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夫が「くも膜下出血」 vol.3

夫の緊急手術を終えて

心理カウンセラーの中では、「思考が現実になる」ということが周知されています。
私も実感しているし、カウンセリングの中でもクライアントさんと話します。

ただ、その場合の思考とは無意識レベルで思っていることであって、自覚していないことがほとんどです。

つまり、夫が重篤になってしまった現実はどんな思考によって起きたのか。

これまでのカウンセラー活動から自分自身を深掘りしてしまう。
いやいや、考えなくていい。人は考えると悪いことを考えてしまいがち。悪いことを考えると気持ちがさらに沈むだけ。そう思い直し考えるのをやめ、今は夫が生きている。夫を信じよう。

手術は5〜6時間かかると言われていたので、その間もただ一人待つしかなかった。コロナ禍で病院は自由に出入りできるところではなくなってしまった。お見舞いに来る人もいない。

私の両親は病院に来てくれると言ったけど、私よりも家にいる子どもたちのケアをお願いした。
救急搬送された直後の部屋は、吐物もそのままで、10代の子どもたちにとって衝撃的に違いない。長男は搬送されるところを目撃していて怖くて眠れなかったと言っていた。でも今、私は寄り添ってあげることができない。
次男は午後に習い事の昇級試験があり、予定では夫が連れていくはずだった。せめて試験を受けられるように、両親に頼んだ。
結果、私はひとりぼっち。

私は、待合室からカフェテリアと呼ばれる落ち着いたスペースに移動し、関係各所に連絡を済ませて、短い仮眠を数回取ることができました。

5時間経った頃、看護師さんがやってきて、部屋を準備するように連絡がありましたと教えてくれました。ということは、手術が無事に済んだということ。

すこしだけ気持ちが落ち着き、悲しみは和らぎました。

入院中に必要と指示されたものをコンビニで購入し、さらに待つこと1時間。
看護師さんに案内され、主治医が待つ部屋に通されました。

予定していた手術は無事に終わったとのこと。ホッとしました。
しかし、これから2週間はまだ安心できない。再発や脳の自然現象による合併症のリスクがあるというのです。
また、発症直後の脳はすでに大きなダメージを受けていて、2週間経って生きていても重度の後遺症は避けられないと告げられました。

記憶を司る器官「海馬」がダメージを受けている。
それは、私のことを認識できないかもしれない。

感情を司る器官「扁桃体」がダメージを受けている。
人が変わってしまうかもしれない。意思疎通がこれまでと同じようにできないかもしれない。コミュニケーションに支障が、、、

運動を司る器官もダメージを受けている。
ほかにも、、、

もう、コミュニケーションがなんとかと聞いたショックが大きすぎて、先生の説明が聞こえてこなくなってしまいました。

私たちは、ここ1〜2年で仲の良い夫婦になれたところでした。
お互いに好きになって結婚したのに、結婚してから喧嘩ばかり。
子どもたちの前でも大声を出したり、物にあたったり、しまいには必ず家を出ていく夫。
こんな関係なら、子どものために離婚した方が幸せなんじゃないか。
それとも子どものために離婚しない方がいいのか。
いつも悩んでいた。

3年前、もう2人では話し合いもできない状況になり、離婚を視野に第三者を入れて話し合おうとしていた。
ちょうど私が心理カウンセラーになれるという頃。
カウンセラーを始めたというのに、自分自身の家庭内の不和を解決できないでいる私。
そこで、離婚前提でカウンセリングを受けてみたら、半年後、私のマインドが変わり始めたのです。

それから日を追うごとにマインドが変わり、夫婦関係が変わりました。
結婚して17年経って、新婚の時よりも愛情も信頼関係も強くなって、不仲だった時の分も優しい言葉や労いの言葉や感謝をこれからたくさん伝えていこうと思っていたのに。

脳に支障。
伝えても、通じないということ???

温かいコミュニケーションができない。
愛のメッセージも伝わらない。
感謝も伝わらない。

私にとって最もショックでした。

体が動かないことより、心が通うことがないのは悲しすぎる。


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