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家主と税理士の会話:不動産所得の取扱いについて

マガジンの分類 事務所通信 : あなたの街の税理士が解りやすく解説します

シーン:家主の自宅にて

家主(田中さん):

「こんにちは、先生。今日はお越しいただきありがとうございます。実は、最近アパートの運営について色々と質問があって...。」

税理士(高橋先生):

「こんにちは、田中さん。お招きありがとうございます。ご相談内容をお聞かせください。」

田中さん:

「私の持っているアパートからの収入がどのように税務上処理されるのか知りたくて。不動産所得について具体的に教えてもらえますか?」

高橋先生:

「もちろんです。まず、不動産所得はその不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、所得金額の計算方法が異なります。」

田中さん:

「事業として行われているかどうかの判断基準は何ですか?」

高橋先生:

「不動産の貸付けが事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかで実質的に判断します。具体的には、貸間やアパートの場合、貸与できる独立した室数が10室以上であれば事業とみなされます。また、独立家屋の貸付けの場合は、おおむね5棟以上が基準となります。」

田中さん:

「なるほど。では、私のアパートが10室以上あるので事業として扱われるわけですね。その場合、所得金額の計算でどのような違いがありますか?」

高橋先生:

「主な違いとしては次のような点があります。まず、賃貸用固定資産の取壊しや除却などの資産損失は、事業として行われている場合、その全額を必要経費に算入できます。それ以外の場合は、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されます。」

田中さん:

「賃貸料の回収不能による損失はどうなりますか?」

高橋先生:

「事業として行われている場合、回収不能となった年分の必要経費に算入されます。それ以外の場合は、収入に計上した年分までさかのぼって、その回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直します。」

田中さん:

「他にはどんな違いがありますか?」

高橋先生:

「青色申告の事業専従者給与や白色申告の事業専従者控除は、事業として行われている場合に適用されます。また、青色申告特別控除についても、事業として行われている場合には最大55万円の控除が受けられます。電子帳簿保存やe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円の控除が受けられます。」

田中さん:

「それは大きな差ですね。ありがとうございます、高橋先生。」

高橋先生:

「お役に立てて嬉しいです。その他にもご質問があれば、いつでもお知らせください。」

田中さん:

「はい、またお願いするかもしれません。本当にありがとうございました。」


家主である田中さんと税理士の高橋先生の会話から、不動産所得の事業としての取扱いについての理解が深まりました。これからも税務に関する疑問点を解消し、賢く不動産運営を続けていきましょう。

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