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2020年7月の記事一覧
16.アンチロマンティック
平野よりもほんの少し早く、山がちなキャンパスの景色が秋の色を見せ始めるころ、夏休みが終わり後期の授業が始まる。
その朝も、いつものように次々とバスが到着し、運んできた若者たちをキャンパスに向けて吐き出していた。
バスターミナルから教室棟へ向かう若者たちの列の中に、イチがいた。
イチは周囲に目を向けることもなく、ひたすらに内部に潜って考えていた。
イチはどうすればよかったのだろう。
あの日、教
15.サティスファクション
フミがイチのことをわからないのと同じぐらい、イチにも自分自身のことがわからなかった。
フミがイチに説明を求めていたとき、イチとしても同じ思いだった。
現状と気持ちをきちんと説明して、フミにわかるように伝えたかった。
ところが、何がどうなっているのかがイチにも全然わからなかったから、何も言えなかった。
イチとしても誰かに説明を要求したいところだった。
このひと夏のあいだ、フミはイチの喜びの源泉