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相談事例 建物賃貸借契約と保証金の取扱い

マガジンの分類 事務所通信 : あなたの街の税理士が解りやすく解説します



個人経営者(山田さん): 「こんにちは、先生。今日はちょっと相談があります。最近、私が所有するビルの一部を新しいテナントに貸すことになったんですが、その際に保証金を受け取りました。これって、どうやって税務上処理すればいいんでしょうか?」

税理士(佐藤先生): 「こんにちは、山田さん。保証金の取扱いですね、それは重要なポイントです。まず、保証金の基本的な考え方から説明しましょうか。」

山田さん: 「お願いします!」

佐藤先生: 「保証金というのは、賃借人が賃貸人に預けるお金で、基本的には無利子で預かることが多いです。しかし、税務上はこの無利子で預かるという点がポイントになります。」

山田さん: 「どういうことですか?」

佐藤先生: 「所得税法では、金銭以外の経済的利益も収入として認識することが求められています。つまり、無利子でお金を預かる場合、その預かったお金に通常かかるはずの利息も経済的利益として見なされるんです。」

山田さん: 「ということは、実際に利息を受け取っていなくても、その分の経済的利益を収入として計上しなければならないということですか?」

佐藤先生: 「その通りです。そして、その計算方法ですが、適正な利率を使って計算します。例えば、令和5年の利率は0.02%とされていますので、預かった保証金にこの利率を掛けて、その金額を収入として計上する必要があります。」

山田さん: 「なるほど。具体的にはどのように処理すればいいんでしょうか?」

佐藤先生: 「まず、保証金がどのように運用されているかによって処理が異なります。保証金が業務に係る資金として使われている場合、つまりビジネスの運転資金として使っている場合や、業務用の資産の取得資金に充てられている場合には、保証金の利息相当額を収入として計上し、同額を必要経費として計上します。」

山田さん: 「運転資金として使っている場合ですね。じゃあ、もしその保証金を預貯金や公社債などの金融資産に運用している場合は?」

佐藤先生: 「その場合、保証金の運用による利子所得などが直接課税対象になりますので、保証金の経済的利益を計算する必要はありません。運用から得た所得がそのまま課税対象になります。」

山田さん: 「なるほど。他に注意する点はありますか?」

佐藤先生: 「はい、もし保証金が上記のいずれにも該当しない場合、つまり特定の運用をしていない場合には、適正な利率により計算した利息相当額を、保証金を返還するまでの各年分の不動産所得等の収入金額に算入する必要があります。」

山田さん: 「よくわかりました。適正な利率は毎年変わるんですよね?」

佐藤先生: 「そうですね。例えば、令和2年は0.007%、令和3年は0.002%、令和4年は0.003%といった具合に、その年ごとに設定されています。この利率を使って計算します。」

山田さん: 「わかりました。先生、今日はありがとうございました。具体的な処理方法が分かって助かりました。」

佐藤先生: 「どういたしまして。何か他に質問があれば、いつでもご相談ください。賃貸経営は細かい税務処理が多いので、しっかり対応していきましょう。」


皆さん、いかがでしたでしょうか?賃貸経営をされている方にはとても重要なポイントですね。税務処理をしっかり行うことで、後々のトラブルを避けることができます。ぜひ参考にしてみてください!

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