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KEMURIsm

KEMURIさんが単独ダンス公演を開催するというので、初日に日暮里d倉庫へ観に行きました。

まあしびれた。

YOHさんはサークルの先輩とはいっても数回お話した程度だし、
Hagriさんなんて1ミリも面識ないんだけど、
わたしこの方々のこと知ってる人生でよかった!と心から思った。

KEMURIがある人生とない人生、圧倒的に前者のほうが豊かだもん。

エンディングあたりではそんなことまで考えながら見てた。

KEMURIというジャンル
KEMURIという世界観
唯一無二な存在で、

ストリートダンスでは当たり前の声援とか、
舞台では当たり前の拍手とか、
そういうものすら排除したくなるくらい、
ご時世的な制約としてではなく、静かに息も殺して味わいたい、
崇高な芸術作品だった。さながら美術館。

ダンスなのにここまで暗転と静寂を使いこなしたステージって何?
真っ暗になった瞬間すら心地よいって何?

、、、というのも
今回の公演の軸になっていたのが
「灯」

「光」であり、「希望」である灯を、
KEMURIのお二人が探し求める様が一貫して描かれていた。
(とわたしは解釈した)

だから照明にはただならぬこだわりを感じたし、
光と闇と音の使い方が、そこから生まれる儚さと力強さのバランスが気持ちよくて。

真っ暗な中に見つけた一筋の光に、苦戦しながらも向かっていったり、
向かった先に光があったり、
光に生かされたり邪魔されたり、
光で遊んでみたり、
光で照らし合ったり、
光を追いかけていったら星空が広がってたり、、

胸打つ演出がいくつもあって、
涙がじわりした瞬間もあった。

ストーリーがお芝居みたいに明確でなくて、
観客に考えさせる余白がたっぷりあるのも、
浅ーいファンがいうのもなんだけど「らしい」しおしゃれ。

Hagriさんは、踊っているところしか見たことがないので実際にはどんな方なのか全く存じ上げないのだけど、
Hagriさんが純粋で、ときに子供っぽさも見せながら天真爛漫に光を追いかけるキャラクターっぽいのがとても好きだった。
キュンだった。
無表情だしKEMURIアイコンの黒い丸サングラスしてるんだけど、それも含めてそんなキャラクターに見えた。

水たまりみたいに丸い照明の中で遊んでるように踊るHagriさんが可愛くて忘れられない。

と思いきやサスの中でばちぼこにヒット打ちまくってかっこよすぎて殺されたり、あまりの美しさにぶん殴られたりもするんだけど(語彙)

YOHさんは一歩引いて、迷いながらも光を探し求める感じ。
儚い少年みたいなHagriさんを気にしながら、控えめに光に手を伸ばすような包容力とふたりの関係性がきれいで、
実際のKEMURIさんはどんな感じなのかなあと想像したりする暇がなかったりしながら見てた。

抽象表現からこんなふうに勝手に感じ取るっていう味わい方も、
美術館で好きな絵をじっくり見るのと似てるかも。

そんな抽象的なダンスがずっと続いていく1時間ちょっとなんだけど、
ショーケースの羅列にはならなくて、
あくまでもひとつのダンス公演として受け取れるのは
お二人自身に一貫してぶれない軸があるからなんだろうな。
なんというバランス感覚、、

だってYOHさんが突然KEMURIを飛び出して、サングラスも外して、
エネルギー全放出のキレッキレお兄さんになってサンボマスターで踊ったりしても、
世界観崩れないんですよ?

展開の起伏が絶妙すぎる、、

っていうかめちゃくちゃ好きだったななんだあれ、、

コンマ1秒も飽きずに、終わってからも余韻とアンコールへの期待からしばらく立ち上がれなかったのもすごい。

私そんなにダンスに明るくないので(?)好きじゃないダンスはすぐに飽きちゃって見れないんだけど、KEMURIさんは何時間でも見ていたいと思う。

登場しただけでかっこいいし、
立ってるだけでかっこいいし、
指一本動かしただけでかっこいいし、
踊ったら全身痺れるほどかっこいいんだもん、、
音楽とお二人の身体がひとつになってるのが目に見えてわかるんだもん、、、

存在が上品で、
所作のすべてが上品で、
衣装なんて全アイテム10万円以上するのでは?って思っちゃうくらい似合っていて上品で、
音楽もずっと上品で、
演出も空間もたくさんの驚きがありながら上品で、

そんなダンサーさん、KEMURIのほかに私は知らない、、、

こんな時代だからこそ、
生の舞台に希望を見出して、
生の空間にこだわってステージを作り上げたKEMURIさん。

その思いがひしひし伝わってくる公演だった。

これは客席で、
スモークと静寂と音楽と光と闇とダンスを、
一気に浴びなきゃわからない
静かな熱い興奮でした。

あーKEMURIを生で見に行ける人生でよかった。




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