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273 米格下げと株式相場の下落

格付け機関のフィッチ・レーティングスは2023年8月2日(火)、米国の長期外貨発行体のデフォルト格付けをAAAからAA+に引き下げた。
Fitch Ratings downgraded the United States’ long-term foreign currency issuer default rating to AA+ from AAA
理由は、今後3年間で予想される財政悪化、度重なる債務上限を巡る対立と瀬戸際での解決の繰り返しに体現されてきたガバナンスの劣化 を指摘した。

これを受けて、米国株式だけでなく、世界の株式は下落した。
グローバル景気悪化を懸念するのだろうか、それともこのところ上昇していた反動か、コモディティー価格も下落。
豪ドル、Kiwi、南アランドも下落(別の理由=豪が予想された利上げを見送った余韻=もあるかもしれない)。ユーロ、円に対してはドルはわずかに堅調。
金利は、株の下落を受けて低下したが、その後、強い雇用関連のデータ(ADP、新規失業保険申請件数)が発表になって上昇に転じている。
金価格は目立った動きはない。
結局、株価の下落が目立つだけである

殆どの人は、この格付けの引き下げが何の意味もないことをわかっている。その上で、投資家は株式投資の利益確定のために、これを口実に使った感が強い。

景気を反映する銅価格に比べ、株価は行き過ぎではないかと考える投資家もいる。ただし、銅価格がもたついているのは、中国景気を反映しているだけで、米国経済は堅調と理解している投資家もいる。

投資家は不安を持っている。それは、日本を除いて、世界的に金融引き締めしてきたのに、株のPERが押し上がっていることだ(通常、金融引き締め時にはPERは低下する)。いつかはPERの修正が起きるのではという不安だ。この不安があるので、株価は不安定になる。

これからのことを考える上で、
①米国経済、企業収益は堅調を維持している。ソフトランディングが予想の本線になっている。
しかし、
②これまでの累積した金融引き締めの効果が、ここから一気に出て、景気後退になるのではないかという懸念は残っている。
③FRBが更に金融引き締めを続け、気づいてみたら引き締めしすぎという懸念もないとは言えない。

今は、②、③の懸念を持つ、エコノミスト、ストラテジスト、投資家はどんどん減り、殆どなくなり、FRBも含め①が強いコンセンサスになった感がある。しかし、こういう時が最も危ないと考える投資家もいる。

以下、株価と業績の状況のグラフである。

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