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子どもたちの生きる環境|ケア実践場面分析演習の実践から

2021年の実習先で各チームが感じた事、伝えたい事をまとめていますーム

児童相談所チーム

◎児童相談所の職員へのサポートが、子どもへの手厚いサポートに繋がるのではないか
 守られるべき子どもたちや、ケアすべき保護者の方にはもちろん目を向け続けなくてはいけないのですが、そこを支える職員の方は誰がサポートするのだろう。誰に支えられていくのだろう。ということは、やはりこれから福祉について考え学んでいくうえで、きちんと状況を知り伝えていかなくてはいけないことなのではないかと思いました。
 実習で、一瞬一瞬冷静に間違わない判断を求められる職員さんはいつも緊張状態におかれていると思いました。かつ、普段から大きく感謝されたりすることは少ないのではないかと推察します。しかし、事件があった時は大きく責任を問われ、責められてしまう現状です。
 職員さんは普段から、様々な事情から顔や本名を出すことを控えています。職員さんたちの生きづらさ、働きづらさ、特殊な仕事内容などが社会にもっと知られるべきではと思った次第です。
 サポートする人たちがつぶれてしまっては、きっと社会が望むような子どもたちに対する本当の意味での手厚いサポートは、いつまでたってもできないのだと思いました。

◎〈いま、ここ〉に、子どもたちと一緒に居る意味
・「見ててね」「みてるよ」の心地よい関係が、子どもたちの生きる環境に輝きをあたえることを学びました。
・子どもたちは、〈いま、ここ〉を楽しみたいという気持ちで過ごしていること、大人はずいぶんと〈さき〉を見ていることに気づきました。

川瀬信一さんチーム

◎大人である事、大人として子供に接する事について
・信頼できる大人と巡り会うことの難しさ。
 目の前の子どもと地続きだと忘れない大人でありたい。
・大人のスピードで選択を迫られる子どもの現状。
 立ち止まる余白がもっと必要。
・シンプルなこと、ただ、ゆっくりじっくり聞いてほしい。
・子どもの安心を守るために、私たちはシンプルなことに取り組み続けなければならない。

◎自分自身の「わからない」を大切に目の前の事を見る
・自分の気持ちは、自分だけでは気付けないこともある。
 人を通して初めて、自分の輪郭が出てくる瞬間が、自分や他者を知ることだと思う。
・表に出てこないからといって、ないということには、ならない。
・「わからない」を大事にして、わかったつもりには、ならず、色メガネをかけていないか、自問自答し続けて、目の前のことを、ちゃんと見るということ。

子山ホームチーム

◎初めてでも「ただいま」と言いたくなる家

◎楽しんで表現する姿に感動

◎幸福な出会い 共同生活の可能性
・子山ホームのオープンな環境で子どもが身につけている社会性や生きる力が素晴らしかった。
・NO を伝えられる事を大切にしていた。
 ・9棟の家毎に、自由な裁量があった。
・ここは安全な場所。
・園長先生をパパと呼ぶ大家族。
・みんな親と暮らしたい。
・辛い過去を持っているけれど、とにかく元気

◎共同生活やアートの可能性を実感
・子ども達には工夫する力もあった。芸術には正解や方法が無数にあることを体感して、自分の好きな世界を伸び伸びと謳歌してほしいと感じた)

◎ “大人に従わない”本能:抵抗の方法 
 たとえば何か作る方法を指示すると瞬時に別なことをやったりアレンジする子が何人かいました。身につけた本能として大人に従わない、というのがあるかなと。ああこれは学校や会社では生きにくいかもと共感しました。
ジャズやボサノバはドミソを弾かずにドミソを感じさせる、抵抗の方法でもあると思っていて、歴史や方法を身につけると戦いやすくなるかなと観じました。

◎人恋しさについて
私だけを僕だけを見てほしいというどうしようもない希求

◎ カオスについて
毛糸屋はバタバタで散らかり放題の場でリラックスしている子ども

◎日本の福祉の良い点
“僕は、行く前は養護施設の子どもはかわいそうな子どもというイメージがありましたが、実際会ってみて、一度もかわいそうとは思いませんでした。もちろん100点満点では無いけれど、池口先生はじめ、児童相談所の職員の方など児童福祉に関わる方々の連携で、子山ホームにいる子は幸せに暮らせていると感じました。それは火垂の墓とかで見る戦争孤児などの時代と比べたら、格段の進歩で日本の福祉の良い点が見れたと思いました”

◎優れた日本の福祉の網からこぼれる子ども達
虐待死や家出少女の人身売買など、この福祉や支援を受けれていない子どもたち
支援の時限性→卒園後の就労支援の必要性

ひまわり会チーム(訪問)

◎「大切な人と共にいるために大切な何か」が見みえてくる
お互いを「ひとりの人間」として尊重し、お互いの声を聞き、共に暮らす里親・里子の姿から、「大切な人と共にいるために大切な何か」が見えてきます。
血縁がなくても、いつも側にいなくても、支え合うことができる。そんなことが伝わって、自分の周りの人たちとの関係を大切にしよう、と感じてもらえたら嬉しいです。

◎気持ちを伝え合い、互いを思い合う、その営みこそ、子どもたちが生きる環境には大切
好きなものを、言っていい。
好きなことを、やっていい。

ひとりの人として尊重される環境だからこそ、
自分の個性をのびのびと発揮できる。
相手の思いを受けとめて行動できる。

里親家庭の取材をとおして、人と人として気持ちを伝え合い、互いを思い合う、丁寧な日々の積み重ね、その営みこそ、子どもたちが生きる環境には大切なのだと感じました。

ひまわり会チーム(オンライン)

◎それぞれの子どもたちに合った、幸せな家族のかたちがある
今回、DOOR ケア実践場面分析演習の一環として、ひまわり会の方々に協力していただき、家族相撲の動画を撮らせていただきました。
打ち合わせを重ねる中で、子どもたちにとって、それぞれ幸せな家族のかたちがあることを知り、家族のあり方について考える機会をいただきました。
私たちが行ったことは、小さな一歩かもしれませんが、里親制度のことを知る人が増えて、養育里親家族はもちろん、養子縁組里親家族、児童養護施設で暮らす子どもたちや家庭で暮らす子どもたちなど、すべての子どもたちが少しでも幸せに過ごせるように願っています。
貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。

みねやま福祉会チーム

◎子供の虐待の向こうに見えて来るもの
・世の中の現象はゲームのように簡単に善悪はつけられないこと。
・虐待してしまう親こそケアすべき対象であるということ。
・子供の支援者の我慢強さ、信じぬく力のすごさ。
・当たり前の暮らしそのものが当たり前ではなく豊かであるということ。

◎みねやま福祉会の櫛田施設長の柔軟な考え方と実行力、器の大きさ
・被虐待児について
被虐待児の中には、機能不全家族の中で育ったことによる愛着障害を持つ子供が多い。施設での回復過程において「行動化」と呼ばれる変化が出てくるが、徹底的に子供の気持ちに寄り添い、信頼関係を築き怒りをとことん聞いてあげることが必要である。
・子供との接し方
子供の自立を促す声掛けとして、「どうしたの?」「何がしたいの?」「どうしてほしいの?」と聞く。そうやって子供に自分の状態を把握させる。甘やかすことと怒らないことの違いは、ダメなことはダメだと伝えること。親(大人)は子供の「安心の基地」「安全な避難所」になる必要がある。
・虐待する親について
虐待に至る前にどれだけ親と早くつながれるか、どう親と対等な関係を作っていくかが課題。虐待している親もまた虐待を受け、愛着形成に問題を持っているケースが多い。あなたを責めてはいませんよというメッセージを送る事が重要。
・体罰について
人が不快に思うことはすべて体罰である。大人の暴力による支配は子供の人権を侵害する。また、大人が暴力で解決しようとすると、子供間でも暴力が起きやすい。子どもを守る大人としての責任を果たそう。
・小舎制へのこだわり
みねやま福祉会の職員たちは、「もう大舎制の頃には戻りたくない」と言うのだそうだ。それは、子供にとってはやはり小舎制のほうがいいと実感しているからだ。仕事量は増えたが子供たちのために、やりがいを持って働いている。その証拠に辞める人は少なく、求人もお断りする人がいるくらい応募があるのだそう。
・建物へのこだわり
『限りなく施設に近い家』はおもしろくない。『普通の家』を作りたい!
そんな思いで、施設施工例が豊富な業者ではなく「施設を作ったことのない」会社に建築を依頼。そうやって建てたのが、「てらす峰夢」である。
設計段階から意図的に子供や職員の動線に配慮した空間づくりがなされていて、家具一つとっても子供のさまざまな場面に対応できるよう工夫が凝らされている。


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