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205 米4月消費者物価統計より


次は、日本時5月11日16:00時点での、CME金利先物から計算されたFFレートの予想である。
これでいくと、市場は9月、11月、12月のFOMCでそれぞれ0.25%の利下げがなされることを予想している。
しかし、Fedは、すぐにインフレが沈静化することはなく、年内に利下げはないと言っている。Fedが言っている通りになるなら、今の市場のFFレートの予想は今後修正されることになる。そうすれば、それに伴って、金利、為替、株価も影響を受けるかもしれない。
果たして、今の物価統計は市場の見方を正当化しているのだろうか?

縦軸は今後のFOMC開催日。横軸はその時のFFレートのありそうな水準とその確率。

今回発表された消費者物価統計かを市場は好意的にとらえたが、その理由を見ていく。
その前に、消費者物価前年同期比上昇率の項目別寄与度を見ると、物価を押し上げているのはシェルター(殆どは家賃)シェルターを除いたサービスである。この2項目の上昇率が低下すれば、消費者物価も沈静化すると思われる。

(1)シェルター(殆どは家賃)
今回(4月データ)家賃の前月比上昇率はかなり低下した。市場はこれを好感した。しかし、これが12カ月続いたとしても6%以上の上昇率になる。2%には程遠い。とりあえず、好感はしたが、どうなるやらわからない。

しかし、これに関してはパウエル議長は言うまでもないことと考えている。言うことは、家賃の低下は続くが、市場が考えているほど早くないということだ。
次の図のように、既に不動産価格は低下(前年比上昇率も低下)しており、これを追って家賃の上昇率も低下すると考えられている。

(2)シェルターを除いたサービス(スーパーコアインフレ率)
労働省の統計にはないので、次は、私が簡易的に計算したものである。低下はしてきているが、まだ先は長そうである。

この図の内訳は前回の記事を参照

(3)食料・エネルギー・住居・中古車を除く消費者物価
最初のグラフで、食料・エネルギー・住居(シェルター)を除いたものを考えよう。実は、その上昇率をかなり押し上げているのは中古車である。中古車価格の動きはイレギュラーなので、中古車も除いてみる。
すると、食料・エネルギー・住居・中古車を除く消費者物価の前月比上昇率(年率)は何と1.896%と2%以下である。これが続くとは思えないが、とりあえずはgood newsである。

以上は、かなり好意的に4月データをみた。そういう見方をすれば、家賃の上昇率さえ急速に低下すれば、案外早く物価は沈静化するかもしれない。

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