ミタサレナイトガールという曲と夢の中にいる女オタク

 キャッチーな文を書く才能は私にはない。

 ただ願うのは「ミタサレナイトガールを聞いてくれ」ということ。
 バズったツイートにぶら下がってるのを100万回は見たことがありそうなオタクの定型文だ。

 ミタサレナイトガールという曲はにじさんじ所属の29歳バーチャルシンガーソングライター夢追翔が作詞作曲、歌唱した曲である。(2022年2月現在)
 彼の1st Full Album「絵空事に生きる」(デジタルリリース中! https://linkco.re/bQ4fECN6 ←各配信サイト みんな聞こう!)にのみ収録されている。
 彼はバーチャルシンガーソングライターであると同時に配信者なので、普段はゲームをしたり雑談をしたり歌ってみたを投稿したりしている。

↓↓↓↓「絵空事に生きる」の視聴ページ↓↓↓↓

↓↓↓↓夢追翔のチャンネル↓↓↓↓


 興味があれば覗いてほしい。私がこれから綴ることは彼を見てきて感じたこと、思ったことだ。
 なおこの文章は全ての尻に「個人の主観です」がつく。オタクの総意のなんて主語を大きくして語る気は毛頭ないし、夢追翔に気が狂っている自覚はあるものの、私は全てのコンテンツでの彼を追えてるわけではない。
 というかこの文はミタサレナイトガールは良いぞ、という布教にかこつけて感想を共有したくても友人に夢追推しがおらず思いのやり場に困ったオタクの仰々しい感想文だ。
 オタクは装丁とかそういうガワが凝ってるの好きだろ。そういうことだよ。(個人の主観です)


 さて、本題である。
 ミタサレナイトガールという曲は、デジタルリリースされている彼のフルアルバムにしか今のところ収録されていない。つまり、夢追翔の曲に金を払って聞きたい人が能動的に聞く曲だ。
 まどろっこしい言い方を抜きにすると、夢追翔のオタクとファンしか聞けねぇということである。
 彼は自分の「市場価値」「ブランディング」というものに対して冷静だ。普段の配信からそれは滲み出ている。その彼が「自分の曲に金を払って聞く人」をメインターゲットとして投げてきた曲と考えて良い。良いはずだ多分(最初は同様にフルアルバム収録のみであった「オリジナリティ欠乏症」は後からMV付きで公開されているので、ミタサレもそうなる可能性がある。というかミタサレを布教をしたくて発狂してこんなnote書いてるのでMVを切に待っている)。

オリジナリティ欠乏症もとんでもなく良い曲なので聞いてくれ(脱線)


 本筋に戻る。
 彼の曲はメタ視点が多い。先に挙げたオリジナリティ欠乏症はもちろん、デビュー曲の「死にたくないから生きている」も自分を冷たい視線で見た自嘲的な要素を持つ曲だ。自分をあえて冷たい第三者の視点で見つめ、嘲笑い、その上でバーチャルで歌い続けることを選んだ自分の選択を叫ぶように歌っている。
 その中で異彩を放つのは「大嫌いだ」と「ミタサレナイトガール」だ。この二つはいわゆる「悲恋ソング」と言われるものだと思う(筆者に音楽知識は全然ない、分類もなんなら知らない)。
 自分自身を皮肉るような彼お得意の手法は当然のように盛り込まれている。しかしながら他の曲が明確に「夢追翔の曲」であるのに対し、これらの曲は自己肯定感の低さから「愛情」というわかりやすい評価を求めようとするどこにでもいそうな女の子の歌に聞こえる。
 また歌い方も意識的に他の系統の曲とは違う気がする(100%の主観です)。叫ぶような、自分はここにいるぞと主張するような歌い方ではなく、悲しみと頭の中での「諦め」と心の中での「未練」の入り混じる歌い方。
 特にミタサレナイトガールの歌い方は曲調、歌詞が相まって素晴らしい。少し甲高い声を出して男性が歌うことで引き攣るようにも聞こえる(それでいて不快でないのは彼の技量の賜物であろう)それは「思い通りにならない物事に惨めな気持ちを抱く誰かの悲鳴」そのものだ。
 触れるのも憚られそうな精神的にか細った存在のヒステリックな歌は、普段の彼の楽曲からはイメージしにくい。曲そのものの良さに、普段の彼が作り出す世界観との幾許かのギャップ(けれど親和性はある)が加わることで、より「エモ」な曲になっている。
 一つのポイントは先述の通りこの曲が「夢追翔の曲に金を払って聞く人」たちがメインで聞くということだ。つらつらと書きはしたが、夢追のオタク、ファンであればあるほどにこの曲は「夢追らしくて、夢追らしくない」と感じるはずなのだ(個人の主観です*強調)
 彼の中にあるジリジリとした情熱。時たま見せる独特の怪しさ入り混じる危うさ。意識しているのいないのか分かりづらい部分で彼が滲ませる一つ一つのそれら。
 承認欲求を持て余し、愛情と欲情を履き違え、心も体も自分で傷つけていく。ミタサレナイトガールという曲と、夢追翔の「ゆらぎ」から感じる不安定さは非常に近い。
 繰り返しになるが、彼の普段の選曲、作曲傾向を知っていれば薄暗闇の出口を見つけられずに彷徨うような歌はそう多くはないとわかる。
 つまり、オタクたちは夢追のキャラクター性として存在していても、創作物として降りてくるものにはないかもしれないと思っていた部分を突き付けられたのだ。こんなの気が狂わない方がおかしい。(個人の主観です)
 
色々書いたけれど、結局のところミタサレナイトガールという曲は夢追のオタクからすれば「需要と供給の一致」であり、夢追のオタクでない人からすれば「ギャップを感じさせるエモ曲」ということだ。知ってた?人間はね、予想外のことされちゃうと脳がバグるんだよ!!!!!!
 良い曲なので聞いてほしい。「ミタサレナイトガール」各デジタル配信サイトで配信中です。

↓↓↓↓配信サイトURL↓↓↓↓








 この記事のタイトルは「ミタサレナイトガールという曲と夢の中にいる女オタク」である。ここからはある意味この記事を書いた本題であると同時に盛大なただの日記だ。
 主目的の9割9分9厘は「ミタサレナイトガールを布教する」なので、夢追翔の曲に興味を抱いてくれたならこれ以降は別に読む必要なんてない。
 こんなことに時間使うなら夢追の配信見てくれ。
 


 ミタサレナイトガールのイントロを聴いた時、キラキラと光が見えた。夜の美しくて悲しい曲は私に一つの記憶を思い起こさせた。
 気分が沈んで、何もしたくなくて、死んでしまいたくて。昼夜が逆転してしまって、夜なのに眠れなくて。
 ほんの思いつきだった、昼間もどうせ何もする気が起きないんだしと一度お風呂に入った後の顔に化粧をして、自分が持ってる中で一番お気に入りのワンピースを着た。
 夜の繁華街を歩いた。知らない怖い人がいっぱいいた。キラキラとアーケードの電灯が輝いて夜なのに明るかった。
 帰ってきてまた私はどうせ生きる価値なんてないんだと泣いた。別に外出が嫌だったんじゃない。いつでも死にたかっただけなので。
 陰鬱で感情がごちゃ混ぜの美しかったあの夜を私は何年も経った今。この曲をきっかけにようやく思い出した。
 苦しんでた時間、何にもならなかった時間。無駄でしかないそれらを夢追翔とミタサレナイトガールという曲は肯定してくれた。
 文にすると重苦しいけれど、これはきっと他のものでも良かった簡単なことで、でもそれがすごく嬉しかった。
 こんなんすべて運とタイミングだ。その上で、私はこの曲に出会えて良かったと思ってる。
 
 ありがとう。

 メンヘラ女オタクより。



20240303追記
 ただのキモいオタクの吐き出しを曲解されるのが想像以上に心臓に悪く、記事を引っ込めていたのですが…。

夢まつりみんな見た⁉︎

↓↓↓20240311までネチケは買える。みんな、見よう!

https://dwango-ticket.jp/project/P6OBhGjHOp

 私は見た。そして泣いた。ありがとう。
 ミタサレナイトガールを夢追がこれから歌唱すると気付いた瞬間、頭が真っ白になり浮遊感を覚えたせいで直前のトークとかの記憶が朧げだが、とにかくパフォーマンス中のことだけは鮮明に記憶している。
 私は咄嗟に口に手を当てたような気がする。隣の席のお姉さんが息を呑んだ音、「嘘…!」という潜められたつぶやきが近くの席から聞こえた気もする。
 ずっとずっと聴きたかった。難しい曲というのは理解していたし、生歌唱である以上、必ずしも期待通りのものが出てくるわけではないとこんな呪物みたいなnoteを書いたオタクとして覚悟を決めていた。オタクはさ、勝手に思いを膨らました癖にそれに推しが沿ってくれないからなんて幼稚な理由でキレる権利なんてないんだよ(これは常日頃の自戒であって、特に誰かに向けたものでは一切ありません)
 けれど、夢追は私のめんどくさくねじ曲がった思いを超えてきてくれた。曲が始まった瞬間に彼は気怠さと艶めきを孕んだ空気を纏わせ私たちを圧倒した。
 後続のトーク系のパートをご覧になった方はわかると思うのだが、彼はオタクたちと話す時、あくまでちょっとひねた、でも愛嬌のある好青年として私たちに接した。
 なんなら事前番組のお料理番組では全然なんかこう…さ…違った…じゃん⁉︎
↓公式くんのありがたいURL付きポスト
https://x.com/nijisanji_app/status/1758702866615951477?s=46&t=U5CsOiIVeSCfULsr11kucg
 私は酷く混乱した。どっち…どっちが…本物ですか⁉︎これでもそれなりの期間夢追のオタクをしてきたつもりだったが、あっという間に再び私は彼の深淵に叩き落とされたのである。
 帰路、余韻に脳を痺れさせながら入谷口に向けて薄暗くちょっと怖い上野の裏路地を歩く羽目になった。何がゆめかわだ。
 こうしてる今も、ふざけ倒した歌詞の繋ぎや設問を出してオタクたちに野次を飛ばされていた彼と、黒を背景にしっとりと情念を歌い上げた彼が重ならずに、脳内でぼんやりとした像だけが結ばれている。
 ありがとう、また新鮮な狂いを届けてくれて。
 これからも推します。

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