いつもと違うことをしてみたら。
お休みの日、予定を決めないで過ごすことが好きだ。この前も一人で、「ふらりバス旅」企画をやってみた。
地図は見ないで、頼るのは自分の感性のみ。
まずはJR奈良駅のバスターミナルにやってきたバスに乗ってみる。
行き先を決めずに、なんとなくで降りてみる。ここは永井町というところ。
歩き出したら住宅街へ入った。かわいいオブジェたちを発見。
住宅街を抜けると、畑かな?ぽっかりと空間が広けた。
そして偶然にもこの日は太陽の光と霧が重なって、幻想的な光景が見れた。いつも乗っている電車もなんだか新鮮に見えて、立ち止まってここでもパシャパシャ写真を撮る。
ところで、ここは一体どこなんだろう?とりあえず、線路沿いをたどったら間違い無いだろうと思って、歩いてみた。
そうしたら、1台の軽トラックが私の前を通り過ぎた。荷台にはなんと!真っ赤ないちごたちが積まれていて、ピカピカと光っていた(ように見えた)
いちごたちに「こっちおいで〜」と言われるかのように、私の嗅覚がビンビンに働き、小走りで追っかけてみたらいちご農園にたどり着いた。
小さくガッツポーズ。
ここはいちごの直売所で、大きないちごがたくさん売っていた。安いしおいしそう。1パック買ってみたらおまけにコップにたくさんもらっちゃった。これが本当に甘くて新鮮で最高だった。ニヤつきながらほおばって、うきうき気分で先に進んだ。
ここは昔、自動車屋さんだったのかなぁ。もうやってないのかな。
こういう看板好きだな。
いちごを食べ終わったころ、帯解寺というところにたどり着いた。安産祈願で有名なお寺らしい。お線香のにおいを感じて、お経を聞きながらここでお昼休憩をした。
散歩をするとき、私は必ずお弁当を持参する。朝、早起きしてつくるんだ。わざわざ休日に、自分のためにせっせとつくるお弁当はまた特別だなと思う。自分で、自分への楽しみを作り出している気分。
あ、そうそう。買ったばかりのいちごも食べなきゃ。うわぁ、大きいな。このいちごは「あきひめ」という品種らしい。うまっ。
こんなにみずみずしくて口の中に甘酸っぱい香りが豊かに広がるいちごは初めてかもしれない。いや、このシチュエーションがよりいっそうおいしく感じさせてくれるのか。とにかく最高に幸せだ。
そろそろ、歩こうか、と思って立ったら、こんな壁画を見つけた。
釈迦の誕生シーンが描かれた仏伝レリーフなんだそう。華々しくお生まれになったのだとまじまじ眺めてから、また歩き出した。
たくさん歩くとき、NAOTの靴は万能だ。スニーカー感覚でどこでもいけてしまう。幸か不幸か、私はもう、NAOT以外の靴を履けなくなってしまった。
水がキラキラしていたり、畑仕事をするおじいちゃんの背中に哀愁を感じたりとここでもパシャパシャ写真を撮る。
たくさん歩いて疲れてきたので、そろそろ帰ろうと近くの駅から電車に乗り、帰宅。
途中のお店で買ったクッキーを食べながら、今日の余韻に浸る。
なんでもない1日が、少しだけ特別な時間になったなぁとうれしい気持ちを噛み締めながら、帯解寺で見つけた言葉を読み返してみる。
「日々是好日」と書家で書かれた横に書いてあったこと。
『今を大切に』
昨日、悔しいことがありました。一昨日にあんなに楽しいことがあったのに。でも改めて見回してみれば、昨日も一昨日ももうどこにもありません。あるのは今という時だけ。明日も明後日も同じこと。行く末について思い煩っても、それはまだ訪れていないことなのです。
この語句の意味は「日々、その一日が好ければ、それで結構ではないか」。
簡潔な説法で知られる雲門和尚の言葉です。過去を省み、未来を期待するのは人にだけ与えられた能力ですが、それにとらわれ過ぎるのは、肝心の今がおろそかになってしまうということでしょう。
また、「好い」というのは特別な何かを指しているのではありません。例えば、うっとうしい雨の日でも、街角に見る色とりどりの傘の往来は、目を楽しませてくれます。今そのときの中に、それがどんな状況でも、好ましいものを見いだしていく。この言葉は、そんな前向きな意味も含んでいます。
クッキーを食べながらこの言葉を読み返してみて、人ってなんて厄介な生き物なんだと思った。過去も未来も、思いめぐらすことができてしまう。それがときには希望にもなり、ときには不安材料となって心を支配してしまう。
そんなことは振り払って、今を楽しく心地よく過ごすことができたらそれでいいよなって。
とくべつなことは何もなくたっていいから、今日みたいに行き当たりばったりの世界を楽しんで、のほほんとしたおだやかな日が続けば、それで十分に満足だ。
” いつもと違うことをしてみたら "
今日出会えた景色や、人、ものや言葉たち。
それがふわふわと私の中に漂って、感性を小さく刺激してくれる。
またやってみようっと。
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