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496 中国による米国債売却

BRICS: China Dumps The Largest US Treasuries in History
中国、1~3月に記録的な米国債売り-ドル資産離れ浮き彫り - Bloomberg

中国は、2024年1-3月に533億ドルという過去最大の驚異的な規模の米国債と政府機関債を売却した。
BRICS諸国は、2022年以降、数十億ドル相当の米国債を売却している。この動きは、BRICSや他の発展途上国が、外貨準備として米国資産を所有することから離れたいと考えていることを示しているかもしれない。

また、中国が米国債を保管していると思われるユーロクリアーがあるベルギーは同期間に220億ドル相当の国債を売却している。
(海外中銀は通常保有米国債をNY連銀で保管しているが、中国はユーロクリアーも利用しているようだ。)

中国は米国債を売却しているが、一方で、外貨準備に金を大量に購入している。中国とBRICSは、2022年、2023年、さらには2024年の金の最大の買い手だ。昨年だけでも、中国は5500億ドル相当の金を数トン購入し購入した。
中国は米ドルの保有から分散させるという明確な意図があるようだ。

米中貿易戦争が再開するにつれ(特にトランプ氏が大統領に選出された場合)、中国による米国債の売却が加速する可能性がある。

上のグラフはフロー(純購入額)だが、ストック(保有残高)の推移は、

総計とは全ての海外国・機関による保有残高
ルクセンブルグも増えている。同国にはセデルがあった気がするが?

まだまだ、中国は米国債の保有残高は多い。もし、米中が衝突したら(あるいは、中国が台湾に武力侵攻した場合など)、米国は、中国が保有する米国債を凍結するかもしれない。これだけの金額になると、そうなると、さすがの中国も立ち行かなくなる。
中国は過激なことはできないだろう。ロシアのように米国資産を売却しつくせば(ロシアはウクライナ侵攻前に米国資産をほぼゼロにしていた)いいが、ロシアは金額がそれほど大きく無かったのでできたが、中国はそうはいかないだろう。
いまは、米国債を売却して金を購入しているかもしれないが、金市場はそこまで大きく無い。米国債を売った資金を持っていくところがないだろう。
因みに、中国は国別では日本に次いで2番目の米国債保有国。

なお、データは次のサイトにあるのだが、以前と違って一目でわかるような表は見当たらない。(あまりに発表データが多いので探しきれない)

Treasury International Capital (TIC) System | U.S. Department of the Treasury

以下、参考

英国が増加しているのは、オイルマネーが英国経由で米国債を買っているからだろう。
ロシアは米国による資産凍結を恐れて米国債の保有を無くした。だから、ウクライナ侵攻もできた。実際、凍結された。
ルクセンブルグの保有が増えているのが謎。欧州で販売される投信があることが理由か? また、証券保管機関のクリアストリーム(旧CEDEL)がルクセンブルグにあるのだろうか?もう一つの証券保管機関ユーロクリアーはベルギーにある。

上記の通りだが、私は、中国が米国債を売却しているのは、ドル離れもあるが、資金繰りの問題が大きのではと思っている。
10年くらい前までは、中国は米国債の保有No1を目指し、米国への影響力を高め、また、中国のプレゼンスを誇示しようとしていたときがあったが、それは維持できなかった。資金繰りの問題(一帯一路で融資する資金が必要だったなど)があったからだ。今は、その融資資金が滞り、本当に資金繰りに詰まっているのだと思う。とはいえ、以前と比べての話。にっちもさっちもいかなくなっているというわけではない。今でも貿易黒字は大きい。

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