ミュージカル『ウェイトレス』感想

去年の龍馬のくつ以来、約1年ぶりにして2021年初宮野現場でした。
1年なんてあっという間だと思っていたけれど、長い時間だった。
行けるけど行かないという選択肢を今まで考えたこともなかった私にとってこの異常事態がいつのまにやら当たり前になっていたし、慣れてしまえば現場に行かなくても他人事と切り離してしまえるものだとも気づいてしまった。
強制的にリセットされてしまった。

現状、劇場に行くことは今まで以上に特別な選択になった。
そんななか見たウェイトレスは正直私にとって、素敵!と言えるものではなかった。
セットは凝っていたし、生演奏だし、本格的なミュージカルだったし、舞台上で本当にパイ生地をこねたり、卵を割ったり・・・なんて斬新な演出はなかなかお目にかかれないことだと思うし、それ以上にこのコロナ禍において公演はもちろん、稽古も大変苦労されたことと察する。
しかしそれはさておいて、純粋に客として受け取り手として考えて今見たいものか?と言われると、私は頷けなかった。
平和とは言えないこの状況下で見るには、主人公の生い立ちや環境、立ち向かっていかなければならないものに共感することはしんどかった。

この状況下、今の現状に精一杯の方たちはたくさんいると思う。
不安はあるけれど、それでも舞台を見に行くことができる状況である私ですが、舞台で共感したりすることって贅沢なことだったんだなあと思い知らされた。

まず内容に引くものがたくさんあるし(内容知らずにポスター情報だけで見たら驚きそう)平和で不安がない、豊かな環境でないと下ネタジョークやフィクションを見過ごして曖昧に笑う元気がないっていうか。
あ、しんどいな・・・って思ってしまったな。私は。
たぶん、コロナがなくても私はこの手の下ネタを愉快に思えるタイプじゃないので、共感したくないなあと思ってただろうけど。
自分の余裕の無さを感じさせられたなあ。
去年のカチカチ山を思い出したりもした(わざわざなぜあの話をやったのか???と思ったなあ)。


以下、ウェイトレスについて個人的な感想。ざっくばらんに率直な感想です。

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