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超音波治療器の設定あれこれ

こんにちは。

柔道整復師の妹川 和志(Kazuyuki Imokawa)と申します。

物理療法の勉強を始め、楽しくなり沼にはまっていますw
超音波治療器をはじめ、物理療法の事などをTwitterで時々つぶやいていますので、気になる方はTwitterの 妹川 和志 @kazuyuki_imo を検索してみてください。

また、自己紹介をしたnoteを書いておりますので時間が空いた時にでも読んでみてください。
自己紹介と言っても生い立ち的なものですがw

私の事は置いといて早速本題に入りたいと思います。


今回のnoteは超音波治療器の基礎を踏まえた上で、その設定や内容をより細かく理解しようと書いた記事になります。
ですので、超音波治療器の基礎は頭に入れた状態で読んでいただけると分かりやすいと思います。

以前書いたnoteです。
《超音波治療器って何??》で超音波治療器の基礎(Hz・DUTY・プローブ・温熱効果などの仕組みと基礎)を書いておりますので、基礎から身につけようと思ってる方は、今回のnoteを読む前にこちらも読んでいただけたらと思います。


また、超音波治療器を始め物理療法に関して勉強して、今でも気になる時には手に取って調べている参考書です。
超音波治療器に限らず物理療法を全般的に分かりやすく書いてありますので物理療法に興味がある方にはオススメの参考書になります。
今回の記事にもこの参考書の中から参考にしている所が数か所あります。

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【 はじめに 】

はじめに

では今回書いていく内容は《 超音波治療器の設定あれこれ 》ついて書いていきます。


『あれこれって何だよ??』
って思っていますよね。
私もどう表現したらいいか悩んで・・・
結果 あれこれ になった訳ですww
あれこれ とは簡単に言うと超音波治療器の設定基礎です。
基礎設定ではありません。
設 定 基 礎 です。


基礎設定はよく聞きますよね。
各医療器メーカーが超音波治療器を販売していると思います。
それを購入したりデモ機で借りている際には
『こういう症状にはこんな設定がいいですよ』
『ここに当てる時にはこの設定が効果が出ますよ』
などなど
各医療器メーカーが推奨する設定があると思います。 
症状別あるいは部位別などに設定されたものです。
このように、あらかじめ様々な症状や患者様を想定して設定してあるものです。
なので、もちろん効果はしっかりと発揮してくれます。


では、設定あれこれとは何なのか? というと
基礎設定がどうしてその設定になっているのか?
を紐解いていく事を目的としています。
その設定のあれやこれを細かく理解していけたらなと思っています。


あらかじめ理解していただきたいのは、このnoteはこの基礎設定を否定しているものではないという事です。
もちろん、私も設定をあれこれ自分なりに考えて当てる事も多いです。
ですが私自身も、症状別や部位別などで出してくださっている基礎設定を使う事も凄く多いです。
結果、やっぱり基礎設定は効果が出やすいです。
効くんですww

なので基礎設定をむしろどんどん使うべきだと思っています。
ですが、そのままで終わってしまうのはもったいないです。
『肩にはこれ』
『腰にはこれ』 などなど
基礎設定以外でも先生方の中でもある程度決まった設定があると思います。
しかし、基礎設定で記載されていない部位や症状の患者様が来院された時など想定外の事があると困ってしまいます。
そんな時に適当に設定して当ててみても
『いまいち効果が上がらない・・・』
こんな事は沢山あると思います。

これでは、せっかくの良い物理療法機器が
『物理療法って効かないな』
『超音波治療器って効果ないよね』
なんて事になりかねません。

そうならないためにも、超音波治療器を設定する上での基礎知識を知っているといいと思っています。
そうする事で、その時に応じた設定を行えるのではないかと思っています。
これが、設定あれこれ = 設定基礎 です。


超音波治療器の設定は、変更する項目はそんなに多くありません。

DUTY・出力・Hz数・治療時間

たったこれだけです。
これらの設定を変更していく事で、温熱効果・非温熱効果などの効果を発揮して身体に変化を起こしていきます。

『これらをどう考えて変更していくといいか??』
『何を目的にその設定にしているのか??』
それらを、細かく考えていけたらと思っています。


これから書いていく内容には患者様に合わせた基礎設定や応用のような決まった設定の仕方や特別な使い方を書いていくものではありません。
あくまでも、超音波治療器を使う上で、設定の基礎知識を身につけて、それを患者様に合わせた設定に自分で考えて変更していく事を目的としています。

では、前置きが長くなりましたが本題に入っていきます。


※当院は伊藤超短波のUSー910とオステオトロンV(LIPUS)を使用していますので、説明に偏りがある所もあると思います
※設定時の考えなどは私の個人的見解も多く含まれます



【 温熱・非温熱効果について 】

温熱効果と非温熱効果は、超音波治療器を使う上では1番の目的だと思います。

〇温熱効果とは何なのか?
〇非温熱効果とは何なのか?

※超音波治療器に関しての、基礎学の詳細は必要な分だけしか書いていません
詳しくは以前のnoteの記事を読んでいただくか、事前に調べていただくと分かりやすいと思います

《 温熱効果とは 》
超音波振動を皮下に連続的に照射する事により、細胞・組織などを振動させながら下方に伝播されていきます。
その振動により、摩擦が起き温度上昇を起こします。
この温度上昇が様々な効果を発揮します。
温熱効果は
〇血流の増加
〇筋・腱などの伸張性の増大
〇関節可動域の増大

などなど…があります。

《 非温熱効果とは 》
超音波振動を皮下に間欠的に照射する事により、細胞・組織などに振動を与えていきます。
間欠的に照射する事により温度上昇は起こりません
この振動による効果を発揮します。
非温熱効果は
〇浮腫の軽減
〇創傷・軟部組織の治癒促進
〇骨癒合の促進

などなど...があります。

温熱効果と非温熱効果

温熱効果を目的としている場合にも、非温熱効果を目的としている場合でも基本的な設定があります。

温熱効果を狙った設定
DUTY → 100%
出力 → 1.0w/㎠以上(1.0~2.0w/㎠)
高頻度・高出力が基本
急性期以降に有効

非温熱効果を狙った設定
DUTY → 100%未満(5~50%)
出力 → 1.0w/㎠以下(0.1~1.0w/㎠以下)
低頻度・低出力が基本
急性期に有効

まずは、これが設定の基本中の基本です。
何を設定するにしても、この2つの設定をベースに変更していく事になると思います。

〇負傷からの時期
〇照射する場所
〇狙いたいポイントの深さ
〇超音波の照射時間  など
これらにより、どう設定すればいいかを考えていく事が大切になります。

温熱効果を狙うのか非温熱効果を狙うのかを決める事で設定の大枠は決まっていきます。
そこから狙いたい場所に合わせてHz数やDUTY・出力・治療時間を変更していく事で設定が決定していきます。

では、ここからはHz・DUTY・出力の設定について詳しく考えていきます。


ちょっとその前に

少し脱線しますww
このnoteは基本、温熱効果・非温熱効果を狙った設定について書いていきますが、その設定の他に《 LIPUSに近しい設定 》があるみたいです。
これは覚えれおいて損はないと思います。
むしろ、ぜひぜひ知っておきたい設定ですね。

非温熱効果と言ったらLIPUSを思い浮かべる先生も沢山おられると思います。
しかし、LIPUSを持っている先生はそんなに多くはないとも思います。

『超音波治療器を使って、LIPUSのような設定は出来ないのか??』
と思った事ありませんか??
正直、私はずっと思っていました。

そこで朗報です。
近しい形で照射が出来る設定があるようです。
効果は細かく言うと違いはあるという事と、またその効果を保証するものではないという事なのでハッキリした所までは分かりませんが・・・
あくまでも、近しい設定という事です。

LIPUSの設定(オステオトロンV)
Hz数 → 1.5MHz(750KHz)
出力 → 30・45・60mW/㎠
DUTY → 20%
時間 → 10・20・30分

LIPUSに近いし設定(酒井医療:宮崎けんじさん)
Hz数 → 1MHz or 3MHz
出力 → 0.20W/㎠
DUTY → 20%
時間 → 20分

これが、近しい設定だそうです。
これを知っておくだけで治療の幅は広がりそうですね。

しかし、注意をしていただきたいのは、これはあくまでも近しい設定で、骨折治療に認定されているLIPUSではないという事です。
骨折に対して医師から同意をいただいた際に
医師『LIPUSを使ってもらってね』
と同意をいただいた場合
術者『この設定があるから大丈夫』
というものではないので、そこは絶対に履き違えのないように注意が必要だと思います。
それは医師からの信用を失う事になりかねません。
実際、当院では『LIPUSを当ててもらうように』と医師から同意をいただいたケースがありましたので、本当にご注意ください。
しかし勘違いをしてほしくないのが、同意をいただいた後に骨折の施術に対して超音波治療器を使ってはいけないと言っている訳ではありません。
近しい設定でも少なからず骨折に効果はあったとも聞いています。

また、LIPUSの効果のひとつである、軟部組織の治癒促進に対してもLIPUSと近しい形でしっかりと効果を発揮してくれると思います。
プローブを動かさずに上記設定で当てたままにしておく事で、非温熱効果(軟部組織の治癒促進)を狙う事が出来るという事です。
これを覚えておくことで、非温熱効果を狙った場合の有効な使用方法(手法)が一つ増えますよね。


この方法を紹介されていた方は酒井医療宮﨑けんじさんです。
リンクを貼っておきますので、気になる方はぜひ検索してみてください。

twitter → 宮崎けんじさん @kenji4710101
酒井医療 → 
ホームページ

LIPUSに近しい設定に関しての質問は宮﨑さんに連絡してみてください。
私が質問した時も丁寧に答えてくださいました。


ではでは、脱線しましたが本文に戻ります。
温熱効果・非温熱効果の基本的な設定を知ったところで、それをもっと詳しく考えるために、次はHz・DUTY・出力について考えていきます。



【 Hzについて 】

最初に、Hz数について設定の考え方を書いていきます。

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