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276 米雇用統計 いい方向に向かってはいるが・・・(2)

FRBの今の金融政策の目標は、「労働市場が幅広く落ち着く⇒賃金上昇抑制⇒インフレ鎮静(2%の物価上昇率)」である。
しかし、「労働市場が幅広く落ち着く」とはどういう状態か、「賃金上昇抑制」とはどういう状態かについては、パウエル議長にはアイデアがないようだ。

例えば、非農業部門雇用者増加数がどこまで低下することを期待するのかもアイデアがない。
過去を見ると、物価上昇率が2%以下にするには、非農業部門雇用者数を3か月で50万人程度以下にする必要があるように見える。月当たりだと16.7万人だ。
7月は、、非農業部門雇用者数は18.7万人増えた。過去3カ月では65.3万人だ。下のグラフの赤線は低下トレンドを続けているのは好ましいが、まだ低下が足りない。
それに、過去は、一度大きく物価上昇率が上昇したのを抑えるには、非農業部門雇用者数の増加数を一度マイナスにする必要があった。それはパウエル議長も指摘しており、今回は違うようにしたいようだが、違うとは言いきれていない。
今のように、いい傾向(雇用者増加数の漸減)が続いているが、まだ十分ではないような状態では、10年金利は3.9~4.1%程度で横ばいで推移するのではないか?上にも下にも行きようがない。

非農業部門雇用者数3カ月増加

非農業部門雇用者数前月比増加

「今回は過去と違う」かもしれないと考える根拠は、企業景況感、つまり、ISM指数(製造業および非製造業)がリセッション水準に低下していることだ。

ISMサービス業価格指数は消費者物価が8月(データが発表されるのは9月13日)にも2%以下になることを示唆している。

但し、コア消費者物価が2%以下にまで低下するのは来年になることが示唆される。

(続く)

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