女々しい

失恋すると気持ちが落ち込んで、何とも言えない気持ちになりますよね。私も失恋するとなかなか吹っ切れないタイプで無駄に思い出に浸ったりして、ますます感傷的になったり…。すごく「女々しい」方だと思います…。

「女々しい」と言えば、私の好きな失恋ソングがあるんです。(だいぶいきなりですが…笑)
ということで、今日はイチオシの失恋ソングについて語ろうと思います。

RADWIMPSというバンドを知らない人はほとんど居ないでしょう。私が初めてファンになったバンドで、ファン歴はもう10年以上でしょうか。
2016年、新海誠監督の映画「君の名は。」で劇中の全楽曲の制作を務め、その名を世間に轟かせましたよね。
また、2019年には同じく新海誠監督の映画「天気の子」でも楽曲制作を務め、注目を集めました。

新海映画のイメージが強いRADWIMPSですが、私が彼らの楽曲で一番好きな曲が「me me she」という曲です。読み方は「ミー ミー シー」ではなく、「メ メ シー(女々しい)」。
だいぶ未練タラタラな失恋ソングなんですが、この曲のタイトルといい、歌詞といい、RADWIMPSの全楽曲の作詞作曲を務めるVo.野田洋次郎のセンスを感じるのです。

まず、タイトルの「me me she」。
「女々しい」と読むのですが、「私」という意味の「me」と「彼女」という意味の「she」で構成されています。この歌は失恋による未練が解消されず煮え切らない彼氏の目線で歌詞が書かれている為、「僕と彼女」という意味で「me」と「she」でタイトルがつくられています。
失恋によって心の傷が癒えない時、どうしても自分よがりな考えになったり、自分の都合のいいように思い出に浸っては後悔してしまいますよね。
そんな彼女(she)の目線より自分(me)の目線を優先してばかりで、吹っ切れない様子をタイトルの表記で表現しているのです。「me」が2つで「she」が1つなのは、そんな主人公の心の内を表しています。

次に歌詞を見ていきましょう。
冒頭〜サビまでの歌詞がこちら。

僕を光らせて 君を曇らせた
この恋に僕らの夢をのせるのは
重荷すぎたかな
君の嫌いになり方を 僕は忘れたよ
どこを探しても見当たらないんだよ
あの日どうせなら
「さよなら」と一緒に教えてほしかったよ
あの約束の破り方を 他の誰かの愛し方を
だけどほんとは知りたくないんだ

冒頭の「僕を光らせて君を曇らせた」。

これは主人公が、僕ばかりが楽しい思いをし、彼女(君)にとってはつらい思いばかりをさせてしまったと後悔している様子だと思われます。
私の個人的な解釈ですが、恐らく主人公は彼女のことを溺愛していると言えるほど気持ちが強かったのでしょう。その証拠として、後の歌詞に「君の嫌いになり方を僕は忘れたよ」という歌詞が出てくるので、彼女への愛は相当深いものだったと分かります。
しかし、その深い愛によってついつい甘えすぎたり、我儘を言ったりして、彼女の負担になっていたのではないかと推測しています。

サビに入ると、その深い愛がさらに強く出ている歌詞があります。

「さよならと一緒に教えてほしかったよ。あの約束の破り方を。他の誰かの愛し方を。だけど本当は知りたくないんだ。」

「あの約束」と言うのは2番の冒頭の歌詞に出てくるので、後ほど紹介します。
彼女を嫌いになんてなれない主人公。さよならすることになるなら、その時に他の人を愛する術を教えてほしかった。だけど本当はそんなこと知りたくない。彼女を深く愛しているから。
とても女々しい、未練タラタラの主人公が思い浮かぶ歌詞ですね。

続いて、2番冒頭〜サビまでの歌詞がこちら。

約束したよね 「100歳までよろしくね」
101年目がこんなに早くくるとは
思わなかったよ
こんなこと言ってほんとにごめんね
頭で分かっても心がごねるの
だけどそんな僕
造ってくれたのは 救ってくれたのは
きっとパパでも 多分ママでも
神様でもないと思うんだよ
残るはつまり ほらね君だった

ここで1番のサビで言っていた「あの約束」が出てきます。

「約束したよね。100歳までよろしくね。」

おじいちゃんおばあちゃんになっても一緒に居られるような素敵なカップルになろうと約束していたのでしょう。
しかし、別れることになってしまった二人。別れがこんなに早く来るとは思わなかったという主人公の気持ちを「100歳までよろしくね」という約束に掛けて「101年目がこんなに早く来るとは思わなかったよ」という歌詞で表現しているのです。

こんなことになるなら、こんな約束をするんじゃなかったと後悔する主人公。もう叶わない約束だと分かっていても、煮え切らない気持ちからモヤモヤしてしまいます。けれども、そんな主人公を造ったのも、受け入れてくれたのも、パパやママや神様でもなく、君だった。主人公が自分らしく居られるのは君のおかげだった。
彼女の存在は主人公にとってそのくらい大きな存在だったのだと分かる歌詞ですね。

続いて、Cメロ〜大サビ手前までの歌詞がこちら。

僕が例えば他の人と結ばれたとして
二人の間に命が宿ったとして
その中にもきっと 君の遺伝子もそっと
まぎれこんでいるだろう
でも君がいないなら きっとつまらないから
暇つぶしがてら2085年まで待ってるよ

失恋から前に進もうとしますが、やっぱり彼女のことが忘れられない主人公の気持ちを歌ったCメロ〜大サビ手間。

たとえ僕が他の人と結ばれて子供ができたとしても、その子の中に君の遺伝子も少しばかり紛れ込んでいるだろう。でも、そこに君が居ないのはつまらないから、2085年まで君を待ってるよ。

ここで気になるのは「2085年」という中途半端な西暦。これは作詞作曲したVo.野田洋次郎の生まれ年「1985年」から100年後の西暦です。2番の冒頭にでてきた約束を思い出していただきたい。

「100歳までよろしくね」

あの約束がここでも未練がましく出てくるんです。
自分が100歳になるまでは君との約束をまだ果たすことができるのだから、僕は2085年まで君を待っている。
ここまで執着心が強いと少し引いてしまうところもありますが、それくらい主人公の彼女に対する愛情は本気だったことも分かりますね。

最後に、大サビ〜エンディングまでの歌詞がこちら。

今までほんとにありがとう
今までほんとにごめんね
今度は僕が待つ番だよ
君が生きていようとなかろうと
だってはじめて笑って言えた
約束なんだもん
「空が綺麗だね 人は悲しいね」
また見え透いたほんとで僕を洗ってよ
次がもしあれば
僕の好きな君 その君が好きな僕
そうやっていつしか
僕は僕を大切に思えたよ
この恋に僕が名前をつけるなら
それは「ありがとう」

この曲の最後は彼女に対する感謝の気持ちで締めくくられています。

楽しいこともつらいことも一緒に乗り越えてきた二人。一緒に居てくれたことに「ありがとう」。負担をかけてしまったことに「ごめんね」。
「100歳までよろしくね」という約束を果たす為に君につらい思いをさせて我慢させてしまった。でも、今度は僕が我慢して待つ番だよ。君が100歳まで生きていようが、その前に死んでいようが。だって、この約束は初めて笑って言えた約束だから。
もしまた君と一緒になれたら、本音でぶつかりあって僕の我儘を正してほしい。
僕のことが好きな君、そんな君が好きな僕。君との幸せな時間を過ごすことで、僕は自分のことを大切に思えた。
「この恋に僕が名前をつけるなら、それは「ありがとう」」

様々な未練がありながらも、最後にようやく一歩踏み出して前を向こうとする主人公の姿がなんとも切ないですね。

長々と最後まで読んでいただき、ありがとうございます。文章を考えて伝えるということが苦手なので至らない点も多々あったと思いますが、いかがだったでしょうか?

私は失恋した時は必ずこの曲を聴く!と決めています。笑
失恋してなかなか恋人のことを忘れられないことは誰にだってあります。でも、悲しいと思ううちは無理に忘れる必要はないのです。
もう終わったことなのに、いつまでも未練がましく気持ちを引きずってしまう、そんなどうしようもなくやるせない気持ちを肯定して寄り添ってくれるRADWIMPSの「me me she」。
失恋で傷が癒えない人たちがこの曲を聴いて、たくさん涙を流して、いつしか次の恋に一歩踏み出せるきっかけになれば嬉しいです。