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生物と無生物のあいだ

【著 者】福岡真一
【発行日】2007年5月20日 第1刷発行
     2009年月 1日 第22刷発行
【発行所】株式会社講談社


このほ10年ほど前に購入しましが、途中で止まっていた本です。


ロックフェラー大学と野口英世の話ではじまります。

野口は様々な病原菌の研究を行い病原体の正体を突き止めたとされていましたが、彼の死後50年を得て、ようやく研究実績の包括的な再評価が行われ、野口の主張のほとんどは、間違いだったと言われてます。

しかしながら、当書のなかでは、

公平のためにいうことがあるとすれば、それは当時、野口は見えようのないものを見ていたのだ、ということがある。狂犬病や黄熱病の病原体は党叔父まだその存在が知られていなかったウィルスによるものだったのだ。自分を受け入れなかった日本への憎悪と、逃避先米国での野心の熱が、野口の内部で建設的な焦点を結ぶことがついになかったように、ウィルスはあまりにも微小すぎて、彼の使っていた顕微鏡の視野の中に実像を結ぶことはなかったのである。
うつる病気、すなわち感染症には必ずその原因ちなる病原体が存在している。それがヒトからヒトへ、場合によっては動物からヒトへ、乗り移ってくることによって病気が媒介される。このような病原体の存在をいかにして私たち人類は認識することができるようになったのだろうか


という話から、
・「DNAの二十ラセン構造」の解明の裏側
・「動的平衡」という生命観
などが、美しい言葉でつづられています。


生物と無生物のあいだには・・・タンパク質があります。

そして、生物には時間があり、いちど組み込まれたDNAは作り直すことができません。

私たちは遺伝子をひとつ失ったマウスに何事もおこらなかったことを落胆するのではなく、何事も起こらなかったことに驚愕するべきなのである。動的な平衝がもつ、やわらかな適応となめらかな復元力の大きさにこそ、感嘆すべきなのだ。


「遺伝子組み換え食品」をはじめ、遺伝子操作による生態系を考える1冊としてもおすすめです。





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