたちは嬉しい気持ちが高まります。
ほめ言葉は耳から,
笑顔は目から,
スキンシップは肌から,
いろいろな感覚器から,嬉しい,気持ちいいと思えるものを
入れていく方が効果的です。
子どもたちにとっては,言葉よりもスキンシップの方が効果的です。
スキンシップをすると,
子どもたちだけでなく親御さんにも
じんわりとオキシトシンというホルモンが分泌されます。
オキシトシンは出産時,
お母さんの脳にドバッと出るものです。
お母さんの脳が愛情ホルモンでいっぱいになっている状態で
生まれてきたお子さんを見ると,
「我が子が世界一かわいい」と思うのは当然のことです。
オキシトシンは,愛情を深めるという効果だけでなく,
健康や美容にもよいことばかりなのです。
最近肌荒れがひどいからエステに行こうかしら?
ちょっと待ってください。
その前にお子さんをギュッと抱きしめてください。
オキシトシンがじわっと出ます。
エステに行かなくても,タダで美肌になりますよ。
様々な場面でスキンシップをとることができます。
ほめるときはもちろん,
叱るときにもスキンシップです。
先ほど叱るの話をしましたが,
大人がカッカしていると,
ついつい子どもを突き放すことがあります。
本来叱ることは,子どものよくない行動を諫め,
次こそはやらないようにするためのものです。
ですから,叱られながらも,自分の親から見捨てられてない
という感覚を,お子さんがもつことが大事なのです。
あいさつのときも,
遊ぶときはもちろんですね。
ゲームをするときでも,親子で体をくっつけながらやるといいですね。
何かと子どもたちを触ってあげてください。
様々な場面で子どもに触れる機会はあります。
今やスキンシップはお金になります。
同じCDを何十枚も買って,
アイドルとスキンシップをしたがる人もいるのですから。
ほめ言葉以外にも,このようなプラスの言葉がけができるといいですね。
でも,ついつい忙しかったり,イライラしたりすると,
NGワードを口にしてしまうことがあります。
お母さんの口癖第1位は何といっても
「早くしなさい!」です。
幼児期に母親との温かな関係が築けていた人は,
そうでない人に比べて年収は約870万円高い。
温かな関係とは,
親が子どもにとっての安全基地になっていることです。
冒険貢献したり,挑戦したりしながら,
様々な世界に触れていく子どもたちが戻ってくる場所,
それが安全基地です。
私たちが子どもの安全基地でいるためには,
まず,いつも一定であることが大事です。
基地が不安定だと子どもは癒やしてもらうことはできません。
私たちは,子どもを常に追いかけ回してまで
一緒にいる必要はありません。
子どもが求めてきたら
精一杯応えてあげればよいのです。
子どもが求めていないのに,親心もあるでしょうが,
あーしろ,こーしろ。
これはだめ,あれはダメ,
と,ついつい親が先回りをして言ってしまうことがありますよね。
最後にもう一度。
これはお金の問題だけではないのです。
このグラフが意味するものは,
子どもたちが成功し,幸せな人生を送れる大人になるためには,
学校に入る前の今,今の時期が,
私たちのエネルギーを注ぐべきときだというです。
学校に入ってから,社会人になってからの努力も,
もちろんムダではありません。
ですが,幼児期,今このときに,
どれだけのエネルギーを注ぐことができたかで
人生は,ほぼ決まってしまうのです。
習い事や塾などもよいとは思いますが,
まずは温かな親子関係を作ること。
親御さんと一緒に,
楽しく,学びのある生活体験をすること。
そして生活の基盤を作り,
子どもたちの心と体のコンディションをいつも良好に保つことが,
私たちの本来やるべきことなのです。
ポイントは快食・快眠・快便です。
この3つが日々保たれていれば,
大抵の問題は解決です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
第2回目,第3回目の誌上講演も,
よろしければご覧ください。
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