「HK 変態仮面」は、王道のダークヒーローを描く青春映画です。

 「HK 変態仮面」、まさかの続編が公開決定!
 しかも、公開されたビジュアルを見る限り、舞台はNY。
 実に心が躍ります。

 「変態仮面」を知らない人のためにひと言で説明すると、「パンティを被ると強くなる男が、半裸になって悪をやっつける映画」です。はい、変態の映画です。

 そんな「変態仮面」の一作目の時に監督・脚本の福田雄一さんを取材させていただいたのですが、その時から「下敷きにしているのはスパイダーマンで、ある1人の青年の葛藤について本気で描いている」「続編は、スパイダーマンへのオマージュとしてマンハッタンで撮りたい」と言ってました。

 それが、一作目を公開後、まったく噂を聞かなくなったので、「やっぱり、客が入らなくて構想は潰れたのかなあ」と思っていたのですが、ここに来てまさかの二作目の発表が来るとは。これは期待せざるを得ません。

 「変態仮面」がスパイダーマンを下敷きにしている、というのは、蜘蛛の糸のようにロープを使って敵を亀甲縛りにするとか、長いロープでターザンの様にビルとビルの間を飛び回るシーンがあるとか、そういう表面的な話ではありません。物語としての、もっと根幹の部分の話です。

「変態仮面」のストーリーをおおまかにまとめると、次のようになります。

正義感あふれる主人公の男子高校生は、普段から悪に対して何もできない自分に対して無力感を持っていた。そんな彼は、ある日突然、超常の力を手に入れ、好きな女性を悪から救うことができる。

しかしそれは、社会では決して認められることはなく、自分でも受け入れることができない忌むべき力だった。

その力があるからこそ自分は正義を貫き大切な人達を守ることができるが、どうしてもその力を認めることができない。2つの相反する気持ちの間で、悩み葛藤する主人公。

そんな彼は、ある日、敵に敗れ、超常の力を失ってしまう。力を失ったことに苦しみながら、おぞましい力を失ったことに安心する主人公は、そのまま平穏に生きていこうと考える。

だが、その平穏は長くは続かない。無情にも、彼の愛する少女は悪の手に落ちてしまったのだ! 彼女を救うことができるのは超常の力を持つ青年だけ。

深い葛藤から這い上がった青年は、世界で一番大事な少女を救うため、忌むべき力とともに生きていく覚悟を決めて再び立ち上がるのだった。

 もう、物語の構造としては完全にダークヒーロー物なんですよね。突然力を与えられた主人公のジレンマと葛藤の物語です。ただ、その「力」が「使用済みのパンティを被ったらすごく強くなる」というだけで(笑)

 福田監督は、「この映画は、主人公が高校生だから成立するんです。とも言ってました。「高校生のときって、ぎりぎりオナニーすることに罪悪感があったじゃないですか。大人になると、消化試合みたいな感じでやっちゃいますが(笑)。でも中高生のころってまだ罪悪感があって、オナニーしたい自分を認めたくない。(主人公の悩みは)それなんですよね」とのこと。

 主人公がもう少し大人だったら、正義のためならパンティを被ることをある程度受け入れられるようになるんだと思います。でも、彼はまだそこまで割り切ることができない。だから、ジレンマに陥って葛藤するのです。

 そういう意味で「変態仮面」は、性への罪悪感や大人への成長を扱った青春映画とも言えます。

 ちなみに、主役を演じた鈴木亮平さんが、また真面目な人らしくて。撮影3日目くらいに福田監督のところにやってきて、「これってものすごい葛藤が描かれてるんですね! 読み直したら、すっごい深いことが解りました!」と言ってたとか。変態の役なんですけどね(笑)

 一作目でこうしたテーマを扱い主人公の成長を描いた福田監督が、次作では大人になった主人公を通して何を描こうとするのか。

 また、ここ数年、大きな役を次々にこなし、役者として一回りも二回りも成長した鈴木亮平さんが、今度はどのように演じるのか。

 公開が待ち遠しいです。

 まあ、そんなこんな言いながら、しょせんは「変態仮面」ですけど(笑)

映画『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』オフィシャルサイト
http://hk-movie.jp/index.html

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