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税理士相談会 雑収入の取り扱い

マガジンの分類 事務所通信 : あなたの街の税理士が解りやすく解説します

はじめに

経理担当者と税理士が企業の経営において直面する問題について、実務的なアドバイスを相談形式でお届けします。今回は、よくある5つのケーススタディを取り上げ、それぞれの問題解決のポイントについて詳しく解説します。

ケース1: 保険の配当金

経理担当者

「配当金が支払われた積立型の生命保険がありますが、この配当金はどのように処理すればいいでしょうか?」

税理士

「配当金は事業年度中の雑収入として計上する必要があります。最近は、保険の配当金の計上を容易にするためのWebサービスやアプリも利用されています。これらのツールを活用し、配当金の受領時に正確に計上することをお勧めします。」

経理担当者

「具体的にはどのような点に注意すれば良いですか?」

税理士

「再投資されるタイプの保険の場合、その配当金は発生した年度に雑収入として計上することが重要です。受領した配当金の記録をしっかりと確認し、漏れがないようにしましょう。」

ケース2: 助成金や給付金等

経理担当者

「地方自治体や国からの助成金や給付金の受領時期が不明確な場合、どう処理すれば良いでしょうか?」

税理士

「助成金や給付金は支給決定の日を基準に雑収入として計上します。ただし、支給が決定しているが実際の受領が翌事業年度になる場合は、支給決定の日を基準に計上する必要があります。」

経理担当者

「支給決定日をどのように確認すれば良いですか?」

税理士

「申請書類や通知書をしっかりと管理し、支給決定日を正確に把握することが重要です。これにより、適切な事業年度における収支の整合性を保つことができます。」

ケース3: ポイントの活用・還元

経理担当者

「法人名義のポイントカードやクレジットカードを使用して物品を購入した場合、ポイント還元はどのように処理すれば良いですか?」

税理士

「ポイント還元は、受領時点での雑収入として計上します。購入した物品については、レシートの記載に基づいて計上することが必要です。」

経理担当者

「ポイント還元の管理に関して何かアドバイスはありますか?」

税理士

「ポイント利用に関する社内ルールを整備し、ポイントの活用状況を適切に管理することが重要です。また、ポイント還元は一見小さな収入ですが、積み重ねると無視できない額になることもあるため、正確な記録が求められます。」

ケース4: 鉄くず・建設廃材等の売却収入

経理担当者

「鉄くずや建設廃材等を売却した場合、その収入はどう処理すれば良いでしょうか?」

税理士

「鉄くずや建設廃材等の売却収入は、原則として雑収入として計上します。ただし、最近では金属価格が高騰していることから、売却収入が一時的に大幅に増加するケースもあります。」

経理担当者

「その場合、どのように対処すれば良いですか?」

税理士

「売却収入の上振れを指摘し、税務面での除外などを考慮する必要があります。売却収入は企業の経営成績に大きな影響を与える可能性があるため、慎重に対処することが求められます。」

ケース5: クラウドファンディング

経理担当者

「クラウドファンディング(CF)を利用して資金を調達した場合、その収入はどう処理すれば良いですか?」

税理士

「クラウドファンディングの収入は、基本的に雑収入として計上します。ただし、寄付型のCFでは返礼品の有無や金額に応じて、受取額の全額が寄付金控除の対象となる場合があります。」

経理担当者

「投資型や購入型のCFの場合はどうでしょうか?」

税理士

「投資型や購入型のCFでは、提供される商品やサービスの引渡し時点で売上計上を行います。CFの種類や契約条件を確認し、適切な収入計上を行うことが重要です。」


これらのケーススタディを通じて、経理担当者と税理士が協力して問題を解決するためのポイントを学びました。経理業務は企業の健全な経営に直結する重要な役割を果たします。日々の業務においては、専門知識を持つ税理士と連携し、最新の情報を取り入れながら、正確かつ適切な処理を行うことが求められます。これにより、企業は健全な財務管理を実現し、持続可能な成長を遂げることができるでしょう。

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