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RiTTLEBOY / isolation

ポストenvy的な音を鳴らすバンドは沢山いる。
エモーショナルなメロディック•ハードコアを叙情系という括りで表現されたバンドもたくさんいる。

鳴らされてる音は所謂叙情系と呼ばれる括りだろう
だけど、この音源を聴いて確信に変わったことがある。自分の中で、彼等は叙情系という括りではないと。かといって所謂激情系という感じでもないんだけど。バンドとして、大きな一歩をこの作品で踏んでいる。

正直すぎる話をすれば、彼等のことをライブで見て、音源も聴いて、かっこいいバンドだとは何度も思ったことはある。だけど、普段から何度も聞きたくなる音楽かと言われたらそうではなかった。それは、彼等の音楽性や歌われる内容がいまと違うからではない。そこは昔からぶれていないと思う。

意思と言葉をまっすぐに紡ぎ鳴らすが故に、言葉の鋭さが嘘くさく感じていたからだった。様々な要因があるんだろうと思うし、彼等の活動の仕方や考え方、向き合い方をほとんど知らなかったということもあると思う。シンプルに、サウンドのクオリティもボーカルの表現力も格段にアップしている点もあるだろう。

新曲の完成度はもちろん素晴らしいけど、再録されている2曲の説得力は2019年リリースしたバージョンとは雲泥の差を感じる。

人間誰しもが生き抜く中で日々感じる怒りや募るモヤモヤを、ごちゃごちゃと回り道をせずに超ど正論をまっすぐにぶつけてくるボーカルの紡ぎ出す言葉。人間がもつ怖さや愚かな部分を剥き出しにして、それでも恐れることなく希望を持って向き合う。人間として、当たり前の姿、当たり前であるべき姿。

極端な比喩表現や、非現実的なニュアンスではなく、いい意味で生々しく生活感のある世界観は、聴く人を選ぶだろう。苦手な人にはとことん合わない世界感だろう。だが、それでいい。それがいい。ボーカルの成長や心情の変化次第で、様々な可能性を感じるあたりも個人的には素敵な点。

行き辛い世界のど真ん中で、高らかに鳴らす彼等の音楽を、もっと聴いていきたい。

このご時世もあってか、デジタルのみでのリリースなのが残念。
フィジカルへのこだわりというよりは、詩の内容も含めての作品であるという風に捉えているので、ブックレットで歌詞を見ながら聴きたい一枚。
なので、自分で書き起こして眺めようと思う。

RiTTLEBOY「isolation」
https://music.apple.com/jp/album/isolation/1578143177

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