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303 日本の消費者物価 植田総裁が見ているものは?

植田総裁の話しぶりから、見ているものは次だろう。

勿論、総裁がたびたび口にするように、
日銀が計算している基調的なインフレ率の加重中央値 もあろうが、
たぶん、それが2%を越えていないので、都合がいいので口にしているだけだろう。

刈込平均値は、品目別価格変動分布の両端の一定割合(上下各10%)を機械的に控除した値。
加重中央値は、価格上昇率の高い順にウエイトを累積して50%近傍にある値。

消費税率引き上げ・教育無償化政策、旅行支援策の影響を除く
    2020/4月以降は、高等教育無償化等の影響も除いた日本銀行調査統計局の試算値



日銀の物価目標は生鮮食品を除く消費者物価上昇率が2%ということなので、それは見ているだろう。
これが上昇している背景は「輸入物価上昇を起点とする・・」と言っているので、輸入物価上昇率も見ているだろう。それは、生鮮食品を除く消費者物価上昇率に1年先行するので、これから生鮮食品を除く消費者物価上昇率は低下すると考えているようだ。今のところ、その図式通りなので、植田総裁は利上げは焦っていない。

物価の上昇を財とサービスに分けてみると、サービスは殆ど上昇していない。賃上げ環境を作るには、これが上がってこないと難しい。価格が上昇しているのは財、特に財の中の食品だ。これでは、賃上げの資金源は作れない。植田総裁は、サービス価格が上昇してくるまで基本的に金融緩和は維持するだろう。

円安で物価上昇しており、耐えられないといわれるが、耐えられないほど上がっているのは、光熱費と加工食品だ。もともとの価格上昇が大きいので、それらの価格を抑制するほど円高に誘導すれば、今度は、せっかくの脱デフレがとんでしまい、日本経済は奈落の底に落ちるだろう。円高を求める声に乗せられるようでは日銀総裁は務まらない。

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