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楽しく、厳しく、いい加減に

楽しく、厳しく、いい加減に

この言葉は、現在中国サッカーリーグに属しているデッツォーラ島根ECの以前の代表者だった故・若三康弘さんが、同チームのモットー、というか在り方として提唱していた言葉である。

この辺にもチラッと書いている。

既に若三さんは2017年に鬼籍に入られたので、その本当の意味を知ることは叶わない(自分も若三さんの生前、改まって訊いたことがない。今考えると痛恨の極みなのだが)が、悔しがって歯ぎしりしてみても仕方がないので、とりあえず自分なりに推測してみた。
若三さんのこの言葉の意味をご存知の方からは「あのヤロ、若三さんがいないと思ってデタラメ言いやがって!」とツッコミを喰らいそうだが、しばしご容赦いただきお目こぼし願いたい。

この言葉を自分なりにはこう理解している。

楽しく」は、サッカーという競技を心ゆくまで、そして誰よりも納得するまで楽しむ姿勢を指すのだと思う。よく、遊ぶならとことんまで本気で遊び倒せ、みたいなことを言う人がいるが、まったくその通りだと思う。本気で遊ばなければ、面白みも楽しみも見つからないだろう。それを見つけるために「楽しく」やるわけだ。

厳しく」は、楽しむ中にも時に自分たちを追い込んで、場合によっては日頃持っている以上のスーパーな能力を出せるように己を磨くべく厳しい態度で臨む姿勢を指すのだろうと思う。遊ぶだけでなく、真剣になることも大切だ、と説いているような気がする。「厳しく」という言葉の裏には、そうした真剣味も持とうぜ、というメッセージが隠れているのではないか。

では、「いい加減に」というのは何なのか。自分はこれを「『楽しく』にしろ『厳しく』にしろ、どちらも大事なことには違いないし、その姿勢を追求していくべきなのだが、だからと言って必要以上に自分を追い込んだりするように度を超してはダメだ」という意味だと考えている。
要するに、何をするにしても度合い、頃合いを知りなさい、という意味だと解釈している。

以前も書いたように、この「楽しく、厳しく、いい加減に」の言葉は、自分にとっても大切な言葉だ。若三さんが言ったから、ではない。その言葉が何処までも当を射ていると思ったからだ。

デッツォーラ島根エスポルチクルービというサッカーのトップチーム、あるいはその名前の下に活動するサッカーの育成年代のチーム。それらはもちろんのこと、かつてデッツォーラ島根やFCセントラル中国などに籍を置き、若三さんの薫陶を得た選手たちや指導者たちが、各方面で、この言葉に従って活動しているのだと思うと、嬉しくなってくる。

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今、最もホットなところでは、広島県福山市に居を構える福山シティフットボールクラブが挙げられよう。

福山シティフットボールクラブについては、私なんぞがくどくどと説明するよりも、こちらのF氏のnoteを読むとよく理解できるだろう。

ここの代表の岡本氏は以前、デッツォーラ島根ECに在籍していたことがあるという。本人と直接的な面識があるわけではないが、その話は聞いている。

彼もこの「楽しく、厳しく、いい加減に」の言葉をよく覚えているようだった。
ただ、今の時点で福山シティFCがこの言葉の下に何かをしているわけではない。

クラブ理念

しかしながら、理念としては一切触れられていないけれど、言葉の裏にあるであろうスピリットは、このチームに宿っているのではないか。自分はそのように解釈している。もちろん、彼らがそれを違うと言えば間違いなく違うだろうから、強硬に主張する気はない。

ただ、自分としてはそのように信じていたい。それぐらいの自由はお許し願いたい。

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話をデッツォーラ島根ECに戻す。

2018年、長らく籍を置いた中国サッカーリーグで最下位になってしまったために、敢えなく降格してしまった。今JFLにいる松江シティFCに0-11という信じ難いスコアで敗れたこともある。

この試合はスコア的には一番ひどい試合だったが、とにかく結果が出なかったので島根県サッカーリーグ1部に降格してしまった。
翌2019年のシーズンは数試合見たけれど、島根県リーグの舞台で久々に強いデッツォーラを見た。

自分はこのチームを「何だかよくわからないけど、強い」から好きだとずっと思ってきた。今もそれは変わらない。

ライバルのSC松江との対戦をたくさん見ることになった(リーグ戦、天皇杯予選、クラブチーム選手権予選)が、伯仲した試合で面白かった。

今年(2020年)は進化したデッツォーラ島根が見られる、と思っていたが、COVID-19の影響でリーグ戦が全てキャンセルになってしまい、代替的に開催されていたCSLチャンピオンシップという大会に、デッツォーラ島根はエントリーを見送ってしまった。なので、今季一度もデッツォーラ島根の試合を見ることのないことになった。

げに許せないのはCOVID-19であり、そのせいで活動がいろいろ変わってしまったデッツォーラ島根ECが不憫でならない。
今年は彼らの試合を見る機会は失われてしまったが、来年は彼らの試合を1つでもいいから見たい。そしてその試合を見て、血湧き肉躍るような心境になりたいな、と思う。

デッツォーラ島根ECの試合を見る時ももちろん、「楽しく、厳しく、いい加減に」見たいものだ。

さて、デッツォーラ島根ECは、これまでも、これからもいろいろと見せてくれることになるだろう。そのように信じているが、昨今の情勢もあるので、あまり強い期待はしない。負担にならない程度にしていただければ、それで良いと思う。来季CSLが行われ、その場にデッツォーラ島根ECがいるというのなら、1試合だけでも良いので、時間を作って試合を観に行きたい。

また、デッツォーラ島根ECだけに限ったことではないけれど、「楽しく、厳しく、いい加減に」の言葉に大なり小なり好影響を受けたであろうチームや個人が、この先、大いに活躍することを期待したい。

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故・若三康弘さんは失礼を承知で言わせてもらうなら破天荒なおっさんだった。あの破天荒で豪放磊落な生き方が好きだった。そりゃあ、時にはバカなこともしていたし、発言や行動の全てに同意しているわけではない。彼は好きな人物だけど、違うと思うことは違う。

ただ、そうやって必ずしも若三さんの全ての発言や考えに同意していなかったとしても、あの「楽しく、厳しく、いい加減に」という言葉だけは、これからも断固支持するし、自分は死ぬまであの言葉を大切にしていこうと思っている。それぐらい、力を持った言葉だと思っている。
何しろ、こんな自分如きに、ここ(noteにこんな文章を書くぐらい)まで強い影響を与えてくれた言葉なのだ。

この言葉が活躍するのは何もサッカーの中だけではないと思う。他のスポーツでも当てはまるだろうし、あるいは、暮らし、例えば仕事など、様々なことに当てはまるように思っている。
だから、ある意味では座右の銘と言っても良いかもしれない。自分にはかねがね座右の銘はないと思ってきたし、そう公言もしてきたが、今はこのように言える。

楽しく、厳しく、いい加減に

それは、自分の座右の銘だよ、と。

そして、その言葉を自分に教えてくださった若三康弘さんには、心からの謝意を贈りたい。ありがとうございます、若三さん

基本的に他人様にどうこう、と偉そうに提示するような文章ではなく、「こいつ、馬鹿でぇ」と軽くお読みいただけるような文章を書き発表することを目指しております。それでもよろしければお願い致します。