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中小企業経営者のための利益と資金の乖離について

マガジンの分類 中小企業社長のための羅針盤!成功への経営術

中小企業の経営者にとって、利益が上がっているにもかかわらず資金が不足している状況に直面することは珍しくありません。この現象の背景には、利益と資金が必ずしもイコールでない理由があります。この記事では、その理由を5つのポイントに分けて説明します。これらを理解することで、資金計画を効果的に立てるための基礎知識を身につけましょう。

1. 利益の増加により資金は増加する

まず、利益の増加は資金の増加に直結します。売上が増え、費用を差し引いた後に残る利益は企業の資金を増やします。しかし、利益がすぐに現金化されるわけではないため、利益と資金の増加が必ずしも同時に起こるわけではありません。

2. 減価償却などの非資金性の経費は資金を増やす

減価償却費は、会計上の費用として計上されますが、実際に現金が出て行くわけではありません。例えば、設備投資を行った場合、その費用は減価償却として数年間にわたって計上されます。このため、減価償却費は会計上の利益を減少させますが、現金の流出を伴わないため、実際の資金には影響を与えません。むしろ、減価償却費があることで税引前利益が圧縮され、結果として支払う税金が減り、資金が増加することになります。

3. 売掛金の増加は資金を減少させる

売掛金とは、商品の販売やサービスの提供に対して、まだ入金されていない代金のことです。売掛金が増加すると、利益は計上されますが、現金はまだ手元にありません。そのため、売掛金の増加は一時的に資金を減少させる要因となります。特に、売掛金の回収が遅れると、資金繰りが厳しくなることがあります。

4. 在庫の増加は資金を減少させる

在庫もまた、資金を一時的に拘束する要因となります。在庫が増加すると、それだけ資金が商品や原材料の形で固定されてしまいます。売上に結びつかない在庫の増加は、資金の流動性を低下させ、資金繰りを圧迫することがあります。在庫管理の効率化は、資金繰りの改善に直結する重要なポイントです。

5. 買掛金の増加は資金を増加させる

買掛金は、仕入れや外注先への支払いを後日行うために発生する未払金のことです。買掛金が増加すると、仕入れや外注の費用を支払わずに済むため、手元の資金は増加します。つまり、支払いを後にすることで一時的に資金を確保することができます。ただし、買掛金が増えすぎると支払い期限が重なり、後に資金繰りが厳しくなる可能性があるため、バランスが重要です。

図解:利益と資金の乖離の要因

以下の図は、利益と資金の関係を視覚的に示しています。


正確な資金計画の立て方

正確な資金計画を立てるためには、月次決算をしっかりと行うことが不可欠です。月次決算により、企業の資金の流れを正確に把握し、適切なタイミングでの資金調達や支出計画を立てることができます。さらに、税理士などの専門家のサポートを受けることで、より精度の高い資金計画を立てることが可能です。

高木会計事務所では、中小企業の皆様の経営をサポートするために、月次決算の導入支援や資金計画の作成支援を行っています。経営者が安心して事業に専念できるよう、資金繰りの改善や適切な財務戦略の策定をお手伝いします。ご興味のある方は、ぜひ高木会計事務所までご相談ください。

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