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495 円の購買力平価

円の購買力平価を見てみよう。

購買力平価説は、モノやサービスの値段が両国で同じになるように為替レートが収斂していくという仮説ですが、収斂する根拠はあまりはっきりしません。そもそも価格差があっても日本の美容師が米国にいる人の髪を切るわけにはいきませんし、米国のコーラが安くても昼休みに東京のオフィスから買いにいく訳にはいきません。モノの値段であれば輸出入によってある程度近い値段に収斂するものの、そもそも生産に占めるモノの割合は長期的に下がっています。また米中の対立に起因して保護主義が台頭しており、自由貿易も逆回転を始めているように見えます。ますますこの仮説の説明力は下がっていくでしょう。

https://note.com/willyoes/n/na71408b9fc21

物価は資本財を使う。輸出入に適応しているからだ。
米国 PPI/Final Demand/Private Capital Equipment
日本 企業物価指数/需要段階別・用途別/国内需要/最終財/資本財 

購買力平価に従うなら、ドル/円は65.5円程度になっているべきだろう。

実際は155円。ドル/円の実勢は理論価格の2.4倍。

円の対ドル実質為替レートは、実勢の円相場÷円の理論価格(購買力平価)だ。
次の通り。実勢の円は理論価格に対して66%も低い。別の言い方をすれば、実勢の円は理路価格の0.44倍だ。
因みに、対ドルでは次のグラフの通りだが、複数通貨を貿易加重したものは実質実効為替レートと呼ばれる。

上のグラフを見ていて気が付いた。円は2012年から急激に弱くなった。
ところが、2015年から2021年前半まで6年もプラザ合意時点での水準でとどまっていた。そして、2021年後半から米国の物価上昇率は急騰し、金利の上昇も始まったのだ。

プラザ合意(1985年9月22日)は、為替相場の調整によって貿易収支の不均衡を是正しようというものだった。合意前1ドル230円台のレートが、1987年末には1ドル120円台のレートで取引されるようになった。
しかし、今回はこの円安でも日本は貿易黒字になっていない。

今の円安につては思うところがあるが、それは改めて。


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