呑み過ぎた夜

お互いを知ってからもう4年目になる大学の友人がいる。知り合ったころは、あまりしゃべるような印象はなくて、でもたまにニコニコと笑う姿に妙に惹かれていて、仲良くなった。

話してみると少し不思議なひとで、私は自分がそこにいて良いのかわからなくなるときがあると、自分と周りに対して大きな隔たりを感じていた。そのぽつりと揺れ動く、か弱く、いますぐにでも消えてしまいそうな光をもったそのひとに、なにか不思議な力を感じていた。

数ヶ月に1回くらい、そのひとを含めた仲間内で、遊びに行ったり、ご飯を食べたりしていた。そこでなにか思ったわけでもないんだが、ふとした瞬間に、そのひとをなんとなくみていた。

いつの間にか僕たちは3年の時間が経っていて、あれ俺たちもう4年生かあと、しみじみとその時間を眺めていた。その友人も就活が終わって、来年からは社会人ということで、珍しくふたりで呑みにいった。

久しくふたりで話をしたが、いつの間にか彼女は力強く、前を向いて歩んでいくことを覚えていた。今は生きているのが楽しいと、将来はきっとなんとかなるよと、3年前と変わらないニコニコした顔で言っていた。かつての静かに輝いていた彼女の光は、今では眩しいくらい光り輝いていた。

きっとその姿をみて、嬉しいはずなんだけど、少し淋しいような感覚も覚えた。目の前のひとの変化は、なにかむず痒い感じというか、なんとも言えない感情を起こした。そのなんとも言えない感情をここに書きたいと思って、いま書いているんだけども、言葉にすることができない。

僕は前を向いてまっすぐに歩いてゆくふりをしていたけど、その眩しいくらいの光を見てしまって、すこし自分の道を迷ってしまいそうなくらい、頭がくらくらしていた。

過ぎて行く時間を後悔したいわけじゃなくて、こんなふうに、時間とともに光量を増してゆく、その笑顔が溢れてゆくような時間の過ごし方ができればなあと思うのだった。

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