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令和の中学校月報②「境界知能生徒への取り組み」

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現代の教育現場では、さまざまな学習ニーズを持つ生徒たちが共に学んでいます。その中でも、境界知能(IQ 70~84)の生徒は、学業や日常生活で特有の困難に直面することが多く、特別な支援が求められます。本記事では、境界知能の定義と特徴、そして具体的な事例を通じて、教育者や保護者がどのようにしてこれらの生徒をサポートできるかについて考察します。適切な理解と支援を通じて、境界知能の生徒が自立し、社会で成功するための道筋を探っていきましょう。


1.はじめに

1-1 境界知能とは

知的障がいは次の表で示すIQ区分により診断されます。
〇項目              〇IQ区分
健常               IQ85以上
境界知能             IQ70~84
軽度知的障がい          IQ50~69
中度知的障がい          IQ35~49
重度知的障がい          IQ20~34
最重度知的障がい         IQ20未満

日経オンラインより


境界知能とは健常者と軽度知的障がいのボーダーラインにあたるIQ区分で70~84の人たちのことを指し、知的障がいとは診断されませんが、統計学上は人口の約14%、1700万人が当てはまるとされているのです。

1-2 一般的な境界知能の主な特徴

1.知能指数 (IQ)
・知能指数が70~85の範囲にあることが多い。知的障害の範囲は通常IQが70未満とされるため、その境界に位置します。

2.認知能力
・抽象的な思考や問題解決能力が低いことが多い。
・学校の学業成績が一般的に低く、特に数学や読解力において困難を感じることが多い。

3.適応行動
・日常生活のスキル(自己管理、対人関係、家庭生活、コミュニティ参加など)において支援が必要となることがある。
・自立した生活が難しい場合があり、家族や支援者のサポートが重要。

4.社会的スキル
・対人関係において問題を抱えることが多く、友人関係を築くことや維持することが難しい。
・社会的な場面での適切な行動が理解できない場合がある。

5.職業能力
・定職を持つことが難しく、単純な作業や繰り返しの作業が向いている場合が多い。
・職業訓練や職場での支援が重要。

1-3 境界知能の課題とサポート

1.教育

・特別支援教育や個別の教育プログラムが有効。
・学校や地域でのリソースを活用し、学習の補助や生活スキルの訓練を行う。

2.メンタルヘルス

・うつ病や不安障害などのリスクが高いため、早期のメンタルヘルス支援が重要。
・カウンセリングや心理療法を受けることで、精神的な健康を保つ手助けができる。

3.職業訓練と就労支援

・適切な職業訓練や就労支援を受けることで、働く場を見つけやすくなる。
・職場での支援やアコモデーション(合理的配慮)が必要な場合がある。

4.社会的サポート

・家族や支援者との連携が重要。
・地域社会や支援団体のネットワークを活用することで、より多くのサポートを受けることができる。

境界知能を持つ人々は、多様な課題に直面することがありますが、適切な支援や教育を受けることで、日常生活や社会生活において自立し、成功することが可能です。理解と支援が重要であり、個々の能力やニーズに応じたアプローチが求められます。

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