【帝都救済V】 kokeshi / 中学生棺桶 at 新宿ANTIKNOCK

kokeshiと中学生棺桶を見てきました〜
昨今話題のkokeshi。早いうちに見ておきたいなあと思っていたので今回参加を決意。
会場は新宿ANTIKNOCK。そして今回珍しい昼公演ということで、開場は11:00、開演は11:30というスケジュールでした。
自分が会場に着いたのは11時過ぎ。新宿ANTIKNOCK、なんだかんだ初めて来たのですが、階段を降りてすぐ喫煙所とトイレとバーカウンターが密集しているスペースがあり、そこを抜けるとフロアというシンプルな構造。ハードコア/メタルコア御用達の会場なのにフロアに段差があるのには驚きました。
自分がフロアに入った時点では3~4割程度の埋まり具合でしたが、開演時には8割ほど、kokeshiスタート時には9割ほど埋まっていました。

中学生棺桶

トップバッターは中学生棺桶!!!
今回初めて名前を知ったのですが、事前に調べてみると、どうやらパンクバンドらしいと。
しかし、音源を聴いてみるとパンク感はあまりなく、むしろBlack Sabbathのようなドロドロドゥームサウンドがメイン。でもリズムは割とシンプルな荒々しさを感じるもので、そういうところはパンクなのかなあといった感じ。
そんなこのバンドのライブは、まず独特な楽器の配置が露わになるところから始まりました。下手からベース、ギター2本という竿隊の配置は一般的なものと同じでしたが、上手になんとドラム。そしてボーカルはステージの1番後ろで歌っているというもの。
そして定刻通りにライブはスタート。
音源のイメージ通りのアングラ感溢れる、武骨なステージでした。MCもあまりなく、ひたすらドゥーミーなリフを叩きつけるスタイル。アナログなディストーションサウンドでドロドロと展開するギターリフ、低音がブーストされたベース、それに加えて唸ったり早口で喋ったりするような独特のテンポでメロディーを紡ぐボーカル、となかなかの個性が炸裂。特に、ベースの低音は音源よりも深く響いていて、不可解かつ面妖な雰囲気の演出に一役買っていました。
一方、それでも完全にドゥームサウンドかというとそういうわけではなく、メリハリのあるドラミングがノリやすいリズムを生み出していました。特に、ライブ中ちょこちょこボーカルがドラムの前に置いてあるスネア(多分)を叩きに来ていて、その際の音の厚みはSlipknotのパーカッションのように強烈でした。
このようにパフォーマンス中は実に怪しい雰囲気を纏っていましたが、MCでは少し軟化。昼間にライブをするのは初めてだとか、ベースの人のサングラスについての話だとか、割と世俗的な話が中心でした。曲中では近寄り難さがある分、MCで人間味が出るのはいいですね。その他にも物販はないとか、今度新譜を出すからそのチラシを持っていってくれだとか、バンド自体の話も。全体を通して、フランクに投げかけているような感覚で話しているのが印象的でした。誰に向けて喋ってんの、と思いたくなるようなMCをするバンドもいる中で、このバンドはちゃんとこの日新宿ANTIKNOCKに来ている人に向けて話している、ということがよく伝わりました。これがこの界隈の距離感なのか、または熟練の余裕なのかはわかりませんが。
約45分くらいのライブでした。アンダーグラウンドらしさ溢れる危ない怪しさと、インディーズらしい距離の近さが混合した興味深い空間でした。

kokeshi

青っぽい照明に照らされたメンバーがステージに現れ、一言も発することなくスタート。
そこからMCは一切無く、淡々と曲をプレイするシンプルな進行を貫いていました。
さて、まず音源を聴いた人であれば、亡無(vo)のスキルの高さに驚いたと思うのですが、それが現地でも十分に発揮されていました。
グロウルからピッグスクイール(的なスクリーム)まで、多様なスクリームを安定して出せていたし、またその迫力も申し分ないものでした。マイクの距離をかなり離して歌うシーンもあり、それでも全く見劣りしなかったので、声量もかなりあるっぽいです。
フロントマン(?)としての存在感も抜群。前髪で顔の大部分を隠し、虚に立つ姿からは人間味が感じられず、明らかに”違う”存在でした。一方、曲中では割とアグレッシブに動きつつ歌っていて、その姿からは感情が溢れていて、思わずフロアのこちら側もノせられてしまう。この静と動の二面性は、当人も影響下にあることを公言している京のパフォーマンスに近しいものがありましたね。
そして、楽器隊はどうかというと、これが実に堅実で巧みなプレイをしていました。ほぼ音源そのままの重厚感と悲しげかつ美しい雰囲気が再現されており、遊びは全くなかったように感じました。亡無と同じように、楽器隊もアグレッシブに動きながらプレイしていたのもよかったですね。音源を聴いていた際に、冷ややかで絶望感溢れる世界観ながら、メタルコア/デスコアの影響が溢れているなあとは思っていましたが、こんなところでも再確認できました。でもそれを見ているとこっちも動きたくなっちゃうんだよなあ…。
しかし、この日は当たり前のように彼らのサウンドを浴びていましたが、いざ落ち着いて考えると、メタルコア/デスコアのパワーとブラックメタル/ゴシックメタル/DIR EN GREYからの影響を感じるアヴァンギャルドかつ冷たい世界観の融合、というのはありそうでなかったスタイルだなあと思います。多分一回聴いただけではヘヴィネスとスクリームくらいの情報しか入ってこないと思いますが、聴き込むことで個々の音の繋がりに驚かされるはず。基調となっているのがハードコアを思わせるシンプルなビートなのに、そこに暗いアルペジオが噛んでくることで一気に不穏になったり、そこからデスコア的ダイナミズムになだれ込んだり、と個々の曲の中に詰め込まれている情報量が多いんですよね。しかし、あくまでも恣意性を感じさせない、ナチュラルな仕上がりになっているところはセンスが生きているのかなあと思います。
今後もしっかり追っていきたいバンドです。

以上、【帝都救済V】kokeshi / 中学生棺桶 の感想でした。
このレポを書きながら延々kokeshiを聴いていたら、だんだん馴染んできてさらに染みるようになってきました。このじわじわ効いてくる感じ、メタルで最高〜
次のライブは11/3のNEX FEST!!!!!

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