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経済効率の良い言葉


私は、同じ短い文章でも、行間に物語が広がっているものとそうでもないものがあるなあと思っている。

その違いを説明するの難しいなって思ってたけど、バラエティ番組で見た俳句の夏井いつき先生の「経済効率の良い言葉」という言葉を思い出して、しっくりきた。

前者には経済効率の良い言葉が含まれているから、明記されていなくてもはっきり情景が浮かんだり、脳内で保管できたり、想像を掻き立てる余地があるのではないかなって。


↓「経済効率の良い言葉」については、この方の説明がわかりやすかった。


読み手が「深い想像をして楽しむ」のが仕事であるならば、俳人は「風景を言葉にして削いで整える」のが仕事だと思います。

そんななか、1つの単語だけでだいたいの人物像、年齢、時間、状況などを読み手がすぐに想像できる言葉もあります。

受験生」であれば、15歳、18歳、ひょっとしたら幼稚園受験や小学校受験を挑む若い男女。
受験生必須の「赤本」×「夜を表現する語句(月・星・闇・深夜等)」であれば、「夜に一生懸命に勉強する受験生」とイメージしやすいでしょう。

最終電車」であれば、深夜間際の仕事帰りのサラリーマンやOLを想像できます。朝と比べればヨレヨレになってしまったッスーツを想像することも出来ます。想像力豊かな人では、「あぁ、乗車客はきっと疲労困憊やろなぁ・・・」と感じる人がいるでしょう。

」と「古民家」だと、「古民家」のほうが長い歴史を感じさせるのではないでしょうか?ひょっとしたら、その「古民家」は江戸時代のものかもしれません。「アパート」だと1人暮らしを想像できます。春の季語を取り入れば新生活や新社会人を想像するのは容易なこと。
夏井先生はこれらを「経済効率の良い言葉」と表現しています。

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程度によっては読み手の深読みのしすぎということもあるだろうけど、行間を感じられる言葉がとっかかりとなって想像が広がっていくのは個人的に楽しい。

文字数制限のない分野だと、齟齬のないようにわかりやすく説明するのも、余計な部分を書かずに想像の余地を残すのも自由で、それぞれにメリット・デメリットはあると思うし、読み手もどちらを好むかはわかれそうな気はする。






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